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轟く血煙の獅子
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和解した三人を眺めながら倉野は微笑む。
「そっか、もう何もかも解決しているんですね・・・・・・良かったです。あ、そうだ。エスエ帝国まではあとどれくらいでしょうか?」
倉野の問いかけを聞いたリオネはすぐに地図を取り出し、現在地を指差した。
「あれから少し時間が経って、もうそろそろエスエ帝国の港が見える頃ですよ。今グランマリア号はこの辺りにいるはずです」
リオネの指はエスエ帝国の港町、オーリオのすぐ近くを指し示している。
確かにそろそろ港が見えてもおかしくない位置にいた。
それを聞いた倉野はベッドから立ち上がり、スミナ・ディフォルに話しかける。
「港に着いたら約束通り、ビスタ国の知り合いにご紹介しますよ。優しい方ですが見た目がかなり特徴的なので驚かないでくださいね」
「ありがとう・・・・・・本当に」
溢れかけている涙を抑えながら感謝の言葉を口にするスミナ・ディフォル。二人の話を聞いていたノエルは少し驚いたような表情で口を挟んだ。
「それにしてもクラノがビスタ国と繋がっていたなんてね。あそこは獣人の国でしょ? 大商人でも強い繋がりを持っている人なんて少ないわ。相手はどんな人なのよ。ビスタ国の商人とか?」
「いえ、知らないかと思いますけどレポルト・バッセルって人で確か特命全権大使とかって・・・・・・」
ノエルに問いかけられた倉野がそう答えるとその場にいた三人は驚きの声を響かせる。
「えええええ!」
同時に発された三人分の驚きにたじろぎながら倉野が問いかけた。
「あれ、知ってるんですか?」
一番先に答えたのはリオネである。
「そりゃ知っていますよ。血煙の獅子と呼ばれる、あのレオポルト・バッセルですよね。冒険者や傭兵の間では知らない人がいないくらいの有名人ですよ」
リオネに続きノエルも言葉を付け足した。
「世界最強が誰かと聞かれれば、レオポルト・バッセルの名前を挙げる人も多いわ。二十年以上前に起きた他国との戦争ではたった一人で師団を壊滅させたとか、レオポルト・バッセルが通った後には草木も残らないとか。残っていると伝説は数知れないわ」
「それほど凄い人だったんですね。でも、そんな世紀末の覇王みたいな人じゃないですよ。確かに見た目はそれくらいのオーラがありますけど。って師団ってどれくらいの人数でしたっけ」
倉野がそう答えるとノエルが人差し指を立てる。どうやら一をを表しているようだ。そこから推測し倉野は納得する。
「そっか百人斬り的な奴ですね」
「ううん、桁が違うわ」
「え、千人も?」
「万よ。大体一万から二万の部隊編成を師団って呼ぶの。クラノって変なことは知ってるくせにこういうことは知らないのね」
呆れたように言い放つノエルに苦笑いで返す倉野。そこで一つの疑問が生まれた。
「あれ、そう言えばスミナさんも驚いていましたね。傭兵でも冒険者でもないのに、どうして・・・・・・」
「そりゃそうよ。相手は特命全権大使だもの、貴族なら他国の有力者くらい知っているものよ。その中でもレオポルト・バッセルは有名だわ。暴力的な経歴の割に平和な国交を進める温厚派としてね」
スミナ・ディフォルは落ち着きを取り戻しながらそう答える。
「そっか、もう何もかも解決しているんですね・・・・・・良かったです。あ、そうだ。エスエ帝国まではあとどれくらいでしょうか?」
倉野の問いかけを聞いたリオネはすぐに地図を取り出し、現在地を指差した。
「あれから少し時間が経って、もうそろそろエスエ帝国の港が見える頃ですよ。今グランマリア号はこの辺りにいるはずです」
リオネの指はエスエ帝国の港町、オーリオのすぐ近くを指し示している。
確かにそろそろ港が見えてもおかしくない位置にいた。
それを聞いた倉野はベッドから立ち上がり、スミナ・ディフォルに話しかける。
「港に着いたら約束通り、ビスタ国の知り合いにご紹介しますよ。優しい方ですが見た目がかなり特徴的なので驚かないでくださいね」
「ありがとう・・・・・・本当に」
溢れかけている涙を抑えながら感謝の言葉を口にするスミナ・ディフォル。二人の話を聞いていたノエルは少し驚いたような表情で口を挟んだ。
「それにしてもクラノがビスタ国と繋がっていたなんてね。あそこは獣人の国でしょ? 大商人でも強い繋がりを持っている人なんて少ないわ。相手はどんな人なのよ。ビスタ国の商人とか?」
「いえ、知らないかと思いますけどレポルト・バッセルって人で確か特命全権大使とかって・・・・・・」
ノエルに問いかけられた倉野がそう答えるとその場にいた三人は驚きの声を響かせる。
「えええええ!」
同時に発された三人分の驚きにたじろぎながら倉野が問いかけた。
「あれ、知ってるんですか?」
一番先に答えたのはリオネである。
「そりゃ知っていますよ。血煙の獅子と呼ばれる、あのレオポルト・バッセルですよね。冒険者や傭兵の間では知らない人がいないくらいの有名人ですよ」
リオネに続きノエルも言葉を付け足した。
「世界最強が誰かと聞かれれば、レオポルト・バッセルの名前を挙げる人も多いわ。二十年以上前に起きた他国との戦争ではたった一人で師団を壊滅させたとか、レオポルト・バッセルが通った後には草木も残らないとか。残っていると伝説は数知れないわ」
「それほど凄い人だったんですね。でも、そんな世紀末の覇王みたいな人じゃないですよ。確かに見た目はそれくらいのオーラがありますけど。って師団ってどれくらいの人数でしたっけ」
倉野がそう答えるとノエルが人差し指を立てる。どうやら一をを表しているようだ。そこから推測し倉野は納得する。
「そっか百人斬り的な奴ですね」
「ううん、桁が違うわ」
「え、千人も?」
「万よ。大体一万から二万の部隊編成を師団って呼ぶの。クラノって変なことは知ってるくせにこういうことは知らないのね」
呆れたように言い放つノエルに苦笑いで返す倉野。そこで一つの疑問が生まれた。
「あれ、そう言えばスミナさんも驚いていましたね。傭兵でも冒険者でもないのに、どうして・・・・・・」
「そりゃそうよ。相手は特命全権大使だもの、貴族なら他国の有力者くらい知っているものよ。その中でもレオポルト・バッセルは有名だわ。暴力的な経歴の割に平和な国交を進める温厚派としてね」
スミナ・ディフォルは落ち着きを取り戻しながらそう答える。
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