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英雄の背中
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そんな倉野の肩をレインが掴み、微笑む。
「クラノ、何があろうと俺はクラノの味方だ。困ったらいつでも呼んでくれ」
そう話すレインに倉野は微笑み返した。
「何言ってるんですか、味方じゃなくて友達でしょう。これが永遠の別れというわけでもありません。世界は繋がっているんですから、またどこかで会いましょう」
微笑みながら言って、クラノはレインに背を向ける。
昨夜から続いたオランディの王位継承権を巡る戦いは終わった。部外者は去るだけ、そう思いながらも倉野はどこか寂しく感じる。
思えばこちらの世界に来てから様々な戦いや問題に巻き込まれてきた。背中を預け戦った相手もいる。だが、その中でもレインは最も信頼した相手の一人と言ってもいいだろう。
一生の別れではないとわかっていたとしても、寂しく感じるのは当然だ。
倉野はそんな気持ちを抑えながら一歩目を踏み出す。あとは足が勝手に動いてくれるはずだ。
そのまま王城を出るために進んでいく倉野。
すると既に王城の大扉は開いており、その先には数千の兵士が道を作るように立っていた。左右にずらっと並び倉野が歩く場所を開けている。
「これは・・・・・・」
思わず呟く倉野だったが、背後に気配を感じ振り返った。
するとそこには先ほど別れを済ませたはずのエヴァンシル王やリヴィエール、レインやブレイズたちが立っている。
何が起こっているのかと困惑した倉野がエヴァンシル王に問いかけようとした。
「あ、あの、これは一体・・・・・・」
すると王は倉野の言葉を聞かずにリヴィエールに指示を出す。
「リヴィエール、号令を」
「畏まりました」
王の指示を受けたリヴィエールはそう答えてから大きく息を吸い込み一気に声として吐き出した。
「剣を立てろ!」
大地を揺らすのではないかというほどのリヴィエールの号令。それを聞いた兵士たちは一糸乱れぬ動きで自らの目の前に剣を立てる。
王城の敷地外まで続く、剣に囲まれた道は倉野を称える花道なのだろう。
その景色は今までに見た何よりも壮観だった。大きな山でもきれいな海でもない。人間が作り出す光景だからこそ、倉野の心を震わせる。
倉野がその光景に感動しているとリヴィエールが次の号令を出した。
「花火を上げろ!」
その号令と共に爆発音が響き、何本かの煙が勢いよく空へ昇る。
煙はある程度の高さまで昇ると再び爆発音をあげ色鮮やかな火花を散らせた。
元の世界で見る花火と比べ、繊細な美しさはないもののその大きさや迫力は十分である。
花火の音に後押しされた倉野は剣に囲まれた道に一歩を踏み出し、ゆっくりと進んだ。
そんな倉野の背中に王たちは静かに頭を下げる。倉野の背中が見えなくなるまでその頭は上がらなかった。
王たちはその日のことを忘れないだろう。国を救った英雄の背中を。
「クラノ、何があろうと俺はクラノの味方だ。困ったらいつでも呼んでくれ」
そう話すレインに倉野は微笑み返した。
「何言ってるんですか、味方じゃなくて友達でしょう。これが永遠の別れというわけでもありません。世界は繋がっているんですから、またどこかで会いましょう」
微笑みながら言って、クラノはレインに背を向ける。
昨夜から続いたオランディの王位継承権を巡る戦いは終わった。部外者は去るだけ、そう思いながらも倉野はどこか寂しく感じる。
思えばこちらの世界に来てから様々な戦いや問題に巻き込まれてきた。背中を預け戦った相手もいる。だが、その中でもレインは最も信頼した相手の一人と言ってもいいだろう。
一生の別れではないとわかっていたとしても、寂しく感じるのは当然だ。
倉野はそんな気持ちを抑えながら一歩目を踏み出す。あとは足が勝手に動いてくれるはずだ。
そのまま王城を出るために進んでいく倉野。
すると既に王城の大扉は開いており、その先には数千の兵士が道を作るように立っていた。左右にずらっと並び倉野が歩く場所を開けている。
「これは・・・・・・」
思わず呟く倉野だったが、背後に気配を感じ振り返った。
するとそこには先ほど別れを済ませたはずのエヴァンシル王やリヴィエール、レインやブレイズたちが立っている。
何が起こっているのかと困惑した倉野がエヴァンシル王に問いかけようとした。
「あ、あの、これは一体・・・・・・」
すると王は倉野の言葉を聞かずにリヴィエールに指示を出す。
「リヴィエール、号令を」
「畏まりました」
王の指示を受けたリヴィエールはそう答えてから大きく息を吸い込み一気に声として吐き出した。
「剣を立てろ!」
大地を揺らすのではないかというほどのリヴィエールの号令。それを聞いた兵士たちは一糸乱れぬ動きで自らの目の前に剣を立てる。
王城の敷地外まで続く、剣に囲まれた道は倉野を称える花道なのだろう。
その景色は今までに見た何よりも壮観だった。大きな山でもきれいな海でもない。人間が作り出す光景だからこそ、倉野の心を震わせる。
倉野がその光景に感動しているとリヴィエールが次の号令を出した。
「花火を上げろ!」
その号令と共に爆発音が響き、何本かの煙が勢いよく空へ昇る。
煙はある程度の高さまで昇ると再び爆発音をあげ色鮮やかな火花を散らせた。
元の世界で見る花火と比べ、繊細な美しさはないもののその大きさや迫力は十分である。
花火の音に後押しされた倉野は剣に囲まれた道に一歩を踏み出し、ゆっくりと進んだ。
そんな倉野の背中に王たちは静かに頭を下げる。倉野の背中が見えなくなるまでその頭は上がらなかった。
王たちはその日のことを忘れないだろう。国を救った英雄の背中を。
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