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連載

嬉しい誤算

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 本題を口にしたノエル。
 そんな彼女の言葉を聞いたルベルトは何かを察したように真剣な表情で言葉を返した。

「二月前・・・・・・と言いますと、ディート・グルーニーが自殺した件ですか」

 さすが国軍に籍を置く者と言うべきか。ルベルトは即座に本題へと辿り着く。
 ルベルトの言葉を聞いた三人はその言葉から何かを知っているかもしれないと期待した。期待した上でノエルが話を切り出す。

「よくわかったわね。話が早くて助かるわ。ディートの死について話が聞きたいのよ」
「なるほど・・・・・・もちろん協力はさせていただくのですが、理由を聞かせてもらえないですか」

 ルベルトにそう問いかけられたノエルは心の中で次の言葉を選んだ。
 オランディの騎士という立場上、ルベルトが情報漏洩に気を遣うのは当然だろう。だが、正直に事情を話してしまえば指輪の爆発魔法が起動するはずだ。
 どう説明すればルベルトを納得させた上で、指輪を起動させないか。ノエルは必死に考え、絞り出した言葉を口にする。

「全てを救うためなの」

 どこまで話せば爆発魔法が起動するかはわからない。救うという言葉を使ったのは一種の賭けだった。
 だが、賭けには勝利したらしく指輪は微動だにしない。
 指輪の起動条件もあり、必死に言葉を吐き出したノエルの覚悟を感じたのかルベルトは納得したように頷いた。

「わかりました、何でもお話ししましょう」
「ふぅ・・・・・・ありがとう、助かるわ」

 指輪の緊張感から解放されたノエルは安堵したように話す。同じようにリオネとアルダリンも緊張から解き放たれていた。
 安心と情報提供の約束を手に入れたノエルは話を進める。

「じゃあ、話を戻すわよ。二月前この船の中でディートって男が自殺したわ。それについて知っていることはない?」
「遺体が発見された直後のことはわかりませんが、現場検証には立ち会いましたよ」
「本当!?」

 思いもよらぬ言葉に驚きながらも喜ぶノエル。ディートのことを知っている可能性さえ低いと思っており、ディートの名前をルベルトが口にした時も事件の話を聞いた程度だと考えていた。
 だが、ルベルトは遺体発見直後の現場を目にしていると言う。
 飛び跳ねるような勢いで驚き喜ぶノエルの姿に苦笑しながら、ルベルトは話を続けた。

「ええ、遺体が発見されたのはグランマリア号が出航した次の日の朝でした。二月前も今回と同じく、日暮れの時間にデルターラの港を出て三日後にエスエ帝国に到着する予定だったと思います。ですので出航してそれほど時間が経っていませんでした。ちょうど今と同じくらいの時間だったと記憶しています」

 ルベルトは新たな情報を口にする。つまりディートはグランマリア号が出航した最初の夜、もしくは朝発見されるまでの時間の中で命を落としたということだ。

「なるほど、死亡した時間は大雑把にだけど掴めたわね。それで、どうして現場に立ち会うことになったの?」

 ルベルトの言葉を聞いたノエルは新たにそう問いかける。
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