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木っ端微塵回避条件

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 指輪の音声を聞き終えたリオネが遠ざけた指輪を眺めながら呟くように繰り返す。

「二月前に起きた自殺の真相・・・・・・」
「そんなことがあったことも知らないのに、どうして私たちに?」

 リオネの呟きに続くようにノエルがそう言った。するとアルダリンは申し訳なさそうに口を開く。

「もしかすると・・・・・・いや、高確率で私のせいなのかもしれません。少なからず私はこの船の中であらゆる権利を持っています。そしてある程度行動の自由も効く存在。さらに先ほどの二人の話を聞く限り、指輪に不審点を抱く瞬間には必ず私が存在するはずです。ノーベンバー商会の商品ではないと気付けるのは私だけでしょうから。つまり狙われたのは私の同行者・・・・・・」

 指輪に魔法をかけた犯人はリオネとノエルを狙ったのではなく、アルダリンの同行者を狙った結果それが二人だっただけだろうと責任を感じるアルダリン。
 二人を巻き込んでしまったという自責の念から表情を曇らせた。
 最初は爆弾に驚きショックを受けていたリオネとノエルだったが、普段優しい表情しか見せないアルダリンの曇った顔を見て冷静さを取り戻す。

「そんな顔しないでください、アルダリンさん。私は護衛です。アルダリンさんに降りかかる火の粉を浴びるのは承知で依頼を受けたんですよ」
「リオネさんの言う通りよ。私やクラノもアルダリンさんが狙われる可能性を考えながらも同行を決めたの」

 リオネとノエルが気持ちを伝えるとアルダリンは表情に明るさを取り戻した。

「リオネさん・・・・・・ノエルさん・・・・・・」

 二人の顔を交互に見ながら名前を呼ぶアルダリンにノエルが言葉を続ける。

「それにまだ爆発するって決まったわけじゃないわよ。指輪から聞こえた言葉が本当なら二月前に起きた自殺の真相を暴けばいいだけだわ。タイムリミットはエスエ帝国に着くまでの三日間。それまでに解決すればいいんでしょ」
「そうですね。うん、その通りですよ、ノエルさん。私たち以外にこの話はせず、三日以内に解決する。それだけです」

 リオネはそう言いながら胸の前で両手の拳を握った。
 二人の話を聞いたアルダリンは完全に明るさを取り戻し頷く。

「そうですな。ほっほっほ、ガラにもなく落ち込んでおりました。とにかく、私は私にできることをします。悲観するのはそれからでも遅くはないですな」

 もし、この件を誰か一人で抱えていたとしたら諦めていたかもしれない。だが幸運なことに三人で背負うことになったのだ。三人いることで絶望から即座に立ち上がることができたのである。
 アルダリンの言葉に同意しながらリオネとノエルは頷いた。

「そうですよ、アルダリンさん」
「そうね。悲観してても木っ端微塵になるだけだしね」

 解決に向けて動き出すと決めた三人。最初に考えるべきことは一つだった。
 口を開いたのはリオネである。

「あの、そろそろ誰かの部屋で話しませんか。ずっと廊下なので」

 そう、三人は今後の運命を決めるであろう会話をずっと廊下でしていたのだ。
 リオネの言葉を聞いた二人は同意し、アルダリンの部屋に向かう。
 その頃、倉野はこのような事態になっているとは知らず船の揺れ、船酔いと戦っていた。頑張れ三半規管というスローガンを掲げ、眠りに落ちていく。
 
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