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ジルトールのナルシシズム
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ジルトールは武器すら持っておらず無防備な状態である。そんな状態でこれ以上戦うことなどできない。いや、装備以前にジルトールが戦う者の体つきではないことは誰にでも分かる。
そんなジルトールに対してノエルが疑問を呟いた。
「本当にこの男がネメシスの団長なの・・・・・・戦闘向きだとは思えないんだけど」
ノエルの言葉を聞いたジルトールは苛立ちを露わにしながらようやく口を開く。
「力のある者はすぐにそうやって見下すな。そうだ、俺がネメシスの団長ジルトールパニッシュメント。見てわかる通り、俺自身には戦闘能力などない。だが間違いなくネメシスは俺が率いていた。全ての責任は俺にある。ほら、早く殺せ」
明らかに敵意を剥き出しにした口調で言い放つジルトールに対し、ノエルが苛立ちで返した。
「何言ってるのよ。死んで終わりだと思ってるわけ?」
「下らないな。戦いはどちらかが死ねば終わる。それとも何だ、謝罪でもすればいいのか? 頭を地面に擦り付ければ満足か? ネメシスとして戦うことを決めた時点で殺すか死ぬかしかない。さっさと殺せよ、世の中の不条理さもこの世の地獄も知らずにただ流されて生きている馬鹿共」
ノエルの苛立ちを煽るようにジルトールはそう言い放つ。自分の死を覚悟した上で少しでも相手を不快にさせようとしていた。
どうやらジルトールは自分だけが不幸だと思い込んでいるようである。
そう察したレオポルトは真剣な表情で口を開いた。
「まさか反国家組織の団長が悲劇の主人公を気取っているだけだとはな。そのような自己陶酔に巻き込まれた被害者はたまったものではない。思っていたよりもつまらん。殴る価値もない」
「何だと・・・・・・何も知らんくせに知った風な口を」
言い返そうとするジルトールにレオポルトは冷ややかな視線を向ける。
「何も知らんのはお前だ。こんな世界、生きていれば誰しもが多少なりとも悲しみを背負う。自分だけが辛いと思っているのはクソガキの主張だな」
「違う! 世界中に悲しみがあることなどわかっている、だからこそ国という区分けをなくし、戦争のない世界を作ろうとした!」
「それを自己陶酔と言うんだ。世界に広がる悲しみは戦争だけか? 個人間での争いの方が遥かに多い。国の中にも種族間での差別や家同士の確執、いくらでも悲しみの要因はあるだろう。むしろ国がなくなれば、個人間での争いはさらに大きくなる。魔物のように他者を殺して奪う、そんな世界を望んでいたのか? 結局お前は自分の境遇を恨み、自分自身を哀れみ、自分のために他者の命を奪っていただけだ」
レオポルトの言葉は確実にジルトールの心を突き刺した。けれど、ジルトールは自分自身の正義を疑わない。そうすることでしか自分を保てないのだろう。
「知った風な口を聞くな! 全ての国がなくなれば世界は一度荒れる。そのために俺はネメシスを結成したんだ。ネメシスが世界を導く」
「自分で言っていることがわかっていないようだな。それは今の世界と変わらん。お前が武力を持って特権階級を得るだけだ。そうすれば必ず対抗しようという組織が現れるだろう。そこからまた新たな戦争が始まるぞ。話にならんな」
「何も知らんくせに、上からものを言うな!」
返す言葉を失った者は決まって感情的になる。ジルトールは声を荒げた。
そんな逆ギレを受けたレオポルトは呆れたような表情で倉野に話しかける。
「何も知らん、か。だったら聞くとしよう。クラノ、この男の過去を教えてくれるか?」
そんなジルトールに対してノエルが疑問を呟いた。
「本当にこの男がネメシスの団長なの・・・・・・戦闘向きだとは思えないんだけど」
ノエルの言葉を聞いたジルトールは苛立ちを露わにしながらようやく口を開く。
「力のある者はすぐにそうやって見下すな。そうだ、俺がネメシスの団長ジルトールパニッシュメント。見てわかる通り、俺自身には戦闘能力などない。だが間違いなくネメシスは俺が率いていた。全ての責任は俺にある。ほら、早く殺せ」
明らかに敵意を剥き出しにした口調で言い放つジルトールに対し、ノエルが苛立ちで返した。
「何言ってるのよ。死んで終わりだと思ってるわけ?」
「下らないな。戦いはどちらかが死ねば終わる。それとも何だ、謝罪でもすればいいのか? 頭を地面に擦り付ければ満足か? ネメシスとして戦うことを決めた時点で殺すか死ぬかしかない。さっさと殺せよ、世の中の不条理さもこの世の地獄も知らずにただ流されて生きている馬鹿共」
ノエルの苛立ちを煽るようにジルトールはそう言い放つ。自分の死を覚悟した上で少しでも相手を不快にさせようとしていた。
どうやらジルトールは自分だけが不幸だと思い込んでいるようである。
そう察したレオポルトは真剣な表情で口を開いた。
「まさか反国家組織の団長が悲劇の主人公を気取っているだけだとはな。そのような自己陶酔に巻き込まれた被害者はたまったものではない。思っていたよりもつまらん。殴る価値もない」
「何だと・・・・・・何も知らんくせに知った風な口を」
言い返そうとするジルトールにレオポルトは冷ややかな視線を向ける。
「何も知らんのはお前だ。こんな世界、生きていれば誰しもが多少なりとも悲しみを背負う。自分だけが辛いと思っているのはクソガキの主張だな」
「違う! 世界中に悲しみがあることなどわかっている、だからこそ国という区分けをなくし、戦争のない世界を作ろうとした!」
「それを自己陶酔と言うんだ。世界に広がる悲しみは戦争だけか? 個人間での争いの方が遥かに多い。国の中にも種族間での差別や家同士の確執、いくらでも悲しみの要因はあるだろう。むしろ国がなくなれば、個人間での争いはさらに大きくなる。魔物のように他者を殺して奪う、そんな世界を望んでいたのか? 結局お前は自分の境遇を恨み、自分自身を哀れみ、自分のために他者の命を奪っていただけだ」
レオポルトの言葉は確実にジルトールの心を突き刺した。けれど、ジルトールは自分自身の正義を疑わない。そうすることでしか自分を保てないのだろう。
「知った風な口を聞くな! 全ての国がなくなれば世界は一度荒れる。そのために俺はネメシスを結成したんだ。ネメシスが世界を導く」
「自分で言っていることがわかっていないようだな。それは今の世界と変わらん。お前が武力を持って特権階級を得るだけだ。そうすれば必ず対抗しようという組織が現れるだろう。そこからまた新たな戦争が始まるぞ。話にならんな」
「何も知らんくせに、上からものを言うな!」
返す言葉を失った者は決まって感情的になる。ジルトールは声を荒げた。
そんな逆ギレを受けたレオポルトは呆れたような表情で倉野に話しかける。
「何も知らん、か。だったら聞くとしよう。クラノ、この男の過去を教えてくれるか?」
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