168 / 729
連載
命を踏みつけ生き残る
しおりを挟む
倉野が説明画面の文字を読み上げるとエヴァンシル王は頷く。
「なるほど、確かにそれはオランディに伝わる建国の物語だ。オランディ国民ならばほとんどの者が知っているだろう。しかし、その物語には不老不死という言葉は出てこないはずだ」
確かに王の言う通り、オランディ物語の中に不老不死と言う言葉は見当たらない。
しかし、これにもう一つの要素が重なることでオランディ物語と不老不死を繋ぐことになる。
それについて倉野が話そうとした瞬間、リヴィエールが何かに気づいたように口を開いた。
「なるほど・・・・・・アスタロトの伝説ですね」
「アスタロトの伝説?」
リヴィエールの言葉に疑問を持ったレインが繰り返すように問いかける。
するとリヴィエールは顎に手を置きながら先ほどの言葉について説明を始めた。
「こちらの話はある種のお伽話のようなものですが、アスタロトという悪魔の伝説が国民たちの間で語り継がれているのです。絶大な力を持っていたアスタロト・・・・・・どうやら死ぬことのない体を持っていたようなのです。それには理由があり、アスタロトが持っていた相手の命を奪う剣は使用者に命を与えると言われております。その剣とはオランディ物語に出てきたクレアシオンのことを指し、アスタロトに死ぬことのない体を与えていた源ということでしょう。そこに気づいたブレイズとフォルテは王位継承権を奪い、クレアシオンを手に入れようとしたのですね」
リヴィエールがそう話すとエヴァンシル王が食い気味に口を開く。
「待て待て待て、確かにオランディ物語もアスタロトの伝説も聞いたことがある。だが、王である私はクレアシオンを受け継いでいないぞ。そのようなものは全て伝説だ。あくまでお伽話である」
立ち上がるような勢いで説明するエヴァンシル王。
確かに全ての話は伝説上のものである。レインも王と同じように考え、そんなあるかどうかもわからない物のためにブレイズ・ルージュやフォルテ・リオメットが行動を起こすのかという疑問を抱いた。
しかし、リヴィエールだけはクレアシオンの存在もそれのためにルージュ家が行動を起こしたことも疑ってはいない。
「エヴァンシル王、どうやら存在するようですよ。クレアシオンは」
そう話すリヴィエールに問いかけるエヴァンシル王。
「なぜそう言い切れる、リヴィエールよ。知っているのか、その在り処を」
「いいえ、知りませんし信じておりませんでした。ですが、ないかもしれない物のために全てを捨てて行動するほどブレイズやフォルテが愚かとは思えませんし、何よりクラノ殿の表情が物語っております」
言われた王とレインは倉野に視線を移す。
真剣な表情で頷く倉野。つまりそれは全ての真実をスキル説明で確認していることを意味していた。
「なるほど、確かにそれはオランディに伝わる建国の物語だ。オランディ国民ならばほとんどの者が知っているだろう。しかし、その物語には不老不死という言葉は出てこないはずだ」
確かに王の言う通り、オランディ物語の中に不老不死と言う言葉は見当たらない。
しかし、これにもう一つの要素が重なることでオランディ物語と不老不死を繋ぐことになる。
それについて倉野が話そうとした瞬間、リヴィエールが何かに気づいたように口を開いた。
「なるほど・・・・・・アスタロトの伝説ですね」
「アスタロトの伝説?」
リヴィエールの言葉に疑問を持ったレインが繰り返すように問いかける。
するとリヴィエールは顎に手を置きながら先ほどの言葉について説明を始めた。
「こちらの話はある種のお伽話のようなものですが、アスタロトという悪魔の伝説が国民たちの間で語り継がれているのです。絶大な力を持っていたアスタロト・・・・・・どうやら死ぬことのない体を持っていたようなのです。それには理由があり、アスタロトが持っていた相手の命を奪う剣は使用者に命を与えると言われております。その剣とはオランディ物語に出てきたクレアシオンのことを指し、アスタロトに死ぬことのない体を与えていた源ということでしょう。そこに気づいたブレイズとフォルテは王位継承権を奪い、クレアシオンを手に入れようとしたのですね」
リヴィエールがそう話すとエヴァンシル王が食い気味に口を開く。
「待て待て待て、確かにオランディ物語もアスタロトの伝説も聞いたことがある。だが、王である私はクレアシオンを受け継いでいないぞ。そのようなものは全て伝説だ。あくまでお伽話である」
立ち上がるような勢いで説明するエヴァンシル王。
確かに全ての話は伝説上のものである。レインも王と同じように考え、そんなあるかどうかもわからない物のためにブレイズ・ルージュやフォルテ・リオメットが行動を起こすのかという疑問を抱いた。
しかし、リヴィエールだけはクレアシオンの存在もそれのためにルージュ家が行動を起こしたことも疑ってはいない。
「エヴァンシル王、どうやら存在するようですよ。クレアシオンは」
そう話すリヴィエールに問いかけるエヴァンシル王。
「なぜそう言い切れる、リヴィエールよ。知っているのか、その在り処を」
「いいえ、知りませんし信じておりませんでした。ですが、ないかもしれない物のために全てを捨てて行動するほどブレイズやフォルテが愚かとは思えませんし、何よりクラノ殿の表情が物語っております」
言われた王とレインは倉野に視線を移す。
真剣な表情で頷く倉野。つまりそれは全ての真実をスキル説明で確認していることを意味していた。
1
お気に入りに追加
2,845
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。