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世界連盟
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「ビスタ国、オランディそして我が国が後ろにいるとなれば、多分っすけど他にも助力したいと申し出る国が出てくるっすね。今ここで簡単に出せる答えじゃないんで数日時間をいただいてもいいっすか?」
「ええ、ゆっくり考えてください」
「その上でもう一つ聞きたいっす。活動内容は何なんすか?」
一旦話が終わらせるような雰囲気を醸し出しながら皇帝が問いかけた。
するとレオポルトは考えることなく口を開く。最初からここに到達することを見越していたかのようだ。
「活動内容は一つ。各国に直接足を運び、世界連盟への加入を打診します」
「世界連盟?」
皇帝はオウムのように聞き返した。言葉の意味がわからないといった様子である。もちろんこの世界にも連盟という言葉はあった。だがその頭に世界と付くだけで意味は複雑になる。
「どうすれば世界が平和になるか。例えば、一人の強者が世界を導けばその瞬間世界は平和になるでしょう。誰も強者に逆らうことができないのですから同じ方向に進むしかない。けれど一瞬です、その強者が死ねば再び戦乱の世へと戻る」
レオポルトがそう語ると皇帝は同意するように頷いた。
「それはわかるっす。世界じゃなくて国の中でもそうっすよね。いわゆる絶対王政ってやつは悪のように語られるっすけど、細部まで行き届いた絶対王政は平和であるとも言えるっす。平和の基準をどこに置くかも重要っすけどね」
「ええ、皇帝のおっしゃる通りです。ですが一瞬だけ世界中が平和になっても意味がない。その平和は維持しなければならないんです。そう考えた私たちは一つの答えに辿り着きました」
「それが世界連盟・・・・・・っすね?」
皇帝の問いかけに対してレオポルトは頷き話を続ける。
「世界連盟は世界中の国を繋ぎ、加盟国同士の戦争を禁じます。また加盟国同士の貿易についてもルールを作りどちらかへの不利が発生しないように精査する」
レオポルトの話を聞いていた倉野は国際連合のようなものかと納得したのだが、皇帝は少し疑問を持った様子だった。
「うーん。それってそれ自体が不利になることもあるっすよね。例えば今現在豊かである国が自国の商品の値段を下げることにならないっすか?」
それを聞いた倉野はその意見にも賛同する。確かに貿易をルールで縛ると値段を下げなければならない国も出てくるはずだ。それを不利と表現することもできるだろう。
しかし、その疑問が発生することもレオポルトは想定していた。
「もちろん貿易という観点だけで考えればそうなることもあります。しかし、考えてください。豊かさとは未来永劫約束されたものではないはずです。数年後・・・・・・いえ、極端な話ですが翌日には国内で問題が発生し困窮することもあり得る。そうなった場合、他の加盟国が助力するというルールも設けるんです。物資や人的な支援、それが約束されていれば自国の商品の値段が多少下がったとしても不利とは言えないでしょう。世界連盟は保険と考えてください」
「・・・・・・困窮した時に他の国が裏切らないという保証はあるっすか?」
「他国への助力を惜しむようであれば世界連盟から外れることになります。多くの国が加盟すればその全てを敵に回すことになる。それがどういうことかわかりますよね?」
不敵な笑みを浮かべながらレオポルトはそう答える。
「ええ、ゆっくり考えてください」
「その上でもう一つ聞きたいっす。活動内容は何なんすか?」
一旦話が終わらせるような雰囲気を醸し出しながら皇帝が問いかけた。
するとレオポルトは考えることなく口を開く。最初からここに到達することを見越していたかのようだ。
「活動内容は一つ。各国に直接足を運び、世界連盟への加入を打診します」
「世界連盟?」
皇帝はオウムのように聞き返した。言葉の意味がわからないといった様子である。もちろんこの世界にも連盟という言葉はあった。だがその頭に世界と付くだけで意味は複雑になる。
「どうすれば世界が平和になるか。例えば、一人の強者が世界を導けばその瞬間世界は平和になるでしょう。誰も強者に逆らうことができないのですから同じ方向に進むしかない。けれど一瞬です、その強者が死ねば再び戦乱の世へと戻る」
レオポルトがそう語ると皇帝は同意するように頷いた。
「それはわかるっす。世界じゃなくて国の中でもそうっすよね。いわゆる絶対王政ってやつは悪のように語られるっすけど、細部まで行き届いた絶対王政は平和であるとも言えるっす。平和の基準をどこに置くかも重要っすけどね」
「ええ、皇帝のおっしゃる通りです。ですが一瞬だけ世界中が平和になっても意味がない。その平和は維持しなければならないんです。そう考えた私たちは一つの答えに辿り着きました」
「それが世界連盟・・・・・・っすね?」
皇帝の問いかけに対してレオポルトは頷き話を続ける。
「世界連盟は世界中の国を繋ぎ、加盟国同士の戦争を禁じます。また加盟国同士の貿易についてもルールを作りどちらかへの不利が発生しないように精査する」
レオポルトの話を聞いていた倉野は国際連合のようなものかと納得したのだが、皇帝は少し疑問を持った様子だった。
「うーん。それってそれ自体が不利になることもあるっすよね。例えば今現在豊かである国が自国の商品の値段を下げることにならないっすか?」
それを聞いた倉野はその意見にも賛同する。確かに貿易をルールで縛ると値段を下げなければならない国も出てくるはずだ。それを不利と表現することもできるだろう。
しかし、その疑問が発生することもレオポルトは想定していた。
「もちろん貿易という観点だけで考えればそうなることもあります。しかし、考えてください。豊かさとは未来永劫約束されたものではないはずです。数年後・・・・・・いえ、極端な話ですが翌日には国内で問題が発生し困窮することもあり得る。そうなった場合、他の加盟国が助力するというルールも設けるんです。物資や人的な支援、それが約束されていれば自国の商品の値段が多少下がったとしても不利とは言えないでしょう。世界連盟は保険と考えてください」
「・・・・・・困窮した時に他の国が裏切らないという保証はあるっすか?」
「他国への助力を惜しむようであれば世界連盟から外れることになります。多くの国が加盟すればその全てを敵に回すことになる。それがどういうことかわかりますよね?」
不敵な笑みを浮かべながらレオポルトはそう答える。
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