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ワンと鳴く悪魔
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レインの言葉も聞かず、オリビアはアスタロトの髪に触れた。
されるがままのアスタロトだが、無表情のまま倉野に問いかける。
「主人の器よ、この無礼極まりない女を処分してもよろしいか。よろしいですね」
「いいわけないだろ。黙っててってば」
「ワン」
倉野に止められたアスタロトはそう答えて無表情を貫いた。
アスタロトの言葉を聞いたオリビアは自らの口を押さえながらエヴァンシル王に話しかける。
「怖いものなのですね、悪魔様は」
「オリビア、少し大人しくしていてくれ」
呆れながらエヴァンシル王は言い放ち再び話を戻した。
「メディーナよ、お主はこのアスタロトと契約してもらう」
「私がこの悪魔と・・・・・・」
悪魔を恐れているからだろうか、メディーナは弱々しく呟く。
そんなメディーナの反応と様々な不安要素を考えたブレイズは疑問を口にした。
「悪魔との契約に問題はないのですか。どう考えてもこの悪魔、アスタロトには人間のために動こうという思考は見られないのですが」
「私は強者にしか従わない。人間のためにという思考などないが?」
ブレイズの疑問に対してそう答えるアスタロト。
するとブレイズは立ち上がりアスタロトを指差す。
「このように言っておりますが!」
「まぁ待てブレイズ。こうは言っておるがクラノ殿には従順なのだ」
興奮するブレイズに対してエヴァンシル王はそう言い放った。
そのまま王は倉野に視線を送る。視線を感じた倉野は仕方がないとため息をついた。
「はぁ・・・・・・アスタロト、少し黙っててくれ。話が進まないだろう」
「ワン」
アスタロトは答えてから再び無表情に戻る。
悪魔の沈黙を確認したエヴァンシル王は再び話を進めた。
「クラノ殿が説明した通り、魔力腐敗という病を治すには魔力を入れ替えるしかない。そのためには悪魔との契約が不可欠なのだ。悪魔をメディーナの体の中に封じ、内側から魔力の質を調節することで体の拒絶反応を防ぐ」
説明を聞いたブレイズは自分の想像を超えた話に困惑しながらも王に問いかける。
「そのようなことが可能なのですか?」
「ああ、それが可能というよりも、それしかないと言った方が正しいか。これに関しては信じてもらうしかない」
「そうすれば、メディーナは生きられると?」
「そうだ。少なくともメディーナはフォルテと同じ時間を生きられる」
王はブレイズの問いにそう答えた。
ブレイズよりも先にメディーナがエヴァンシル王の言葉に反応した。
「本当ですか? 悪魔と契約すれば本当にフォルテと・・・・・・」
目に涙を浮かべながら問いかけるメディーナ。
その姿は既に悪魔との契約を覚悟しているように見える。
メディーナの涙を目の当たりにした倉野は強く頷きアスタロトに確認した。
「アスタロト、メディーナさんとの契約は可能だな?」
「ええ、もちろん。ですが先ほども話した通り寿命を伸ばすことはできません。それでよろしければ契約しましょう。人間の寿命など知れたもの、悪魔にとっては瞬きする時間と変わりはない」
怪しく微笑みながら答えるアスタロトの言葉を聞いたエヴァンシル王はブレイズたちに向かい言い放つ。
「ブレイズ・ルージュ、メディーナ・ルージュ。さぁ、決断せよ」
されるがままのアスタロトだが、無表情のまま倉野に問いかける。
「主人の器よ、この無礼極まりない女を処分してもよろしいか。よろしいですね」
「いいわけないだろ。黙っててってば」
「ワン」
倉野に止められたアスタロトはそう答えて無表情を貫いた。
アスタロトの言葉を聞いたオリビアは自らの口を押さえながらエヴァンシル王に話しかける。
「怖いものなのですね、悪魔様は」
「オリビア、少し大人しくしていてくれ」
呆れながらエヴァンシル王は言い放ち再び話を戻した。
「メディーナよ、お主はこのアスタロトと契約してもらう」
「私がこの悪魔と・・・・・・」
悪魔を恐れているからだろうか、メディーナは弱々しく呟く。
そんなメディーナの反応と様々な不安要素を考えたブレイズは疑問を口にした。
「悪魔との契約に問題はないのですか。どう考えてもこの悪魔、アスタロトには人間のために動こうという思考は見られないのですが」
「私は強者にしか従わない。人間のためにという思考などないが?」
ブレイズの疑問に対してそう答えるアスタロト。
するとブレイズは立ち上がりアスタロトを指差す。
「このように言っておりますが!」
「まぁ待てブレイズ。こうは言っておるがクラノ殿には従順なのだ」
興奮するブレイズに対してエヴァンシル王はそう言い放った。
そのまま王は倉野に視線を送る。視線を感じた倉野は仕方がないとため息をついた。
「はぁ・・・・・・アスタロト、少し黙っててくれ。話が進まないだろう」
「ワン」
アスタロトは答えてから再び無表情に戻る。
悪魔の沈黙を確認したエヴァンシル王は再び話を進めた。
「クラノ殿が説明した通り、魔力腐敗という病を治すには魔力を入れ替えるしかない。そのためには悪魔との契約が不可欠なのだ。悪魔をメディーナの体の中に封じ、内側から魔力の質を調節することで体の拒絶反応を防ぐ」
説明を聞いたブレイズは自分の想像を超えた話に困惑しながらも王に問いかける。
「そのようなことが可能なのですか?」
「ああ、それが可能というよりも、それしかないと言った方が正しいか。これに関しては信じてもらうしかない」
「そうすれば、メディーナは生きられると?」
「そうだ。少なくともメディーナはフォルテと同じ時間を生きられる」
王はブレイズの問いにそう答えた。
ブレイズよりも先にメディーナがエヴァンシル王の言葉に反応した。
「本当ですか? 悪魔と契約すれば本当にフォルテと・・・・・・」
目に涙を浮かべながら問いかけるメディーナ。
その姿は既に悪魔との契約を覚悟しているように見える。
メディーナの涙を目の当たりにした倉野は強く頷きアスタロトに確認した。
「アスタロト、メディーナさんとの契約は可能だな?」
「ええ、もちろん。ですが先ほども話した通り寿命を伸ばすことはできません。それでよろしければ契約しましょう。人間の寿命など知れたもの、悪魔にとっては瞬きする時間と変わりはない」
怪しく微笑みながら答えるアスタロトの言葉を聞いたエヴァンシル王はブレイズたちに向かい言い放つ。
「ブレイズ・ルージュ、メディーナ・ルージュ。さぁ、決断せよ」
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