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見上げるのはいつも天井
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事件の緊張から解き放たれた気の緩みと船酔いから倉野の意識は遠のき、気がつくとベッドの上にいると理解する。
「・・・・・・そっか、事件を解決した後に朦朧として・・・・・・」
天井を眺めながら倉野がそう呟くと体の内側からイスベルグが言葉を返した。
「お前は何かを解決すると倒れないと気が済まないのか」
「倒れたくて倒れてるんじゃありませんよ。船酔いは仕方ないじゃないですか」
即座にイスベルグの声だと理解した倉野がそう答えると珍しく笑いながらイスベルグがこう話す。
「ふっ、強いんだか弱いんだかわからん男だな。持っている力は未知数ながらその一割も発揮できていない。だが、どうやらお前の強さは積み重ねにあるようだ。船酔いに対する耐性もそろそろ得た頃じゃあないか?」
イスベルグの言葉を聞いた倉野は自分の体の違和感に気付いた。船酔いの気持ち悪さが全くない。
そこで倉野はなるほど、と納得した。
「そっか、船酔い耐性のスキルを取得したのか。通りで体が楽なはずだ」
呟いている倉野に対しイスベルグが語りかける。
「おい、クラノ。鈍いのは体の感覚だけにしておけよ」
「え?」
「ベッドの隣に三人の女が立っている。今のお前は独り言を繰り返すおかしな奴だぞ」
そう言われた倉野は勢いよく体を起こし、ベッドの隣に視線を送った。するとそこにはリオネ、ノエル、スミナ・ディフォルの三人が立っているのが見える。
「み、みなさん。居たんですか」
驚きながらも話しかける倉野に呆れながらノエルが答えた。
「居たんですか、じゃないわよ。目を覚ますなり独り言を繰り返してどうしたの。おかしな夢でも見ていた?」
「いえ、イスベルグさんと」
そこまで答えてから倉野はイスベルグの存在をノエルにしか明かしていない時付き言葉を止める。
そんな倉野にリオネが優しく語りかけた。
「良かった、もう船酔いは大丈夫なようですね。顔色も良くなっています」
「すみません、心配をおかけしました」
リオネの言葉に答えてから倉野はその隣に立っているスミナ・ディフォルに視線を移す。なぜここに居るのか、と考えていると先にノエルが口を開いた。
「ああ、スミナさんね。あの後、自分から謝りに来てくれたのよ。クラノに言われた通りずっと指輪にかけた魔法で話を聞いていたらしく、全てが解決したことがわかったらしいわ」
「そうだったんですね。そっか、もう既にリオネさんノエルさんとも和解済みでしたか」
倉野がそう話しかけるとスミナ・ディフォルは申し訳なさそうな表情で頷く。
「ええ、これで私の犯した罪が消えるわけじゃないけれど、多大な迷惑をかけてしまったからどうしても謝罪したくて」
そう話すスミナ・ディフォルにノエルが返答した。
「もういいって言ってるでしょ。結局、スミナさんがしたことで出た被害なんてないんだから。ね、リオネ」
「ええ、そうですよ。ただ二月前に起きた殺人事件を解決するきっかけを貰っただけです」
リオネも言いながら微笑む。
確かにスミナ・ディフォルは大きな罪を犯した。リオネとノエルに対して嘘だったと言えども船を爆破すると脅し、恐怖と緊張を与えている。
しかし彼女もまた麻薬という悲しみしか生まない物質と己の欲望のために殺人を犯したオースティンの被害者と言えるだろう。
それを知ったリオネとノエルはスミナ・ディフォルを許すことにしたのだった。
「・・・・・・そっか、事件を解決した後に朦朧として・・・・・・」
天井を眺めながら倉野がそう呟くと体の内側からイスベルグが言葉を返した。
「お前は何かを解決すると倒れないと気が済まないのか」
「倒れたくて倒れてるんじゃありませんよ。船酔いは仕方ないじゃないですか」
即座にイスベルグの声だと理解した倉野がそう答えると珍しく笑いながらイスベルグがこう話す。
「ふっ、強いんだか弱いんだかわからん男だな。持っている力は未知数ながらその一割も発揮できていない。だが、どうやらお前の強さは積み重ねにあるようだ。船酔いに対する耐性もそろそろ得た頃じゃあないか?」
イスベルグの言葉を聞いた倉野は自分の体の違和感に気付いた。船酔いの気持ち悪さが全くない。
そこで倉野はなるほど、と納得した。
「そっか、船酔い耐性のスキルを取得したのか。通りで体が楽なはずだ」
呟いている倉野に対しイスベルグが語りかける。
「おい、クラノ。鈍いのは体の感覚だけにしておけよ」
「え?」
「ベッドの隣に三人の女が立っている。今のお前は独り言を繰り返すおかしな奴だぞ」
そう言われた倉野は勢いよく体を起こし、ベッドの隣に視線を送った。するとそこにはリオネ、ノエル、スミナ・ディフォルの三人が立っているのが見える。
「み、みなさん。居たんですか」
驚きながらも話しかける倉野に呆れながらノエルが答えた。
「居たんですか、じゃないわよ。目を覚ますなり独り言を繰り返してどうしたの。おかしな夢でも見ていた?」
「いえ、イスベルグさんと」
そこまで答えてから倉野はイスベルグの存在をノエルにしか明かしていない時付き言葉を止める。
そんな倉野にリオネが優しく語りかけた。
「良かった、もう船酔いは大丈夫なようですね。顔色も良くなっています」
「すみません、心配をおかけしました」
リオネの言葉に答えてから倉野はその隣に立っているスミナ・ディフォルに視線を移す。なぜここに居るのか、と考えていると先にノエルが口を開いた。
「ああ、スミナさんね。あの後、自分から謝りに来てくれたのよ。クラノに言われた通りずっと指輪にかけた魔法で話を聞いていたらしく、全てが解決したことがわかったらしいわ」
「そうだったんですね。そっか、もう既にリオネさんノエルさんとも和解済みでしたか」
倉野がそう話しかけるとスミナ・ディフォルは申し訳なさそうな表情で頷く。
「ええ、これで私の犯した罪が消えるわけじゃないけれど、多大な迷惑をかけてしまったからどうしても謝罪したくて」
そう話すスミナ・ディフォルにノエルが返答した。
「もういいって言ってるでしょ。結局、スミナさんがしたことで出た被害なんてないんだから。ね、リオネ」
「ええ、そうですよ。ただ二月前に起きた殺人事件を解決するきっかけを貰っただけです」
リオネも言いながら微笑む。
確かにスミナ・ディフォルは大きな罪を犯した。リオネとノエルに対して嘘だったと言えども船を爆破すると脅し、恐怖と緊張を与えている。
しかし彼女もまた麻薬という悲しみしか生まない物質と己の欲望のために殺人を犯したオースティンの被害者と言えるだろう。
それを知ったリオネとノエルはスミナ・ディフォルを許すことにしたのだった。
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