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人を狂わせる禁忌
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セブンスの言葉を聞いたオースティンはもう言い逃れられないと理解したのか、顔を伏せながら口を開いた。
「・・・・・・そうだ・・・・・・俺が殺した。そうさ、俺があの悪魔を殺したんだ。だが、これは人助けでもある! あいつは、ディートは悪魔なんだ。麻薬という禁忌の魔法で人を狂わせる。最初は無料で麻薬を配るんだ。それを麻薬と知らせずにな・・・・・・そしてその快感を覚えた人間はもう一度と求める。それを繰り返すうちに麻薬がなければ生きていけない体になっていく。麻薬の効果がなくなった途端に地獄の苦しみが待っているからだ。全身に痛みを感じ幻影を見始める・・・・・・地獄の業火で焼かれるような幻影だ。その苦しみから逃れるために麻薬を売ってくれとディートに懇願するようになる。次第にディートは値段を吊り上げるんだ。そして金を払うことができなくなった人間を奴隷同然に扱う。あいつは人間じゃない悪魔だ!」
必死に語るオースティン。罪を認めた上で悪いのは自分じゃないと主張している。
彼にも彼なりの苦悩や悲しみ、絶望があったのだろうと理解はできた。だが、ここは戦場ではなく船上。人を殺すことなど認められてはいない。
オースティンの言葉に左右されることなくノエルは口を開いた。
「本物の悪魔はそんなしょうもない存在じゃないわよ。麻薬なんてものに頼らなくても人を支配できるほどの力を持っているの。少なくとも私が知ってる悪魔はね。それに例えディートがどれほど外道のクソ野郎だとしても殺していいなんてことはない。少なくともこの船の中では許されていないの。そうよね、セブンス」
言いながらノエルはセブンスに視線を送る。すると彼は得意げに口角を上げて答えた。
「ああ、その通りさ。この船でのイカサマやルール違反は許されてない。人を殺すなんてのは大きなルール違反だぜ。そして俺はイカサマを暴くプロだ。お前がどうやってディートを殺したのか、まるで全て見ていたように話すことができる」
セブンスの言葉を聞いたオースティンは投げやり気味に鼻で笑う。
「はっ、見ていたみたいに? できるわけねぇだろ。だからこそお前らはディートが生きているなんて噂を流してまで俺を誘き寄せた。もし全てを説明できるってんなら、俺はこのまま大人しく捕まってもいいぜ」
「なら、話してやろうか。お前が犯した愚行・・・・・・罪の全てをな」
まるでオースティンが売った喧嘩を買うようにセブンスは言いながら微笑んだ。
そして語り始める。二月前に何があったのか、どのようにしてオースティンがセブンスを殺したのかを。
二月前、ディートを殺害するためにグランマリア号に乗船したオースティンは自分が犯人だと暴かれないよう、自殺に見せかけることを計画していた。
その時、利用しようと思いついたのが各部屋の扉にある二つの錠である。
内側から錠をかけた状態で毒を飲み死んでいれば、大した捜査が行われずに自殺と判断されるのではないかと考えた。
「・・・・・・そうだ・・・・・・俺が殺した。そうさ、俺があの悪魔を殺したんだ。だが、これは人助けでもある! あいつは、ディートは悪魔なんだ。麻薬という禁忌の魔法で人を狂わせる。最初は無料で麻薬を配るんだ。それを麻薬と知らせずにな・・・・・・そしてその快感を覚えた人間はもう一度と求める。それを繰り返すうちに麻薬がなければ生きていけない体になっていく。麻薬の効果がなくなった途端に地獄の苦しみが待っているからだ。全身に痛みを感じ幻影を見始める・・・・・・地獄の業火で焼かれるような幻影だ。その苦しみから逃れるために麻薬を売ってくれとディートに懇願するようになる。次第にディートは値段を吊り上げるんだ。そして金を払うことができなくなった人間を奴隷同然に扱う。あいつは人間じゃない悪魔だ!」
必死に語るオースティン。罪を認めた上で悪いのは自分じゃないと主張している。
彼にも彼なりの苦悩や悲しみ、絶望があったのだろうと理解はできた。だが、ここは戦場ではなく船上。人を殺すことなど認められてはいない。
オースティンの言葉に左右されることなくノエルは口を開いた。
「本物の悪魔はそんなしょうもない存在じゃないわよ。麻薬なんてものに頼らなくても人を支配できるほどの力を持っているの。少なくとも私が知ってる悪魔はね。それに例えディートがどれほど外道のクソ野郎だとしても殺していいなんてことはない。少なくともこの船の中では許されていないの。そうよね、セブンス」
言いながらノエルはセブンスに視線を送る。すると彼は得意げに口角を上げて答えた。
「ああ、その通りさ。この船でのイカサマやルール違反は許されてない。人を殺すなんてのは大きなルール違反だぜ。そして俺はイカサマを暴くプロだ。お前がどうやってディートを殺したのか、まるで全て見ていたように話すことができる」
セブンスの言葉を聞いたオースティンは投げやり気味に鼻で笑う。
「はっ、見ていたみたいに? できるわけねぇだろ。だからこそお前らはディートが生きているなんて噂を流してまで俺を誘き寄せた。もし全てを説明できるってんなら、俺はこのまま大人しく捕まってもいいぜ」
「なら、話してやろうか。お前が犯した愚行・・・・・・罪の全てをな」
まるでオースティンが売った喧嘩を買うようにセブンスは言いながら微笑んだ。
そして語り始める。二月前に何があったのか、どのようにしてオースティンがセブンスを殺したのかを。
二月前、ディートを殺害するためにグランマリア号に乗船したオースティンは自分が犯人だと暴かれないよう、自殺に見せかけることを計画していた。
その時、利用しようと思いついたのが各部屋の扉にある二つの錠である。
内側から錠をかけた状態で毒を飲み死んでいれば、大した捜査が行われずに自殺と判断されるのではないかと考えた。
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