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その言葉の意味は決意
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「事を簡単にまとめるならば、そうなってしまえば訪れるのはオランディの終焉でしょうか。伝説上のアスタロトが語られている通りの悪魔ならばオランディは・・・・・・いや、この世界は終わってしまうかもしれません」
倉野の言葉を聞いたリヴィエールが真剣な表情でそう話す。
じっとりと肌に張り付くような重い空気が部屋の中に充満した。誰もが最悪の未来を想像し、黙り込む。
そんな空気を切り裂くように言葉を発したのはノエルだった。
「黙ってても何も変わらないわよ。分かりやすくなっていいじゃない。ルージュ家にオランディを任せるわけにはいかないってことよね。だったらそれを阻止するだけよ」
ノエルの言葉を聞いたレインが首を横に振る。
「確かに何をすべきかは分かりやすくなったさ。だが、それは簡単なことではないんだ、ノエル」
「どういうことよ、レイン」
「王位継承権を得ることができるのは王の血を継いでいる王子だけだ。そして生き残っているのはスクレット様ラーク様リコルド様・・・・・・ノワール家かルージュ家が王家になるしかないってことさ」
「そんなこと言ったって仕方ないじゃない。どちらも王には不適切って判断をして全く新しい王を決めるしかないわ」
力強くそう語るノエル。しかし、それはそう簡単なことではない。代々と受け継がれてきたルールを変えればオランディは今のままではいられないだろう。
国民も何を信じていいのか分からなくなり、国中が混乱することは分かりきっていた。
そんな事を考えながらリヴィエールが口を開く。
「ノエル殿がおっしゃる通り、全く違うところから王を選べばノワールやルージュの野望からオランディを守ることができます。しかし、それではオランディはオランディではなくなる」
「でも、このままルージュ家に権力を明け渡しても同じことじゃない」
リヴィエールにも臆せずノエルは言い返した。
それを予測していたのかリヴィエールがそのまま言葉を続ける。
「どちらを選んでもオランディという国は形を変えてしまうでしょう。それどころか、王位継承権を得られなくてもブレイズはクレアシオンを手に入れるために全てを賭けて行動するはずです。その結果、たとえ世界が終わるとしても。大切なものを守りたいという想いにはそれだけの力があるはずです」
「では一体、どうすればいいのですか。私たちの行動は無意味だったのですか?」
声を荒げレインがリヴィエールに問いかけた。
このままルージュ家の血を引く王子に王位を継承すれば、クレアシオンの封印が解かれアスタロトの復活ともにオランディは終焉を迎える。
かと言って、スクレットに王位を継承したとしてもルージュ家とノワール家が協力している以上、同じ結末に向かうだけだ。
第三の選択肢としてエヴァンシル王の血を受け継がぬものに王位を継承した場合も結末は変わらないだろう。何としてでもブレイズはクレアシオンを手に入れようとするはずだ。オランディが現在と変わっていくだけでは済まない。
リヴィエールは少し考えてから、立ち上がりレインの肩を軽く叩いた。
「落ち着きなさい、騎士レイン。貴方たちの行動がなければ何も知らずにルージュ家へと権力は渡っていたでしょう。貴方とクラノ殿やノエル殿がいてくださったお陰で、止めることができます」
そう言い放つリヴィエールの表情は穏やかさを失い、何かを決意したように見える。
倉野の言葉を聞いたリヴィエールが真剣な表情でそう話す。
じっとりと肌に張り付くような重い空気が部屋の中に充満した。誰もが最悪の未来を想像し、黙り込む。
そんな空気を切り裂くように言葉を発したのはノエルだった。
「黙ってても何も変わらないわよ。分かりやすくなっていいじゃない。ルージュ家にオランディを任せるわけにはいかないってことよね。だったらそれを阻止するだけよ」
ノエルの言葉を聞いたレインが首を横に振る。
「確かに何をすべきかは分かりやすくなったさ。だが、それは簡単なことではないんだ、ノエル」
「どういうことよ、レイン」
「王位継承権を得ることができるのは王の血を継いでいる王子だけだ。そして生き残っているのはスクレット様ラーク様リコルド様・・・・・・ノワール家かルージュ家が王家になるしかないってことさ」
「そんなこと言ったって仕方ないじゃない。どちらも王には不適切って判断をして全く新しい王を決めるしかないわ」
力強くそう語るノエル。しかし、それはそう簡単なことではない。代々と受け継がれてきたルールを変えればオランディは今のままではいられないだろう。
国民も何を信じていいのか分からなくなり、国中が混乱することは分かりきっていた。
そんな事を考えながらリヴィエールが口を開く。
「ノエル殿がおっしゃる通り、全く違うところから王を選べばノワールやルージュの野望からオランディを守ることができます。しかし、それではオランディはオランディではなくなる」
「でも、このままルージュ家に権力を明け渡しても同じことじゃない」
リヴィエールにも臆せずノエルは言い返した。
それを予測していたのかリヴィエールがそのまま言葉を続ける。
「どちらを選んでもオランディという国は形を変えてしまうでしょう。それどころか、王位継承権を得られなくてもブレイズはクレアシオンを手に入れるために全てを賭けて行動するはずです。その結果、たとえ世界が終わるとしても。大切なものを守りたいという想いにはそれだけの力があるはずです」
「では一体、どうすればいいのですか。私たちの行動は無意味だったのですか?」
声を荒げレインがリヴィエールに問いかけた。
このままルージュ家の血を引く王子に王位を継承すれば、クレアシオンの封印が解かれアスタロトの復活ともにオランディは終焉を迎える。
かと言って、スクレットに王位を継承したとしてもルージュ家とノワール家が協力している以上、同じ結末に向かうだけだ。
第三の選択肢としてエヴァンシル王の血を受け継がぬものに王位を継承した場合も結末は変わらないだろう。何としてでもブレイズはクレアシオンを手に入れようとするはずだ。オランディが現在と変わっていくだけでは済まない。
リヴィエールは少し考えてから、立ち上がりレインの肩を軽く叩いた。
「落ち着きなさい、騎士レイン。貴方たちの行動がなければ何も知らずにルージュ家へと権力は渡っていたでしょう。貴方とクラノ殿やノエル殿がいてくださったお陰で、止めることができます」
そう言い放つリヴィエールの表情は穏やかさを失い、何かを決意したように見える。
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