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ノーベンバー商会の繋がり
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その指輪を見せながら店員が話を続けた。
「これを指に着けてもらえれば魔法発動時に魔力を増強してくれるんです。あのノーベンバー商会の新製品ですよ」
店員の説明を聞いた倉野はなるほど、と頷く。
確かにこれまでも同じような素材を使っているノーベンバー商会の製品は見てきた。その技術を応用した製品だというのならば信頼できるだろう。
話を聞いたノエルが倉野とリオネの表情を窺いながら問いかけた。
「どうしようか? 身につけてるだけで魔力が上がるのなら私は買っておこうかな。それにアルダリンさんのところの商品なら信頼できそうだし。クラノたちは買う?」
問いかけられたリオネは頷く。
「そうですね、私も買っておこうかな。他の国じゃ見たことないですし。クラノさんはどうしますか?」
「あー僕は魔法が使えないのでやめておきます。どうせ活用できませんから」
苦笑しながら倉野はそう返答した。倉野自身魔法が使えないどころか魔力すら持っていないので魔力を増幅させるアクセサリーを持っていても仕方がない。
倉野の答えを聞くとリオネは思い出したように目を見開いた。
「あ、そういえば。じゃあ、私とノエルさんだけで買いましょうか。お揃いですね」
リオネがそう言うとノエルは少し恥ずかしそうに笑う。
「お揃いって。そりゃそうなんだけどね。じゃあ、買うってことでいいのね?」
「はい!」
「じゃあ、二つもらうわ。いくらかしら?」
店員に問いかけるノエル。すると店員は少し考えてから口を開いた。
「えっと、アルダリンさんのお知り合いなんですよね?」
どうやら先ほどのノエルの言葉から察したらしい。
店員の言葉を聞いたリオネが頷く。
「はい、理由があって同行させていただいています」
リオネが答えると店員はサービス業らしく笑顔を見せ、こう話した。
「でしたら、二つ合わせて銀貨一枚でいいですよ。アルダリンさんのお知り合いから高額を受け取るわけにはいきませんから」
「え、いいんですか?」
提示された金額に驚きながらリオネが聞き返すと店員は再び微笑む。
しかし、ノエルは金額の低さに怪しさを感じ疑問を口にした。
「ちょっと待って、いくらなんでも安すぎない? 何か裏があるんじゃないの?」
「いえいえ、何もありませんよ」
「だって、本当に私たちがアルダリンさんの同行者かどうかわからないじゃない」
「ふふふ、それくらいわかりますよ。この港にもノーベンバー商会の息がかかった店は多いですから、アルダリンさんがグランマリア号に乗るために訪れてらっしゃることくらい聞いています。そして男性一名と女性二名を同行させていることも、その容姿もです。私の働いている店もノーベンバー商会との取引がありますからね。ですから、どうかアルダリンさんによろしくお伝えいただければ、と」
店員の真意を聞いたノエルは理解したように口角を上げる。
「なるほど、そういうことね。お店側にもメリットがあるってことか。だったらありがたく買わせてもらうわ」
そう言いながらノエルは自分の鞄を探った。だが既に倉野が銀貨を取り出しており、そのまま支払う。
「はい、銀貨でいいんですよね」
「ちょっとクラノ」
「いいんですよ。僕が払いたいんですから」
倉野が答えると店員は銀貨を受け取り、指輪を手渡した。
「これを指に着けてもらえれば魔法発動時に魔力を増強してくれるんです。あのノーベンバー商会の新製品ですよ」
店員の説明を聞いた倉野はなるほど、と頷く。
確かにこれまでも同じような素材を使っているノーベンバー商会の製品は見てきた。その技術を応用した製品だというのならば信頼できるだろう。
話を聞いたノエルが倉野とリオネの表情を窺いながら問いかけた。
「どうしようか? 身につけてるだけで魔力が上がるのなら私は買っておこうかな。それにアルダリンさんのところの商品なら信頼できそうだし。クラノたちは買う?」
問いかけられたリオネは頷く。
「そうですね、私も買っておこうかな。他の国じゃ見たことないですし。クラノさんはどうしますか?」
「あー僕は魔法が使えないのでやめておきます。どうせ活用できませんから」
苦笑しながら倉野はそう返答した。倉野自身魔法が使えないどころか魔力すら持っていないので魔力を増幅させるアクセサリーを持っていても仕方がない。
倉野の答えを聞くとリオネは思い出したように目を見開いた。
「あ、そういえば。じゃあ、私とノエルさんだけで買いましょうか。お揃いですね」
リオネがそう言うとノエルは少し恥ずかしそうに笑う。
「お揃いって。そりゃそうなんだけどね。じゃあ、買うってことでいいのね?」
「はい!」
「じゃあ、二つもらうわ。いくらかしら?」
店員に問いかけるノエル。すると店員は少し考えてから口を開いた。
「えっと、アルダリンさんのお知り合いなんですよね?」
どうやら先ほどのノエルの言葉から察したらしい。
店員の言葉を聞いたリオネが頷く。
「はい、理由があって同行させていただいています」
リオネが答えると店員はサービス業らしく笑顔を見せ、こう話した。
「でしたら、二つ合わせて銀貨一枚でいいですよ。アルダリンさんのお知り合いから高額を受け取るわけにはいきませんから」
「え、いいんですか?」
提示された金額に驚きながらリオネが聞き返すと店員は再び微笑む。
しかし、ノエルは金額の低さに怪しさを感じ疑問を口にした。
「ちょっと待って、いくらなんでも安すぎない? 何か裏があるんじゃないの?」
「いえいえ、何もありませんよ」
「だって、本当に私たちがアルダリンさんの同行者かどうかわからないじゃない」
「ふふふ、それくらいわかりますよ。この港にもノーベンバー商会の息がかかった店は多いですから、アルダリンさんがグランマリア号に乗るために訪れてらっしゃることくらい聞いています。そして男性一名と女性二名を同行させていることも、その容姿もです。私の働いている店もノーベンバー商会との取引がありますからね。ですから、どうかアルダリンさんによろしくお伝えいただければ、と」
店員の真意を聞いたノエルは理解したように口角を上げる。
「なるほど、そういうことね。お店側にもメリットがあるってことか。だったらありがたく買わせてもらうわ」
そう言いながらノエルは自分の鞄を探った。だが既に倉野が銀貨を取り出しており、そのまま支払う。
「はい、銀貨でいいんですよね」
「ちょっとクラノ」
「いいんですよ。僕が払いたいんですから」
倉野が答えると店員は銀貨を受け取り、指輪を手渡した。
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