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賭けの結果
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情報は得られるのかという緊張の一瞬。
そこに見えたのは優しく微笑む女神。
「やった、表です!」
嬉しさのあまり立ち上がるリオネ。その隣にいるノエルも笑顔を浮かべていた。
コインは表。賭けはノエル、リオネの勝ちである。
勝利を喜ぶようにノエルとリオネはお互いの手を取った。
コインを手にしているセブンスは悔しがるわけでもなく、ただ笑みを浮かべる。
「ふっ、勝利の女神がお嬢さんたちに微笑んだようだな。賭けは守らなきゃならねぇ、ちょっと待ってろ」
そう言ってセブンスは机の上にあった白紙とペンを手に取った。
何かを書き始めたセブンスにノエルが声をかける。
「何書いてるのよ、情報は?」
「まぁ、待てよ。簡単な話じゃあないんだ。一度口頭で説明したくらいで理解できるとは思わない」
言いながらセブンスが書いたのはディートの名前だった。そしてその隣にこう付け足す。
オルタール・デレ。
ギャンブルルームを訪れる前にノエルたちが尋ねた美術商の名前だ。
その名前を書いてからセブンスはオルタールの名前を線で囲む。
「お嬢さんたちは乗客リストを見比べこの男を訪ねたはずだ。だが、こいつは何も知らないと言っただろう」
全てを見透かしたように言い放つセブンス。だが、二人はもうこれくらいでは驚かない。セブンスが集めた情報と二人の表情や会話から推測しているのはわかっていた。
セブンスの能力を理解した上でリオネは頷く。
「ええ、面識もないと言っていました」
「そいつは嘘だ。ディートとオルタールはルーレットの机で会話をしている。その中でオルタールはディートから何かを買い取る話をしていた。その会話から俺はその何かを麻薬だと推測している」
オルタールとディートの関係をセブンスが説明するとノエルは眉間にシワを寄せた。
「麻薬の売買・・・・・・それを人前で話していたって言うの?」
「いいや、俺が麻薬だと推測しただけだ。二人の会話の中ではアレと呼んでいたよ。だが、ほぼ間違いないだろう」
「じゃあ、麻薬売買について揉めた結果オルタールがディートを殺したってことかしら」
「可能性はある。動機としては十分だな。けれど動機があるのはオルタールだけじゃない」
言葉を続けながらセブンスはさらに名前を付け足す。書かれたのはオースティン・ウェストヘッジの名前だ。
この男の部屋も訪ね話を聞いている。だが、やはりディートとは面識がないと話していた。
「オースティン・ウェストヘッジ」
ノエルが名前を読み上げるとリオネはオースティンを思い出しながら言葉にする。
「確か、商人の方でしたね。何も知らないとおっしゃられたのでそれほど会話はしていませんが」
「そうか。だが、もっと深く話を聞くべきだったな。こいつにもディートを殺害する動機がある」
セブンスはそう言いながらオースティンの名前も線で囲んだ。
そこに見えたのは優しく微笑む女神。
「やった、表です!」
嬉しさのあまり立ち上がるリオネ。その隣にいるノエルも笑顔を浮かべていた。
コインは表。賭けはノエル、リオネの勝ちである。
勝利を喜ぶようにノエルとリオネはお互いの手を取った。
コインを手にしているセブンスは悔しがるわけでもなく、ただ笑みを浮かべる。
「ふっ、勝利の女神がお嬢さんたちに微笑んだようだな。賭けは守らなきゃならねぇ、ちょっと待ってろ」
そう言ってセブンスは机の上にあった白紙とペンを手に取った。
何かを書き始めたセブンスにノエルが声をかける。
「何書いてるのよ、情報は?」
「まぁ、待てよ。簡単な話じゃあないんだ。一度口頭で説明したくらいで理解できるとは思わない」
言いながらセブンスが書いたのはディートの名前だった。そしてその隣にこう付け足す。
オルタール・デレ。
ギャンブルルームを訪れる前にノエルたちが尋ねた美術商の名前だ。
その名前を書いてからセブンスはオルタールの名前を線で囲む。
「お嬢さんたちは乗客リストを見比べこの男を訪ねたはずだ。だが、こいつは何も知らないと言っただろう」
全てを見透かしたように言い放つセブンス。だが、二人はもうこれくらいでは驚かない。セブンスが集めた情報と二人の表情や会話から推測しているのはわかっていた。
セブンスの能力を理解した上でリオネは頷く。
「ええ、面識もないと言っていました」
「そいつは嘘だ。ディートとオルタールはルーレットの机で会話をしている。その中でオルタールはディートから何かを買い取る話をしていた。その会話から俺はその何かを麻薬だと推測している」
オルタールとディートの関係をセブンスが説明するとノエルは眉間にシワを寄せた。
「麻薬の売買・・・・・・それを人前で話していたって言うの?」
「いいや、俺が麻薬だと推測しただけだ。二人の会話の中ではアレと呼んでいたよ。だが、ほぼ間違いないだろう」
「じゃあ、麻薬売買について揉めた結果オルタールがディートを殺したってことかしら」
「可能性はある。動機としては十分だな。けれど動機があるのはオルタールだけじゃない」
言葉を続けながらセブンスはさらに名前を付け足す。書かれたのはオースティン・ウェストヘッジの名前だ。
この男の部屋も訪ね話を聞いている。だが、やはりディートとは面識がないと話していた。
「オースティン・ウェストヘッジ」
ノエルが名前を読み上げるとリオネはオースティンを思い出しながら言葉にする。
「確か、商人の方でしたね。何も知らないとおっしゃられたのでそれほど会話はしていませんが」
「そうか。だが、もっと深く話を聞くべきだったな。こいつにもディートを殺害する動機がある」
セブンスはそう言いながらオースティンの名前も線で囲んだ。
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