235 / 729
連載
木っ端微塵回避条件
しおりを挟む
指輪の音声を聞き終えたリオネが遠ざけた指輪を眺めながら呟くように繰り返す。
「二月前に起きた自殺の真相・・・・・・」
「そんなことがあったことも知らないのに、どうして私たちに?」
リオネの呟きに続くようにノエルがそう言った。するとアルダリンは申し訳なさそうに口を開く。
「もしかすると・・・・・・いや、高確率で私のせいなのかもしれません。少なからず私はこの船の中であらゆる権利を持っています。そしてある程度行動の自由も効く存在。さらに先ほどの二人の話を聞く限り、指輪に不審点を抱く瞬間には必ず私が存在するはずです。ノーベンバー商会の商品ではないと気付けるのは私だけでしょうから。つまり狙われたのは私の同行者・・・・・・」
指輪に魔法をかけた犯人はリオネとノエルを狙ったのではなく、アルダリンの同行者を狙った結果それが二人だっただけだろうと責任を感じるアルダリン。
二人を巻き込んでしまったという自責の念から表情を曇らせた。
最初は爆弾に驚きショックを受けていたリオネとノエルだったが、普段優しい表情しか見せないアルダリンの曇った顔を見て冷静さを取り戻す。
「そんな顔しないでください、アルダリンさん。私は護衛です。アルダリンさんに降りかかる火の粉を浴びるのは承知で依頼を受けたんですよ」
「リオネさんの言う通りよ。私やクラノもアルダリンさんが狙われる可能性を考えながらも同行を決めたの」
リオネとノエルが気持ちを伝えるとアルダリンは表情に明るさを取り戻した。
「リオネさん・・・・・・ノエルさん・・・・・・」
二人の顔を交互に見ながら名前を呼ぶアルダリンにノエルが言葉を続ける。
「それにまだ爆発するって決まったわけじゃないわよ。指輪から聞こえた言葉が本当なら二月前に起きた自殺の真相を暴けばいいだけだわ。タイムリミットはエスエ帝国に着くまでの三日間。それまでに解決すればいいんでしょ」
「そうですね。うん、その通りですよ、ノエルさん。私たち以外にこの話はせず、三日以内に解決する。それだけです」
リオネはそう言いながら胸の前で両手の拳を握った。
二人の話を聞いたアルダリンは完全に明るさを取り戻し頷く。
「そうですな。ほっほっほ、ガラにもなく落ち込んでおりました。とにかく、私は私にできることをします。悲観するのはそれからでも遅くはないですな」
もし、この件を誰か一人で抱えていたとしたら諦めていたかもしれない。だが幸運なことに三人で背負うことになったのだ。三人いることで絶望から即座に立ち上がることができたのである。
アルダリンの言葉に同意しながらリオネとノエルは頷いた。
「そうですよ、アルダリンさん」
「そうね。悲観してても木っ端微塵になるだけだしね」
解決に向けて動き出すと決めた三人。最初に考えるべきことは一つだった。
口を開いたのはリオネである。
「あの、そろそろ誰かの部屋で話しませんか。ずっと廊下なので」
そう、三人は今後の運命を決めるであろう会話をずっと廊下でしていたのだ。
リオネの言葉を聞いた二人は同意し、アルダリンの部屋に向かう。
その頃、倉野はこのような事態になっているとは知らず船の揺れ、船酔いと戦っていた。頑張れ三半規管というスローガンを掲げ、眠りに落ちていく。
「二月前に起きた自殺の真相・・・・・・」
「そんなことがあったことも知らないのに、どうして私たちに?」
リオネの呟きに続くようにノエルがそう言った。するとアルダリンは申し訳なさそうに口を開く。
「もしかすると・・・・・・いや、高確率で私のせいなのかもしれません。少なからず私はこの船の中であらゆる権利を持っています。そしてある程度行動の自由も効く存在。さらに先ほどの二人の話を聞く限り、指輪に不審点を抱く瞬間には必ず私が存在するはずです。ノーベンバー商会の商品ではないと気付けるのは私だけでしょうから。つまり狙われたのは私の同行者・・・・・・」
指輪に魔法をかけた犯人はリオネとノエルを狙ったのではなく、アルダリンの同行者を狙った結果それが二人だっただけだろうと責任を感じるアルダリン。
二人を巻き込んでしまったという自責の念から表情を曇らせた。
最初は爆弾に驚きショックを受けていたリオネとノエルだったが、普段優しい表情しか見せないアルダリンの曇った顔を見て冷静さを取り戻す。
「そんな顔しないでください、アルダリンさん。私は護衛です。アルダリンさんに降りかかる火の粉を浴びるのは承知で依頼を受けたんですよ」
「リオネさんの言う通りよ。私やクラノもアルダリンさんが狙われる可能性を考えながらも同行を決めたの」
リオネとノエルが気持ちを伝えるとアルダリンは表情に明るさを取り戻した。
「リオネさん・・・・・・ノエルさん・・・・・・」
二人の顔を交互に見ながら名前を呼ぶアルダリンにノエルが言葉を続ける。
「それにまだ爆発するって決まったわけじゃないわよ。指輪から聞こえた言葉が本当なら二月前に起きた自殺の真相を暴けばいいだけだわ。タイムリミットはエスエ帝国に着くまでの三日間。それまでに解決すればいいんでしょ」
「そうですね。うん、その通りですよ、ノエルさん。私たち以外にこの話はせず、三日以内に解決する。それだけです」
リオネはそう言いながら胸の前で両手の拳を握った。
二人の話を聞いたアルダリンは完全に明るさを取り戻し頷く。
「そうですな。ほっほっほ、ガラにもなく落ち込んでおりました。とにかく、私は私にできることをします。悲観するのはそれからでも遅くはないですな」
もし、この件を誰か一人で抱えていたとしたら諦めていたかもしれない。だが幸運なことに三人で背負うことになったのだ。三人いることで絶望から即座に立ち上がることができたのである。
アルダリンの言葉に同意しながらリオネとノエルは頷いた。
「そうですよ、アルダリンさん」
「そうね。悲観してても木っ端微塵になるだけだしね」
解決に向けて動き出すと決めた三人。最初に考えるべきことは一つだった。
口を開いたのはリオネである。
「あの、そろそろ誰かの部屋で話しませんか。ずっと廊下なので」
そう、三人は今後の運命を決めるであろう会話をずっと廊下でしていたのだ。
リオネの言葉を聞いた二人は同意し、アルダリンの部屋に向かう。
その頃、倉野はこのような事態になっているとは知らず船の揺れ、船酔いと戦っていた。頑張れ三半規管というスローガンを掲げ、眠りに落ちていく。
0
お気に入りに追加
2,851
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。