177 / 729
連載
王の決断
しおりを挟む
エヴァンシル王に問いかけられた倉野は説明を始めた。
「メディーナの先天性の魔力腐敗を治すには魔力を入れ替えるしかありません。それを行うには体の中に高レベルの魔力と技術と知識を兼ね備えた生物を封じる必要があるのです」
「クラノ殿にとってのイスベルグ様のようにですか?」
説明を聞いたリヴィエールが倉野に問いかける。
的を射た問いかけに頷きながら倉野は説明を続けた。
「そうです。そうする事でその生物と魔力を入れ替えることが出来ます。ただし、イスベルグさんのような強大な存在をメディーナの中に封じると器となった側が壊れてしまいます」
「つまり、高レベルの魔力と技術、知識を兼ね備えた生物ながらも強大すぎない存在でなければならないということですか?」
再び問いかけるリヴィエール。
そこまで聞いたエヴァンシル王やレイン、ノエルはその話の終着点を想像し、不安を抱いていた。
話の始まりはアスタロトを復活させるというところから始まっている。つまり話の終着点はアスタロトをメディーナに封じるというところになるはずだ。
いや、そんなはずはないだろう、と三人は自分の考えを頭の中で否定している。
そもそもアスタロトは強大な存在のはずだ。
そんな不安の空気を感じながらも倉野はリヴィエールの問いかけに答える。
「はい、その通りです。種族で言えば低レベルのドラゴンや妖精、精霊もしくは悪魔」
「その部分をアスタロトにしようという話でしょうか。確かに妖精や精霊、悪魔は伝説上の生物。ドラゴンも簡単には見つけられないでしょう。そんな状況の中、近くに悪魔がいるとなれば利用しない手はないですな。しかし、アスタロトは強大な存在ではないのですか?」
「まぁ、そうだと思うんですが、イスベルグさんが復活させろ、信じろと言っているので」
倉野がそう答えるとノエルが驚愕し問いかけた。
「え、待って、そこはフワッとしてるの?」
当然の不安と疑問だろう。
ノエルの問いかけは倉野にも理解できた。だが、不安はない。
「大丈夫です。これまでもイスベルグさんの言葉を信じることで助かってきました」
倉野が自信満々で答えると、リヴィエールが言葉を挟んだ。
「なるほど、クラノ殿の言い分は理解しました。ですが、あまりにもリスクが高い・・・・・・そうですな。スキル説明で明らかにしてもらえませんか。イスベルグ様とアスタロト、どちらが強いのかを。何があっても国民を危険に晒すわけにはいかないのです。アスタロトを倒せるという確証が欲しい」
リヴィエールの言葉を聞いていたイスベルグが倉野の頭の中で不満を漏らす。
「信じろと言ってやれ」
そんな言葉に苦笑しながらも倉野はスキル説明を発動させた。
「スキル説明発動。対象は悪魔アスタロトとイスベルグさんどちらが強いか」
現れた画面が表示した文字はイスベルグの五文字である。
それを倉野が言葉にするとリヴィエールはエヴァンシル王の表情を伺った。
王はしばらく目を瞑り考えた後、力強い言葉を放つ。
「兵に伝達せよ。全員城内から退避したのち、国軍全体で王城を囲め。私たちは地下牢に向かう」
「メディーナの先天性の魔力腐敗を治すには魔力を入れ替えるしかありません。それを行うには体の中に高レベルの魔力と技術と知識を兼ね備えた生物を封じる必要があるのです」
「クラノ殿にとってのイスベルグ様のようにですか?」
説明を聞いたリヴィエールが倉野に問いかける。
的を射た問いかけに頷きながら倉野は説明を続けた。
「そうです。そうする事でその生物と魔力を入れ替えることが出来ます。ただし、イスベルグさんのような強大な存在をメディーナの中に封じると器となった側が壊れてしまいます」
「つまり、高レベルの魔力と技術、知識を兼ね備えた生物ながらも強大すぎない存在でなければならないということですか?」
再び問いかけるリヴィエール。
そこまで聞いたエヴァンシル王やレイン、ノエルはその話の終着点を想像し、不安を抱いていた。
話の始まりはアスタロトを復活させるというところから始まっている。つまり話の終着点はアスタロトをメディーナに封じるというところになるはずだ。
いや、そんなはずはないだろう、と三人は自分の考えを頭の中で否定している。
そもそもアスタロトは強大な存在のはずだ。
そんな不安の空気を感じながらも倉野はリヴィエールの問いかけに答える。
「はい、その通りです。種族で言えば低レベルのドラゴンや妖精、精霊もしくは悪魔」
「その部分をアスタロトにしようという話でしょうか。確かに妖精や精霊、悪魔は伝説上の生物。ドラゴンも簡単には見つけられないでしょう。そんな状況の中、近くに悪魔がいるとなれば利用しない手はないですな。しかし、アスタロトは強大な存在ではないのですか?」
「まぁ、そうだと思うんですが、イスベルグさんが復活させろ、信じろと言っているので」
倉野がそう答えるとノエルが驚愕し問いかけた。
「え、待って、そこはフワッとしてるの?」
当然の不安と疑問だろう。
ノエルの問いかけは倉野にも理解できた。だが、不安はない。
「大丈夫です。これまでもイスベルグさんの言葉を信じることで助かってきました」
倉野が自信満々で答えると、リヴィエールが言葉を挟んだ。
「なるほど、クラノ殿の言い分は理解しました。ですが、あまりにもリスクが高い・・・・・・そうですな。スキル説明で明らかにしてもらえませんか。イスベルグ様とアスタロト、どちらが強いのかを。何があっても国民を危険に晒すわけにはいかないのです。アスタロトを倒せるという確証が欲しい」
リヴィエールの言葉を聞いていたイスベルグが倉野の頭の中で不満を漏らす。
「信じろと言ってやれ」
そんな言葉に苦笑しながらも倉野はスキル説明を発動させた。
「スキル説明発動。対象は悪魔アスタロトとイスベルグさんどちらが強いか」
現れた画面が表示した文字はイスベルグの五文字である。
それを倉野が言葉にするとリヴィエールはエヴァンシル王の表情を伺った。
王はしばらく目を瞑り考えた後、力強い言葉を放つ。
「兵に伝達せよ。全員城内から退避したのち、国軍全体で王城を囲め。私たちは地下牢に向かう」
1
お気に入りに追加
2,845
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。