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幸運の女神は曇りを晴らす
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スミナ・ディフォルが口にした疑問について倉野は察しがついていた。
「インディゴさんを救う方法ですね?」
「ええ、アンタが言うようにもしも彼が生きていて、その植物状態ってやつなんだとしたら・・・・・・どうすれば救えるの?」
改めて祈りのように、助けを乞うようにそう問いかけるスミナ・ディフォル。すると倉野は腕を組んで少し考えてからこう答えた。
「少し難しい話になるのでしっかり聞いてくださいね。先ほど説明したように、まず麻薬によって植物状態になるのはとある成分が脳の機能を停止しているからなんです。その成分はいわゆる魔法物質と呼ばれるもので、医療ではどうにもなりません。それを取り除くには特殊な薬草が必要になるんです」
「特殊な薬草?」
「ええ、ざっくり言うと特殊な条件下でしか育てることのできない希少な薬草です。本来は健康維持のために飲む・・・・・・いわばサプリメントのようなものですね」
「さぷ、りめんと?」
倉野が口にした言葉の意味がわからずスミナ・ディフォルが首を傾げる。
この世界にサプリメントなどあるはずもなく倉野は即座に言い換えた。
「病気になったから飲むという薬ではなく、病気を予防するために飲むものって意味です。その薬草は体の中にある魔法物質を除去する機能を持っているんですよ」
まるで知っていたかのように話す倉野だが当然、スキル説明によって得た知識である。そんな倉野の言葉を聞いたスミナ・ディフォルは意味を理解した上でとある疑問に行き着いた。
「つまりその薬草を手に入れれば彼は助かる・・・・・・目を覚ますってことね? でも、特殊な条件下の希少な薬草って・・・・・・手に入れることはできるの? いいえ、手に入れてみせるわ。貴族として全ての権力を行使してでも・・・・・・」
「それがそうもいかないんですよ。例えオランディの最上級貴族だとしても手に入れることは容易ではありません。その薬草を育てる特殊な条件を満たしている国というのはビスタ国のみなんですよ」
倉野がそう答えるとスミナ・ディフォルは悲しげな表情を見せる。
なぜ彼女がそのような表情を浮かべたのか。それはビスタ国と他国との関係性にある。
ビスタ国は人間の国ではない。獣人と呼ばれる種族の国だ。獣人は動物と人間を足したような姿をしており、一般的に人間とは距離を置く傾向にある。
つまり他国との関係性は極めて薄いのだ。オランディの貴族といえどもビスタ国でしか育てることのできない希少な薬草を手に入れるのは難しいだろう。
だからこそスミナ・ディフォルは悲しげな表情を浮かべたのだった。
しかし、倉野はその表情を晴らす術を持っている。
そう、倉野は過去にビスタ国の危機を救い、ビスタ国の上層部にいる者と強い繋がりがあるのだ。その男の名はレオポルト。
倉野は優しく微笑んで、こう語りかける。
「本来なら手に入れることは難しいですが、大丈夫ですよ。こう言いましたよね、インディゴさんは救える、と。僕にはビスタ国との繋がりがあります。僕の名前を出してもらえれば薬草を手に入れることができるでしょう。そして運のいいことに僕と繋がりのある方が今、エスエ帝国の港オーリオに滞在しているんですよ。今から向かう場所にね」
「インディゴさんを救う方法ですね?」
「ええ、アンタが言うようにもしも彼が生きていて、その植物状態ってやつなんだとしたら・・・・・・どうすれば救えるの?」
改めて祈りのように、助けを乞うようにそう問いかけるスミナ・ディフォル。すると倉野は腕を組んで少し考えてからこう答えた。
「少し難しい話になるのでしっかり聞いてくださいね。先ほど説明したように、まず麻薬によって植物状態になるのはとある成分が脳の機能を停止しているからなんです。その成分はいわゆる魔法物質と呼ばれるもので、医療ではどうにもなりません。それを取り除くには特殊な薬草が必要になるんです」
「特殊な薬草?」
「ええ、ざっくり言うと特殊な条件下でしか育てることのできない希少な薬草です。本来は健康維持のために飲む・・・・・・いわばサプリメントのようなものですね」
「さぷ、りめんと?」
倉野が口にした言葉の意味がわからずスミナ・ディフォルが首を傾げる。
この世界にサプリメントなどあるはずもなく倉野は即座に言い換えた。
「病気になったから飲むという薬ではなく、病気を予防するために飲むものって意味です。その薬草は体の中にある魔法物質を除去する機能を持っているんですよ」
まるで知っていたかのように話す倉野だが当然、スキル説明によって得た知識である。そんな倉野の言葉を聞いたスミナ・ディフォルは意味を理解した上でとある疑問に行き着いた。
「つまりその薬草を手に入れれば彼は助かる・・・・・・目を覚ますってことね? でも、特殊な条件下の希少な薬草って・・・・・・手に入れることはできるの? いいえ、手に入れてみせるわ。貴族として全ての権力を行使してでも・・・・・・」
「それがそうもいかないんですよ。例えオランディの最上級貴族だとしても手に入れることは容易ではありません。その薬草を育てる特殊な条件を満たしている国というのはビスタ国のみなんですよ」
倉野がそう答えるとスミナ・ディフォルは悲しげな表情を見せる。
なぜ彼女がそのような表情を浮かべたのか。それはビスタ国と他国との関係性にある。
ビスタ国は人間の国ではない。獣人と呼ばれる種族の国だ。獣人は動物と人間を足したような姿をしており、一般的に人間とは距離を置く傾向にある。
つまり他国との関係性は極めて薄いのだ。オランディの貴族といえどもビスタ国でしか育てることのできない希少な薬草を手に入れるのは難しいだろう。
だからこそスミナ・ディフォルは悲しげな表情を浮かべたのだった。
しかし、倉野はその表情を晴らす術を持っている。
そう、倉野は過去にビスタ国の危機を救い、ビスタ国の上層部にいる者と強い繋がりがあるのだ。その男の名はレオポルト。
倉野は優しく微笑んで、こう語りかける。
「本来なら手に入れることは難しいですが、大丈夫ですよ。こう言いましたよね、インディゴさんは救える、と。僕にはビスタ国との繋がりがあります。僕の名前を出してもらえれば薬草を手に入れることができるでしょう。そして運のいいことに僕と繋がりのある方が今、エスエ帝国の港オーリオに滞在しているんですよ。今から向かう場所にね」
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