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連載
成功を祝う拳
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ノエルの問いかけに対して倉野は微笑みこう答えた。
「落ち着いてください、ノエルさん。順を追って説明しますから」
そう言いながら倉野は近くの荷物を縛っていた麻紐を拾い上げ、オースティンの両腕を縛る。すでに戦意を喪失している様子のオースティンには不要だろうがとりあえずの対応だ。
オースティンの動きを完全に押さえたことを確認すると、倉野はセブンスに歩み寄り拳を突き出す。その青春クサイ動きを軽く鼻で笑いながらもセブンスは自分の拳をぶつけた。
「ふっ、あんまり趣味じゃないんだけどな。今回ばかりは作戦の成功を祝って合わせてやるよ。それで彼女は今どこにいるんだい?」
言いながらセブンスは周囲を見渡す。
ノエルやリオネ、アルダリンには何を話しているのかわからず首を傾げていた。
そんな様子を察したのか倉野はセブンスに返答しながらもノエルたちに視線を送る。
「彼女なら自室にいますよ。もう、何も企ててはいません。常に確認していますから大丈夫です。あ、これはスミナ・ディフォルさんの話ですよ」
倉野の言葉を聞いたノエルたちはさらに疑問符を浮かべた。
何故、ここでスミナ・ディフォルの名前が出てくるのかと思考するノエル、リオネ、アルダリンに倉野が言葉を付け足す。
「ああ、すみません。順を追うと言いながら説明の順番が逆になりましたね。この事件のもう一人の犯人がスミナさんなんです」
「もう一人の犯人?」
そうノエルが聞き返すとリオネがなるほどと何かに気がついた。そもそもこのグランマリア号殺人事件は二つの事件が入り混じっている。
一つ目はディートが殺害された文字通りのグランマリア号殺人事件。そしてもう一つは船ごと全ての乗船客が人質にとられておりディートの死因を暴かなければならないという事件だ。
現在進行形で起きているのは後者。それに巻き込まれたノエルとリオネの指に何者かの策略で爆発魔法を付与した指輪を装着している。そしてディートの死因を暴く前に船が目的地であるエスエ帝国にたどり着くと爆発魔法が作動するという仕掛けだ。
二つの事件が入り混じっているということは犯人も二人いるということになる。
リオネはそこに気づいたのだった。
「この指輪を使って私たちに二月前の殺人事件を暴かせたのはスミナさんだったってことですね?」
そうリオネが言葉にした瞬間、ノエルとアルダリンは同時に驚きの声を漏らす。
「え?」
二人が驚いている様子を見ながらセブンスは嬉しそうに微笑んだ。
「全く、良い反応をしてくれるな。ほらクラノ、さっさと全貌を明かしてしまおうぜ。まず話すべきははいつからクラノが動き出していたか、だろ?」
「ええ、そうですね。僕が動き出したのは今朝リオネさんが部屋に来てくれた直後でした」
倉野はそう言いながらリオネに視線を送る。
「落ち着いてください、ノエルさん。順を追って説明しますから」
そう言いながら倉野は近くの荷物を縛っていた麻紐を拾い上げ、オースティンの両腕を縛る。すでに戦意を喪失している様子のオースティンには不要だろうがとりあえずの対応だ。
オースティンの動きを完全に押さえたことを確認すると、倉野はセブンスに歩み寄り拳を突き出す。その青春クサイ動きを軽く鼻で笑いながらもセブンスは自分の拳をぶつけた。
「ふっ、あんまり趣味じゃないんだけどな。今回ばかりは作戦の成功を祝って合わせてやるよ。それで彼女は今どこにいるんだい?」
言いながらセブンスは周囲を見渡す。
ノエルやリオネ、アルダリンには何を話しているのかわからず首を傾げていた。
そんな様子を察したのか倉野はセブンスに返答しながらもノエルたちに視線を送る。
「彼女なら自室にいますよ。もう、何も企ててはいません。常に確認していますから大丈夫です。あ、これはスミナ・ディフォルさんの話ですよ」
倉野の言葉を聞いたノエルたちはさらに疑問符を浮かべた。
何故、ここでスミナ・ディフォルの名前が出てくるのかと思考するノエル、リオネ、アルダリンに倉野が言葉を付け足す。
「ああ、すみません。順を追うと言いながら説明の順番が逆になりましたね。この事件のもう一人の犯人がスミナさんなんです」
「もう一人の犯人?」
そうノエルが聞き返すとリオネがなるほどと何かに気がついた。そもそもこのグランマリア号殺人事件は二つの事件が入り混じっている。
一つ目はディートが殺害された文字通りのグランマリア号殺人事件。そしてもう一つは船ごと全ての乗船客が人質にとられておりディートの死因を暴かなければならないという事件だ。
現在進行形で起きているのは後者。それに巻き込まれたノエルとリオネの指に何者かの策略で爆発魔法を付与した指輪を装着している。そしてディートの死因を暴く前に船が目的地であるエスエ帝国にたどり着くと爆発魔法が作動するという仕掛けだ。
二つの事件が入り混じっているということは犯人も二人いるということになる。
リオネはそこに気づいたのだった。
「この指輪を使って私たちに二月前の殺人事件を暴かせたのはスミナさんだったってことですね?」
そうリオネが言葉にした瞬間、ノエルとアルダリンは同時に驚きの声を漏らす。
「え?」
二人が驚いている様子を見ながらセブンスは嬉しそうに微笑んだ。
「全く、良い反応をしてくれるな。ほらクラノ、さっさと全貌を明かしてしまおうぜ。まず話すべきははいつからクラノが動き出していたか、だろ?」
「ええ、そうですね。僕が動き出したのは今朝リオネさんが部屋に来てくれた直後でした」
倉野はそう言いながらリオネに視線を送る。
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