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海に罪の炎を映して
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指輪を受け取った倉野は店員に軽く会釈をしてから、ノエルとリオネにそれぞれ一つずつ贈る。
「あの・・・・・・・本当にいいんですか?」
倉野から指輪を貰ったリオネは申し訳なさそうにしながら問いかけた。倉野としてはそれほど指輪の意味を考えてはおらず、魔力が増幅されることで二人の戦力が上がり身を守ることに繋がるのではないかと思ってのことである。
何気なく贈ってくれたのだろうと理解しているノエルは苦笑しながら小さく呟いた。
「まったく、この男は・・・・・・どうして自ら、自分を追い込むかな」
好意を向けている相手から指輪を贈られれば普通なら喜ぶだろう。もちろんリオネも喜んでいた。だが、問題なのは同時に二人の女性に贈ったことである。
その指輪が特定の意味を持たないこと。そして特定の意味を持たずに贈れる相手だということをリオネに突きつけていたのだった。
何も気にしていない倉野は微笑んで答える。
「はい、是非貰ってください」
そう悪気なく言われてしまったリオネは複雑な感情を胸に隠し、礼を言った。
「ありがとうございます。大切にしますね」
リオネが礼を言い受け取ったのを見たノエルは仕方がないと続けて礼を言う。
「リオネさんが良いなら私もありがたく受け取ることにするわ。ありがとうクラノ」
二人からの感謝を受けた倉野は胸の中に隠された複雑な感情など考えずに言葉をそのまま受け取った。
「いえいえ、喜んでもらえてよかったです」
そんな倉野の言葉を聞いたノエルは呆れたようにため息をつく。
そのまま二人は左手の中指に指輪を着け、その効果を体感していた。
「ちゃんと魔力を感じるわね。確かに魔力を増幅させる効果があるような気がするわ」
「そうですね。ノエルさんの言う通り魔力の流れを感じます。武器じゃない装飾品で自分の戦力を上げるなんて発想なかったので驚きです」
各々感想を言いながら装着した指輪を眺めるノエルとリオネ。
どうやら指輪の着け心地は悪くないらしい。
その後、クラーケンの串焼きを食べ終えた三人は空を見上げ、日暮れが近づいていることに気づく。
もうそろそろグランマリア号に戻る時間だとノエルが言い出し、急いでゴミを片付け停泊している場所に向かった。
オレンジ色に染まる水平線が見え、その上にグランマリア号が浮いている。まるで燃え盛る炎の中にグランマリア号が浮かんでいるように見えた。
その光景に違和感を感じたのは倉野ではなくリオネである。
いや、違和感と言うよりも胸のざわつきといったほうが正しいだろうか。
これから何かが起きるような、そんな予感をさせる光景だったのである。
「さ、早く乗りましょう」
ノエルがそう言いながら船に向かった。倉野とリオネはその背中を追いかけるように船に乗り込む。
その後、すぐにグランマリア号は錨を上げ、出航準備をし始めた。
リオネの感じた胸のざわつきの正体が最悪の形で現れることを知らずに、グランマリア号はデルターラの港を出る。
題名をつけるとするならば、そう。グランマリア号殺人事件とでもいうべきだろうか。
「あの・・・・・・・本当にいいんですか?」
倉野から指輪を貰ったリオネは申し訳なさそうにしながら問いかけた。倉野としてはそれほど指輪の意味を考えてはおらず、魔力が増幅されることで二人の戦力が上がり身を守ることに繋がるのではないかと思ってのことである。
何気なく贈ってくれたのだろうと理解しているノエルは苦笑しながら小さく呟いた。
「まったく、この男は・・・・・・どうして自ら、自分を追い込むかな」
好意を向けている相手から指輪を贈られれば普通なら喜ぶだろう。もちろんリオネも喜んでいた。だが、問題なのは同時に二人の女性に贈ったことである。
その指輪が特定の意味を持たないこと。そして特定の意味を持たずに贈れる相手だということをリオネに突きつけていたのだった。
何も気にしていない倉野は微笑んで答える。
「はい、是非貰ってください」
そう悪気なく言われてしまったリオネは複雑な感情を胸に隠し、礼を言った。
「ありがとうございます。大切にしますね」
リオネが礼を言い受け取ったのを見たノエルは仕方がないと続けて礼を言う。
「リオネさんが良いなら私もありがたく受け取ることにするわ。ありがとうクラノ」
二人からの感謝を受けた倉野は胸の中に隠された複雑な感情など考えずに言葉をそのまま受け取った。
「いえいえ、喜んでもらえてよかったです」
そんな倉野の言葉を聞いたノエルは呆れたようにため息をつく。
そのまま二人は左手の中指に指輪を着け、その効果を体感していた。
「ちゃんと魔力を感じるわね。確かに魔力を増幅させる効果があるような気がするわ」
「そうですね。ノエルさんの言う通り魔力の流れを感じます。武器じゃない装飾品で自分の戦力を上げるなんて発想なかったので驚きです」
各々感想を言いながら装着した指輪を眺めるノエルとリオネ。
どうやら指輪の着け心地は悪くないらしい。
その後、クラーケンの串焼きを食べ終えた三人は空を見上げ、日暮れが近づいていることに気づく。
もうそろそろグランマリア号に戻る時間だとノエルが言い出し、急いでゴミを片付け停泊している場所に向かった。
オレンジ色に染まる水平線が見え、その上にグランマリア号が浮いている。まるで燃え盛る炎の中にグランマリア号が浮かんでいるように見えた。
その光景に違和感を感じたのは倉野ではなくリオネである。
いや、違和感と言うよりも胸のざわつきといったほうが正しいだろうか。
これから何かが起きるような、そんな予感をさせる光景だったのである。
「さ、早く乗りましょう」
ノエルがそう言いながら船に向かった。倉野とリオネはその背中を追いかけるように船に乗り込む。
その後、すぐにグランマリア号は錨を上げ、出航準備をし始めた。
リオネの感じた胸のざわつきの正体が最悪の形で現れることを知らずに、グランマリア号はデルターラの港を出る。
題名をつけるとするならば、そう。グランマリア号殺人事件とでもいうべきだろうか。
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