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ジャックポット

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 二人の心の中を覗き込んだかのような言葉を聞き、リオネとノエルは思わず驚きの声を漏らした。

「え!?」
「は!?」

 そんな二人に優しく微笑みかけながらセブンスは立ち上がる。

「ジャックポット。大当たりってやつさ。にしてもお嬢さんたちは表情に出やすいなぁ。気をつけた方がいいぜ」

 セブンスはそう言いながら人差し指を二人に向けた。
 どうして目的がわかったのだろう、とリオネは頭の中で考える。外でルーレットのディーラーをしていたスロッティアにも警備の男にも目的は言っていない。
 聞きたいことがある、という情報しか与えていないはずだ。
 それなのにセブンスはノエルやリオネの目的に気づいている。
 オランディにいた最強の剣士フォルテ・リオメットのように心を読むスキルでも持っているのだろうか。
 そう考えているとセブンスはノエルの表情を覗き込み微笑みかけた。

「心配すんなってお嬢さん、別に俺は心を読んだりできないからよ」
「え、なんで」

 頭の中で現在繰り広げている推測すらも読まれ、驚きを隠せないリオネ。
 その瞬間にセブンスは勢いよくノエルの方へ振り向き、こう言い放った。

「こっちのお嬢さんは背後から斬りかかってみようかって思ってんな。心が読めるならかわせるだろうって」
「ど、どうしてわかったのよ?」
「物騒だな、やめた方がいい」

 不思議そうに問いかけるノエルにセブンスは口角を上げて迫力ある言い方で話す。
 それは圧倒的強者が相手にもならない敵に警告しているようにも感じた。
 威圧的だと判断したノエルは身構える。だが、セブンスは途端に力のない表情を浮かべた。

「勝敗なら最初から見えている。いいか、俺は弱い」

 思いもよらぬ言葉にノエルは呆れてしまう。

「へ?」
「だーから、俺は圧倒的に弱いんだよ。喧嘩なんかになったら五歳くらいの女の子にも負ける」
「弱すぎじゃない、それ」

 セブンスの告白に怪訝な反応をしてしまうノエル。
 しかしそんな反応など気にせずにセブンスは言葉を続けた。

「見ろよ、このほっそい腕、繊細な指。戦いに向いてるわけないだろうが。後、綺麗なフェイス」
「いや、顔は知らないけど、確かに戦う者の体つきじゃないわね。でもどうやって心を読んでるのよ」

 再びノエルがそう問いかけるとセブンスは彼女に近づきながらゆっくりと説明する。

「俺はこの船でもトップのディーラーだからな。客の表情や仕草、醸し出している雰囲気から大体のことはわかるのさ。それに客の情報も知り尽くしている。俺にとっての武器は剣や槍でも筋肉や運動能力、体術でもない。この全てを拾い集める目と逃さない耳、テクニックを秘めた指なのさ」

 言いながらセブンスは右手を顔の高さまで上げて全ての指をウネウネを動かした。まるで別の生き物のように動く右手。
 そんな姿を見て若干引き気味だったノエルたちだったが、時間を無駄にするわけにはいかない、とリオネが一歩前に出る。

「あ、あの、じゃあどうして私たちが聞きたい話が二月前の自殺の件だと気づいたんですか。あれは当てずっぽうじゃなかった。確信していましたよね」

 リオネがそう問いかけるとセブンスは再び微笑んだ。
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