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You have two choices;submission or death.
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ドラゴンに圧倒された悪魔は右腕の付け根を押さえながら、ただ怯えていた。
先ほど復活したアスタロトは有頂天だっただろう。言葉から察するに千年以上の眠りから目覚めたアスタロトは自らの欲望を満たそうとした。
その欲望は満たせるはずだった。だが、誤算だったのは復活した直後にイスベルグと会ったことである。
反応から見るにその力関係は明らかだ。圧倒的にイスベルグがアスタロトよりも強いのだろう。
絶対強者を目の前にしたアスタロトは天国から地獄に落ちたのだった。
「・・・・・・悪魔が怯えておる」
アスタロトの様子を見ながらエヴァンシル王が呟く。
イスベルグの方が強いと信じながらもこれほどの差があるとは思っていなかった。
もちろんアスタロトが弱いわけではない。アスタロトの覇気に気圧された一同は動けなかった。
ただ、イスベルグの力がそれを超越していただけである。
イスベルグはにやけながらアスタロトに顔を近づけた。
「どうだ、悪魔よ。虐げられる側になるのは初めてだろう。お前が殺した人間も今のお前のように怯えていたのではないか?」
「い、いえ、そんな」
イスベルグの問いかけに答えるアスタロトだったがうまく声を出せないようである。緊張と恐怖から呼吸が荒れ思った通りに言葉が出せないのだった。
そんなアスタロトに対して追い討ちをかけるようにイスベルグは言葉を続ける。
「今、貴様の世界に君臨しているのは誰だったか。総勢でこの世界を攻めてきたのは七百年ほど前。イフリートにメフィストフェレス、アザゼルにルシファー・・・・・・全員、私に敗れ自分の世界に帰っていったな。その中に貴様の世界の現王はいるだろう・・・・・・それで、貴様の名は何と言ったか・・・・・・あぁ、アスタロトか。さて、戦うとするか」
わざと心をへし折るような話し方をするイスベルグ。その効果があってか、アスタロトは即座に膝をついた。
「も、申し訳ありません。どうか、命だけは・・・・・・」
懇願するアスタロトを見下ろしながらイスベルグは答える。
「さて、どうしようか。貴様が殺すとほざいていたこの者たちは私にとって、いや私の体にとって大切な者である。またこの国も同じだ。そんなものを奪おうとしておきながら命を乞うのか?」
「どうか・・・・・・どうか・・・・・・」
「ならば私に忠誠を誓え。そうすれば命だけは助けてやろう」
イスベルグにそう告げられたアスタロトは沈黙した。
従うべきなのかどうかを考えているのだろう。
沈黙しているアスタロトに追い討ちをかけるイスベルグ。
「そうか、死を選ぶか。いいだろう、中々腹の据わった悪魔だ。だが、悪魔に死後の世界があると思うな。悪魔に待っているのは虚無・・・・・・何もない。輪廻などなく、ここで終わる。貴様という存在は永遠に消え去るのだ」
そう言われたアスタロトは震えが止まらない。
悪魔が何よりも恐れるのは消えることである。
そもそも悪魔の命を奪うことは簡単ではない。その為、封印をもって悪魔を打ち破ったとされる。
悪魔の命を奪うためには人間レベルを超えた魔力が必要だ。そんな魔力を持った存在などそうそういない。
つまり人間が集まり、悪魔にダメージを与え封印したとしても悪魔にとって怯えるほどのことではないが、イスベルグのような存在に殺されることは圧倒的な恐怖なのだ。
怯えて黙っているアスタロトに再びイスベルグは選択肢を突きつける。
「さぁ、選べ。死か服従か」
先ほど復活したアスタロトは有頂天だっただろう。言葉から察するに千年以上の眠りから目覚めたアスタロトは自らの欲望を満たそうとした。
その欲望は満たせるはずだった。だが、誤算だったのは復活した直後にイスベルグと会ったことである。
反応から見るにその力関係は明らかだ。圧倒的にイスベルグがアスタロトよりも強いのだろう。
絶対強者を目の前にしたアスタロトは天国から地獄に落ちたのだった。
「・・・・・・悪魔が怯えておる」
アスタロトの様子を見ながらエヴァンシル王が呟く。
イスベルグの方が強いと信じながらもこれほどの差があるとは思っていなかった。
もちろんアスタロトが弱いわけではない。アスタロトの覇気に気圧された一同は動けなかった。
ただ、イスベルグの力がそれを超越していただけである。
イスベルグはにやけながらアスタロトに顔を近づけた。
「どうだ、悪魔よ。虐げられる側になるのは初めてだろう。お前が殺した人間も今のお前のように怯えていたのではないか?」
「い、いえ、そんな」
イスベルグの問いかけに答えるアスタロトだったがうまく声を出せないようである。緊張と恐怖から呼吸が荒れ思った通りに言葉が出せないのだった。
そんなアスタロトに対して追い討ちをかけるようにイスベルグは言葉を続ける。
「今、貴様の世界に君臨しているのは誰だったか。総勢でこの世界を攻めてきたのは七百年ほど前。イフリートにメフィストフェレス、アザゼルにルシファー・・・・・・全員、私に敗れ自分の世界に帰っていったな。その中に貴様の世界の現王はいるだろう・・・・・・それで、貴様の名は何と言ったか・・・・・・あぁ、アスタロトか。さて、戦うとするか」
わざと心をへし折るような話し方をするイスベルグ。その効果があってか、アスタロトは即座に膝をついた。
「も、申し訳ありません。どうか、命だけは・・・・・・」
懇願するアスタロトを見下ろしながらイスベルグは答える。
「さて、どうしようか。貴様が殺すとほざいていたこの者たちは私にとって、いや私の体にとって大切な者である。またこの国も同じだ。そんなものを奪おうとしておきながら命を乞うのか?」
「どうか・・・・・・どうか・・・・・・」
「ならば私に忠誠を誓え。そうすれば命だけは助けてやろう」
イスベルグにそう告げられたアスタロトは沈黙した。
従うべきなのかどうかを考えているのだろう。
沈黙しているアスタロトに追い討ちをかけるイスベルグ。
「そうか、死を選ぶか。いいだろう、中々腹の据わった悪魔だ。だが、悪魔に死後の世界があると思うな。悪魔に待っているのは虚無・・・・・・何もない。輪廻などなく、ここで終わる。貴様という存在は永遠に消え去るのだ」
そう言われたアスタロトは震えが止まらない。
悪魔が何よりも恐れるのは消えることである。
そもそも悪魔の命を奪うことは簡単ではない。その為、封印をもって悪魔を打ち破ったとされる。
悪魔の命を奪うためには人間レベルを超えた魔力が必要だ。そんな魔力を持った存在などそうそういない。
つまり人間が集まり、悪魔にダメージを与え封印したとしても悪魔にとって怯えるほどのことではないが、イスベルグのような存在に殺されることは圧倒的な恐怖なのだ。
怯えて黙っているアスタロトに再びイスベルグは選択肢を突きつける。
「さぁ、選べ。死か服従か」
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