異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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Two characteristics

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 ギャンブルの大まかな種類を確認したリオネは改めて周囲を見渡した。
 何も知らずに眺めるのと知識を得てから眺めるのでは見えるものが大きく違う。
 プレイヤー同士のギャンブルをしている机ではほとんど会話はない。カードを配るディーラーがおり、二人のプレイヤーが机を挟んで睨み合っていた。いわば奪い合い。敵同士ということになるだろう。
 さらにお金を賭けているのは当人同士だけなので、周囲の人間はその様子を眺めているのみである。そして不正を防止するために周囲での会話は禁止されていた。

「なるほど、プレイヤー同士のギャンブルでは会話をすることはほとんどないですね・・・・・・・」

 リオネはそう呟きながらルーレットが行われている机を観察する。
 プレイヤー同士のギャンブルとは逆にワイワイと客同士で話しながら、賭けを楽しんでいた。
 胴元との賭けならばプレイヤー同士は敵ではない。予想を共有したり、勝ちを喜び合い負けを悲しみ合っている。
 その様子からリオネはこう理解した。

「ディートがギャンブルルームに来ていたとして、この場で誰かと会話をしていたとすれば胴元とのギャンブルですね」
「そういうこと。でも私ならもう一歩踏み込んで推理できるわよ」

 ノエルは得意げに言いながら胴元とプレイヤーがカードの強さを競う机を指差す。
 その言葉と行動の意味がわからずリオネは首を傾げた。

「もう一歩って?」
「胴元とのギャンブルでもカードみたいなものはどうしたって知識とか思考が必要になるのよ」
「ええ、そうみたいですね。確かに難しそうです」
「それだけ?」

 自分の感想を話すリオネにノエルはそう問いかける。
 しかし、リオネにはまだノエルの考えは理解できていない。

「それだけって?」

 問いかけに問いかけで答えるリオネ。するとノエルはリオネを指さしてこう話した。

「リオネが言ったんでしょ。ディートの気持ちになるってさ。船に乗る前の行動はわかっているでしょう」
「ディートの気持ち・・・・・・船に乗る前の行動・・・・・・そっか、ディートは既にお酒を飲んでいた。そんな状態で深く考えなければならないギャンブルはしないですね」
「そうそう。で、深く考えずに簡単に楽しめるギャンブルといえばあれよ」

 ノエルは言いながらルーレットの机を指差す。
 酒に酔っていたはずのディート、ギャンブルの特性。二つの情報を合わせ導き出される答えはルーレットだった。

「確かにあれなら、深く考えずに賭けれるかもしれません。その上で周囲との会話もできる」

 導き出された答えにリオネが納得するとノエルは腕を組んでから口を開く。

「まぁ、私に言わせればルーレットも深く考えなきゃいけないけどね。訓練されたディーラーなら狙った番号にボールを落とすことができるはずだし、どこを狙うか予測して賭けるべきなのよ。今までに出た番号、他の客が賭けている番号、勝ち負けの割合、その総合的な判断によって・・・・・・」

 ルーレットに対する持論を早口で話すノエル。その言葉を遮るようにリオネが話しかけた。

「ま、まぁ、それでも素人が賭けるなら運任せで良いってことですよね。とにかくルーレットの机で話を聞いてみましょうよ」
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