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連載
ディーラーのテクニック
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「一流のテクニシャンは自分の仕込みをバラさないもんさ。テクニックを誇らしげに自慢するのは二流だぜ?」
得意げに答えるセブンス。
だが、どうしても気になったノエルは歩み寄り食い下がる。
「お願い、教えて。命がかかってるの」
言いながらノエルは指輪のルールを思い浮かべていた。
ディートの死の真相を暴かなければノエルとリオネが着けている指輪が大爆発を起こす。その爆発はグランマリア号を木っ端微塵にする規模だと指輪の声は語っていた。
そしてそれが他人に知られると指輪の爆発魔法が起動してしまう。
現在セブンスがどこまで知っているのかを確認しておかなければなかった。
懇願するノエルの表情から真剣さを読み取ったセブンスは観念したようにため息をつく。
「はぁ・・・・・・その顔はルール違反だぜ、物騒なお嬢さん。いいさ、大した秘密じゃない。このギャンブルルームには様々な情報が入ってくるのさ。例えば、手癖の悪い奴が遊びにきたらサマをするかもしれないだろ。だから船中から情報を収集してる」
セブンスの言葉を聞いたリオネが首を傾げた。
「サマ?」
「イカサマさ。だから俺たちディーラーはどんな人間がいて誰と誰が繋がっているか。どんな会話をしていたか、乗組員たちから事細かに報告させている。そして何者かが二月前の自殺を探っているという情報を得ていたのさ」
改めてセブンスが説明するとノエルは優しく笑う。
「それこそイカサマじゃない」
「いいや、それだけじゃあないぜ。わざわざ俺を訪ねてきたことからその自殺を探っているのがお嬢さんたちだと見抜いたのは俺のテクニックさ。二月前ルーレットを回していたのは俺だからな」
「そういうことね。じゃあ、二月前に」
ノエルがそこまで言いかけるとセブンスが手を前に突き出して言葉を止めた。
「おいおい、せっかく仕込みとテクニックを披露したんだ。どうせならもっと見せてやるよ」
そう言ってからセブンスは真剣な表情でノエルとリオネを観察する。しばらく眺めた後でセブンスは納得したように頷き、口を開いた。
「なるほどな。ディートが自殺した部屋はもう調査しに行っている。この感じだと二月前にも乗船していた客から話を聞いているだろうな。だが、有力な情報は得られなかった。そこで次の手段として二月前に自殺したディートの行動を探っているのか。そしてギャンブルルームに来ていたのではないかと推測したってところだな。つまり聞きたいことは二月前ディートがここに来ていたかどうか。また他の誰かと話していたりはしないか」
これまでの行動を全て言い当てられたノエルとリオネは驚きのあまり言葉を失う。船内の情報と表情や雰囲気、これまでの会話だけでここまで的中させられるものか、と。
そんなセブンスの能力に恐怖のようなものを感じる反面、希望も見出していた。
リオネは強く頷き、セブンスの言葉を肯定する。
「そ、その通りです!」
しかしノエルは目を細めながらセブンスの表情を読もうとしていた。その視線に気づいたセブンスは優しく微笑む。
「どこまで知っていたのか気になっているって感じだな。俺が知っていた情報は二つさ。さっき言ったようにディートの自殺を探っている者がいること。ノーベンバー商会の代表が二月前と今回の乗客リストを所望したこと。つまりその乗客たちから話を聞こうとしたってことだろ? だが、その行動が止まっていないってことはまだ有力な情報を手に入れてないってことになる」
「すごいわね。たとえ事前情報があったとしても、話し方とそのタイミングで心を読まれているみたいに感じるわ」
ノエルが素直に称賛するとセブンスは得意げに口角を上げた。
「それが俺たちディーラーさ。カードやボールを操るんじゃない。その場を操るんだよ」
得意げに答えるセブンス。
だが、どうしても気になったノエルは歩み寄り食い下がる。
「お願い、教えて。命がかかってるの」
言いながらノエルは指輪のルールを思い浮かべていた。
ディートの死の真相を暴かなければノエルとリオネが着けている指輪が大爆発を起こす。その爆発はグランマリア号を木っ端微塵にする規模だと指輪の声は語っていた。
そしてそれが他人に知られると指輪の爆発魔法が起動してしまう。
現在セブンスがどこまで知っているのかを確認しておかなければなかった。
懇願するノエルの表情から真剣さを読み取ったセブンスは観念したようにため息をつく。
「はぁ・・・・・・その顔はルール違反だぜ、物騒なお嬢さん。いいさ、大した秘密じゃない。このギャンブルルームには様々な情報が入ってくるのさ。例えば、手癖の悪い奴が遊びにきたらサマをするかもしれないだろ。だから船中から情報を収集してる」
セブンスの言葉を聞いたリオネが首を傾げた。
「サマ?」
「イカサマさ。だから俺たちディーラーはどんな人間がいて誰と誰が繋がっているか。どんな会話をしていたか、乗組員たちから事細かに報告させている。そして何者かが二月前の自殺を探っているという情報を得ていたのさ」
改めてセブンスが説明するとノエルは優しく笑う。
「それこそイカサマじゃない」
「いいや、それだけじゃあないぜ。わざわざ俺を訪ねてきたことからその自殺を探っているのがお嬢さんたちだと見抜いたのは俺のテクニックさ。二月前ルーレットを回していたのは俺だからな」
「そういうことね。じゃあ、二月前に」
ノエルがそこまで言いかけるとセブンスが手を前に突き出して言葉を止めた。
「おいおい、せっかく仕込みとテクニックを披露したんだ。どうせならもっと見せてやるよ」
そう言ってからセブンスは真剣な表情でノエルとリオネを観察する。しばらく眺めた後でセブンスは納得したように頷き、口を開いた。
「なるほどな。ディートが自殺した部屋はもう調査しに行っている。この感じだと二月前にも乗船していた客から話を聞いているだろうな。だが、有力な情報は得られなかった。そこで次の手段として二月前に自殺したディートの行動を探っているのか。そしてギャンブルルームに来ていたのではないかと推測したってところだな。つまり聞きたいことは二月前ディートがここに来ていたかどうか。また他の誰かと話していたりはしないか」
これまでの行動を全て言い当てられたノエルとリオネは驚きのあまり言葉を失う。船内の情報と表情や雰囲気、これまでの会話だけでここまで的中させられるものか、と。
そんなセブンスの能力に恐怖のようなものを感じる反面、希望も見出していた。
リオネは強く頷き、セブンスの言葉を肯定する。
「そ、その通りです!」
しかしノエルは目を細めながらセブンスの表情を読もうとしていた。その視線に気づいたセブンスは優しく微笑む。
「どこまで知っていたのか気になっているって感じだな。俺が知っていた情報は二つさ。さっき言ったようにディートの自殺を探っている者がいること。ノーベンバー商会の代表が二月前と今回の乗客リストを所望したこと。つまりその乗客たちから話を聞こうとしたってことだろ? だが、その行動が止まっていないってことはまだ有力な情報を手に入れてないってことになる」
「すごいわね。たとえ事前情報があったとしても、話し方とそのタイミングで心を読まれているみたいに感じるわ」
ノエルが素直に称賛するとセブンスは得意げに口角を上げた。
「それが俺たちディーラーさ。カードやボールを操るんじゃない。その場を操るんだよ」
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