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オリビアを聞きながら

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 オリビアの話を聞いた倉野はなるほどと頷く。
 レインが講じた策というのは生き残った王子たちを一か所に集め、信頼のおける人間以外近づけないというものだ。
 エヴァンシル王はオリビアの話を聞きながら自分の記憶とすり合わせている。

「その策というのは王子たちを一か所に集めて護衛するというものだな。策の提案は騎士レインであったか。私が聞いていたのは他の者が護衛の人選をしたという話だが」

 王がそう口にするとレインは肯定するように頷いた。

「その通りです。即座にジュウザ様暗殺の犯人を追うため、私は策を提案した直後他の者に任せ国を出ました。スキル読心を持つフォルテが配置されているのは知っていましたが、決めたのは私ではありません」

 レインが答えるとオリビアはさらに話を進める。

「そう、騎士レインが悲しみを乗り越え行動しているという話を聞きました。それなのに私は悲しんでいるだけでいいのか・・・・・・そう考えた私は騎士レインの策をより強固なものにしようと思いついたのです」
「私の策を?」
「はい、王子たちを一か所に・・・・・・屋敷に集めるという策のことです。確かに一か所に集めれば護衛もしやすいでしょう。裏を返せば王子たちの場所を知らせることになってしまいます。護衛もしやすいですが、襲撃もしやすい。もちろん、そのリスクを排除するために他人の心を読むことができ、この国で最も強い剣士フォルテ・リオメットを配置しているのでしょう。しかし、それがどうしても不安だったのです」

 オリビアはそう言いながらブレイズに視線を送った。
 その視線に気づいたエヴァンシル王が問いかける。

「そうか、ブレイズとフォルテが繋がっていると気づいていたんだな」
「ええ、その通りです。ブレイズの妹メディーナとフォルテ・リオメットが恋仲であるということは噂で聞いていました。もしそれが本当だったならば、ブレイズのためにフォルテが裏切る可能性がある。フォルテが裏切れば騎士レインの講じた策は崩れ落ちるでしょう。そう考えた私はリヴィエールに信頼のおけるニンジャを集めさせました」

 澄んだ泉のように落ち着いた声で語るオリビア。
 それを聞いたノエルが言葉を挟む。

「待って、ニンジャってあの諜報活動が得意な一族のことよね。それってノワール家が従えていたんじゃないの?」

 ノエルが疑問を投げかけるとレインが身を乗り出して答えた。

「ああ、確かにアヴァール・ノワールもニンジャを従えている。だが、ニンジャにもいくつかの派閥があるのさ。ノワール家が従えているのはトドロキという名のニンジャ。その他にも色々いるんだけどね、エヴァンシル王が直接従えているニンジャがキリシマという名の派閥だよ」

 それを聞いていた倉野はキリシマという名前に記憶を呼び起こされる。
 王に仕えるオランディ国軍大将の名前はリヴィエール。
 リヴィエール・キリシマだ。
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