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十四の瞳と二つの覚悟
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大した会話を交わさずに城から馬車へ、馬車からグランダー伯爵邸へと移動した倉野たちは待っていたリオネ、レイチェルと合流し食堂も兼ねている大広間に集まる。
シラムが全員に紅茶のような飲み物を配り終えると伯爵がゆっくり口を開いた。
「さて、互いに疑問を抱いていることでしょう。全ての疑問をここで精算しておくべきですね」
伯爵の言葉はほとんど倉野に向けられていたように感じる。
他の者はこの三日間である程度交流を深め話を進めていたのだが、眠っていた倉野は城で話した内容しか知らない。
伯爵の提案をありがたいと受け止めた倉野は身を乗り出し疑問を口にする。
「あの、いつの間にこんな話になっていたんですか? レインさんやノエルさんも知っていたみたいですけど」
言いながら倉野がレインとノエルに視線を送ると代表してレオポルトが答えた。
「ああ、レイン・ネヴァーやノエル・マスタングも承知の話だ。もちろんそこにいるリオネ・ブルーや伯爵の御令嬢も話は知っている」
なるほど、と頷く倉野。全員が知っている話ならばリオネやレイチェルが知らないわけがない。そこまでは想定内だ。
倉野の頷きを確認してレオポルトは更に話を続ける。
「この話はお前さんが眠りについてすぐにワシと伯爵で立案した。その上で全員が賛同している」
「全員が・・・・・・」
そう呟きながら倉野は全員の表情を確認した。グランダー伯爵、レオポルト、レイン、ノエル、リオネ、レイチェル、そしてシラム。十四の瞳は未来を見据え輝いている。
そこで倉野はもう一つの疑問を口にした。
「でも、みなさんそれぞれの国で立場があるじゃないですか。特にレオポルトさんとレインさんは」
倉野の言葉を聞いたレインは爽やかな微笑みを浮かべながら答える。
「我が国を救った英雄の恩に報いよ」
「え?」
「エヴァンシル王の言葉さ。俺はそう命じられている。クラノが本気で世界平和を目指していて、それを叶える方法があるなら俺はクラノの剣になるだけさ。もちろん世界連盟の話もエヴァンシル王は了承している。これがオランディ国軍騎士としてレイン・ネヴァーがすべきことってだけだよ」
爽やかに答えるレイン。その言葉にノエルがコメントする。
「キザな言い方は相変わらずね。それが王の命令じゃなくてもピース・リンクに参加してたでしょう?」
「ふっ、ノエルこそ鋭い言葉は相変わらずだね。もちろんそうさ、世の中から戦争や飢餓を消せるならなんだってする」
レインの言葉に便乗する形でレオポルトも口を開いた。
「ワシも同じようなものだ。ビスタ国には全てを話している。その上でワシがピース・リンクに参加することを国が認めた。まぁ、世界連盟が成立すればビスタ国にとって利益があると踏んだのだろう。獣人の国、乾いた大地・・・・・・世界連盟に加入すればその不利な状況であっても国民が飢えることなど無くなるはずだからな。文句を言っていたのはジュドーくらいなものだ。特命全権大使を代理として引き継ぐのは奴だからな」
「ははは・・・・・・」
レオポルトの秘書ジュドーを思い浮かべながら乾いた笑い声を吐き出す倉野。大変な苦労をしている様子が目に浮かぶ。
どうやらレオポルトもレインも国の中で立場を保ちながらピース・リンクに参加するようだ。
倉野がそれまでの疑問を頭の中で整理していると次はレインが疑問を口にする。
「ここまでの話も大事だが、ノエル。バレンドットの第三王女ってどういうことだい?」
シラムが全員に紅茶のような飲み物を配り終えると伯爵がゆっくり口を開いた。
「さて、互いに疑問を抱いていることでしょう。全ての疑問をここで精算しておくべきですね」
伯爵の言葉はほとんど倉野に向けられていたように感じる。
他の者はこの三日間である程度交流を深め話を進めていたのだが、眠っていた倉野は城で話した内容しか知らない。
伯爵の提案をありがたいと受け止めた倉野は身を乗り出し疑問を口にする。
「あの、いつの間にこんな話になっていたんですか? レインさんやノエルさんも知っていたみたいですけど」
言いながら倉野がレインとノエルに視線を送ると代表してレオポルトが答えた。
「ああ、レイン・ネヴァーやノエル・マスタングも承知の話だ。もちろんそこにいるリオネ・ブルーや伯爵の御令嬢も話は知っている」
なるほど、と頷く倉野。全員が知っている話ならばリオネやレイチェルが知らないわけがない。そこまでは想定内だ。
倉野の頷きを確認してレオポルトは更に話を続ける。
「この話はお前さんが眠りについてすぐにワシと伯爵で立案した。その上で全員が賛同している」
「全員が・・・・・・」
そう呟きながら倉野は全員の表情を確認した。グランダー伯爵、レオポルト、レイン、ノエル、リオネ、レイチェル、そしてシラム。十四の瞳は未来を見据え輝いている。
そこで倉野はもう一つの疑問を口にした。
「でも、みなさんそれぞれの国で立場があるじゃないですか。特にレオポルトさんとレインさんは」
倉野の言葉を聞いたレインは爽やかな微笑みを浮かべながら答える。
「我が国を救った英雄の恩に報いよ」
「え?」
「エヴァンシル王の言葉さ。俺はそう命じられている。クラノが本気で世界平和を目指していて、それを叶える方法があるなら俺はクラノの剣になるだけさ。もちろん世界連盟の話もエヴァンシル王は了承している。これがオランディ国軍騎士としてレイン・ネヴァーがすべきことってだけだよ」
爽やかに答えるレイン。その言葉にノエルがコメントする。
「キザな言い方は相変わらずね。それが王の命令じゃなくてもピース・リンクに参加してたでしょう?」
「ふっ、ノエルこそ鋭い言葉は相変わらずだね。もちろんそうさ、世の中から戦争や飢餓を消せるならなんだってする」
レインの言葉に便乗する形でレオポルトも口を開いた。
「ワシも同じようなものだ。ビスタ国には全てを話している。その上でワシがピース・リンクに参加することを国が認めた。まぁ、世界連盟が成立すればビスタ国にとって利益があると踏んだのだろう。獣人の国、乾いた大地・・・・・・世界連盟に加入すればその不利な状況であっても国民が飢えることなど無くなるはずだからな。文句を言っていたのはジュドーくらいなものだ。特命全権大使を代理として引き継ぐのは奴だからな」
「ははは・・・・・・」
レオポルトの秘書ジュドーを思い浮かべながら乾いた笑い声を吐き出す倉野。大変な苦労をしている様子が目に浮かぶ。
どうやらレオポルトもレインも国の中で立場を保ちながらピース・リンクに参加するようだ。
倉野がそれまでの疑問を頭の中で整理していると次はレインが疑問を口にする。
「ここまでの話も大事だが、ノエル。バレンドットの第三王女ってどういうことだい?」
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