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連載
剣と女性
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再び大通りを歩いていると倉野は背後から声をかけられる。聞き慣れた女性の声だ。
「あれ、クラノじゃない」
なんだろうと振り返るとそこにはノエルが立っている。その腰にはいつもと違う剣を収めていた。
「あれ、ノエルさん。どうしたんですか」
「多分あんたと同じよ。ちょっと早く目が覚めちゃったから買い物に出かけてたの。ほら剣をね」
ノエルはそう答えて腰の剣に触れる。
「ああ、言ってましたもんね。ほんとに買い替えたんですか」
「そうよ。ってそれだけ?」
倉野の言葉を聞いたノエルは言いながら不満そうな表情を浮かべた。
何が気に入らなかったのかと倉野は聞き返す。
「え、それだけって?」
「はぁ、あんたってば妙なところは鋭いくせに基本的には鈍いんだね。この剣は超一級の品よ。切れ味もだけど魔石を含んだ金属を使ってるから魔力の伝導率がいいのよ。この剣さえあれば両手で構えられる上に魔法の発動が早くなる。それがわからないの?」
「いや、普通わかりませんよそんなこと」
「そんなんだから女の子の気持ちがわからないのよ。女の子の髪型が変わっても気づかないタイプでしょ、クラノ」
そう言いながらノエルは呆れたようにため息をついた。
そんな言葉に身に覚えを感じながらも倉野は言い返す。
「それは否定できませんけど、剣と髪型じゃあ大違いですよ」
「違わないわよ、何が身を守るかってこと。女の子にとって髪型や服装が身を守る術だったりするの。それが私にはこれなのよ」
ノエルは得意げに言いながら剣をポンポンと叩いた。その言葉からノエルがどのように生きてきたのかほんの少しだけわかるような気がする。
倉野は苦笑いしながら言葉を返した。
「ははは、確かにそういうことに気付くのは苦手かもしれません」
話を終わらせようとする倉野だったがノエルはさらに言葉を足す。
「笑い事じゃないわよ。このままエスエ帝国に戻ったらあのリオネって子とグランダー家のお嬢様が鉢合わせしちゃうんじゃない? そうなったら血の雨が降るわよ」
ノエルの放つ物騒な言葉に驚きながらも倉野は苦笑いを続けた。
「は、はは、血の雨だなんて」
「馬鹿ねぇ、女は怖いのよ。普段大人しい子ほど心の中に鋭い刃を隠してるもの。私みたいにね」
「え?」
「何よ、その反応。私が大人しくないみたいじゃない。まぁ、それはいいんだけど、そろそろはっきりしとかないと二人ともを傷つけることになるわ。クラノの性格はなんとなく分かってるけど、どちらの女の子も嫌いじゃないはず。だけどどちらも、はないの。わかるわよね」
いつになく真剣な表情でノエルはそう話す。それが彼女の優しさでもあることを倉野は知っていた。ノエルは厳しい言葉を使いながらも優柔不断な倉野に選択するべきだと諭している。
苦笑いをやめた倉野は心の中で目の前の選択肢と向き合った。
決めなければいけない時が近づいているのだと。
「あれ、クラノじゃない」
なんだろうと振り返るとそこにはノエルが立っている。その腰にはいつもと違う剣を収めていた。
「あれ、ノエルさん。どうしたんですか」
「多分あんたと同じよ。ちょっと早く目が覚めちゃったから買い物に出かけてたの。ほら剣をね」
ノエルはそう答えて腰の剣に触れる。
「ああ、言ってましたもんね。ほんとに買い替えたんですか」
「そうよ。ってそれだけ?」
倉野の言葉を聞いたノエルは言いながら不満そうな表情を浮かべた。
何が気に入らなかったのかと倉野は聞き返す。
「え、それだけって?」
「はぁ、あんたってば妙なところは鋭いくせに基本的には鈍いんだね。この剣は超一級の品よ。切れ味もだけど魔石を含んだ金属を使ってるから魔力の伝導率がいいのよ。この剣さえあれば両手で構えられる上に魔法の発動が早くなる。それがわからないの?」
「いや、普通わかりませんよそんなこと」
「そんなんだから女の子の気持ちがわからないのよ。女の子の髪型が変わっても気づかないタイプでしょ、クラノ」
そう言いながらノエルは呆れたようにため息をついた。
そんな言葉に身に覚えを感じながらも倉野は言い返す。
「それは否定できませんけど、剣と髪型じゃあ大違いですよ」
「違わないわよ、何が身を守るかってこと。女の子にとって髪型や服装が身を守る術だったりするの。それが私にはこれなのよ」
ノエルは得意げに言いながら剣をポンポンと叩いた。その言葉からノエルがどのように生きてきたのかほんの少しだけわかるような気がする。
倉野は苦笑いしながら言葉を返した。
「ははは、確かにそういうことに気付くのは苦手かもしれません」
話を終わらせようとする倉野だったがノエルはさらに言葉を足す。
「笑い事じゃないわよ。このままエスエ帝国に戻ったらあのリオネって子とグランダー家のお嬢様が鉢合わせしちゃうんじゃない? そうなったら血の雨が降るわよ」
ノエルの放つ物騒な言葉に驚きながらも倉野は苦笑いを続けた。
「は、はは、血の雨だなんて」
「馬鹿ねぇ、女は怖いのよ。普段大人しい子ほど心の中に鋭い刃を隠してるもの。私みたいにね」
「え?」
「何よ、その反応。私が大人しくないみたいじゃない。まぁ、それはいいんだけど、そろそろはっきりしとかないと二人ともを傷つけることになるわ。クラノの性格はなんとなく分かってるけど、どちらの女の子も嫌いじゃないはず。だけどどちらも、はないの。わかるわよね」
いつになく真剣な表情でノエルはそう話す。それが彼女の優しさでもあることを倉野は知っていた。ノエルは厳しい言葉を使いながらも優柔不断な倉野に選択するべきだと諭している。
苦笑いをやめた倉野は心の中で目の前の選択肢と向き合った。
決めなければいけない時が近づいているのだと。
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