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現場にて

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 アルダリンの部屋を出たノエルとリオネはメモに書かれた部屋に向かう。
 ディートが泊まっていた部屋、その命を終えた部屋は四階の角部屋だった。
 廊下の一番奥にあり、部屋に入れないようにロープが張られている。

「どうやら、ここで合ってるみたいね」

 物々しい雰囲気のロープとこじ開けられたであろう扉を見ながらノエルがそう話した。
 おそらく、異変を感じた乗組員あたりが体当たりで鍵のかかった扉を破壊し入室したのだろう。扉の鍵部分が破損し、閉じきらないようになっていた。
 その状況を確認しながらリオネが考察する。

「破損しているので、本当に鍵がかかっていたのかはわかりませんね」
「でも、無理やり破壊して突破していることを考えれば、扉が開かなかったことは確かね」

 ノエルはそう言いながら、ロープを持ち上げ入ろうとした。
 すると背後から何者かが走る音が聞こえてくる。
 足音に反応した二人が振り返ると乗組員らしき男がこちらに向かっていた。

「ちょっとちょっと、困りますよお客様。そこは立ち入り禁止になってます」

 乗組員は慌てた様子でそう言い放つ。
 言葉に反応したノエルは一度ロープを手放し乗組員に返答した。

「あれ、アルダリンさんから聞いてない? この部屋を調査させてもらうことになってるんだけど」

 すると乗組員は懐から手帳のようなものを取り出し確認する。

「アルダリンさんってあの、ノーベンバー商会のですか? いえ、そのような話は聞いておりませんが」
「そんなはずないわよ。ちゃんと確認してくれない?」

 ノエルがそう答えると、リオネは一歩前に出て乗組員に微笑みかけた。

「多分、今朝早くにアルダリンさんがお話に向かわれたと思います。急なことでしたのでまだお話が届いていないのかもしれません。お手数ですが確認をしていただけませんか?」

 時間がないと焦っているが故に高圧的とも取れる言い方をしてしまったノエル。そんな言葉を聞いた乗組員は少しだけ眉を顰めていた。だが丁寧な頼み方をしたリオネの言葉によって快く承諾する。

「は、はい。少々お待ちください」

 即座に乗組員は振り返りどこかへ走って行ってしまった。
 乗組員の背中を眺めながらノエルは自分の額に触れながら口を開く。

「ごめん。ちょっと焦ってたみたいね。正直助かったわ」
「いえ、ノエルさんが話の主導権を握ってくれたおかげですよ。あのままだと話を聞いてもらえずに帰される可能性もありましたから。それに私にも焦る気持ちはあります」
「なんだかんだで良いコンビになれそうってことね。改めてよろしくね、リオネさん・・・・・・ううん、リオネ」

 言いながらノエルはリオネに右手を伸ばした。
 突然差し出された右手に驚きながらもリオネは微笑み自分も右手を出し、握手を交わす。

「こちらこそです、ノエルさ・・・・・・ノエル」

 二人が事件解決に向け、改めて協力することを誓い合っていると先ほどの乗組員が戻ってきた。
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