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再会の鼓動
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「よし、私も行こう」
エヴァンシル王が宣言した。
するとリヴィエールは呆れたような顔をして、ため息をつく。
「そのような格好で、ですか?」
「いいか、王の威厳とは」
「脱げるものではない・・・・・・でしょう。先ほど聞きました。しかし、守ってもらわなければならないイメージというものがあります。今、準備をいたしますので、どうか服を着てください」
リヴィエールはそう答え、部屋の端にある棚から王に相応しく装飾された服を取り出した。
それはエヴァンシル王の好みというよりも、イメージを保つためのデザインのようである。緑の布に金の糸で細かな刺繍が施されていた。
エヴァンシル王の準備を待ってから、三人は王城の入口へと向かう。
「それで、そのクラノという人物はどのような方なんですか?」
歩きながらリヴィエールはレインに問いかけた。
リヴィエールの背後を歩きながらレインは倉野について話せる範囲で答える。
「底知れぬ男です。驚くような戦闘能力を持っていると思いきや、その戦術は素人同然。恐らく戦いの経験もそれほど多くないでしょう。また誰よりも命の価値を重んじる男です。他人が死ぬのを極端に嫌がる・・・・・・ですが命の価値をわかっていながらも他人を助けるために命をかけられる男。それがクラノです」
レインの話を聞いたリヴィエールは興味深いと言わんばかりに頷いた。
「なるほど。簡単に分析するのなら、戦いとは無縁な場所から流れてきた者というところでしょうか。それでいて戦闘能力が高い・・・・・・会うのが楽しみになってきましたよ」
話しながら歩いていくと、レインにとって聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ですから、今すぐ伝えなければ手遅れになってしまうかも知れないんです」
「だぁかぁらぁ、さっさと王を連れてこいって言ってんの。知らないわよ、手遅れになったらあんたの責任だからね」
王城の入り口にいたのは兵士に止められながらも、訴えかける倉野とノエルだった。
そんな二人を見つけたレインはまるで我が家に帰り着いたように安堵する。
「クラノ・・・・・・ノエル・・・・・・クラノ! ノエル!」
思わず二人の名前を呼ぶレイン。
それに気づいて倉野とノエルは、すぐにそちらに視線を送った。
王城の中から出てきたレインに気づき、二人は慌てて手を振る。
「レインさん!」
「レイン」
手を振る二人を眺めながらリヴィエールは優しく微笑んだ。
「随分と信頼されているのですね。そして貴方も彼らを信頼している。なるほど、良き仲間に出会えたようですね。とにかく再会を喜ぶべきではないですか?」
そう言われたレインは小さく頷き、倉野たちの元に駆け寄る。
「信じてたよ、クラノ。必ず生きていると」
「ははは、文字通り満身創痍ですけどね」
「ノエルも済まなかったね。面倒な役を押し付けた」
レインは言いながらノエルの顔を覗き込んだ。
するとノエルは少し照れたように唇を尖らせながら答える。
「本当よ、この貸しは大きいからね。それよりももっと大きな貸しができそうだけど」
「それはどういうことだい。王やリヴィエール様に伝えなければならないことがあると聞いているが」
レインはそう二人に尋ねた。
エヴァンシル王が宣言した。
するとリヴィエールは呆れたような顔をして、ため息をつく。
「そのような格好で、ですか?」
「いいか、王の威厳とは」
「脱げるものではない・・・・・・でしょう。先ほど聞きました。しかし、守ってもらわなければならないイメージというものがあります。今、準備をいたしますので、どうか服を着てください」
リヴィエールはそう答え、部屋の端にある棚から王に相応しく装飾された服を取り出した。
それはエヴァンシル王の好みというよりも、イメージを保つためのデザインのようである。緑の布に金の糸で細かな刺繍が施されていた。
エヴァンシル王の準備を待ってから、三人は王城の入口へと向かう。
「それで、そのクラノという人物はどのような方なんですか?」
歩きながらリヴィエールはレインに問いかけた。
リヴィエールの背後を歩きながらレインは倉野について話せる範囲で答える。
「底知れぬ男です。驚くような戦闘能力を持っていると思いきや、その戦術は素人同然。恐らく戦いの経験もそれほど多くないでしょう。また誰よりも命の価値を重んじる男です。他人が死ぬのを極端に嫌がる・・・・・・ですが命の価値をわかっていながらも他人を助けるために命をかけられる男。それがクラノです」
レインの話を聞いたリヴィエールは興味深いと言わんばかりに頷いた。
「なるほど。簡単に分析するのなら、戦いとは無縁な場所から流れてきた者というところでしょうか。それでいて戦闘能力が高い・・・・・・会うのが楽しみになってきましたよ」
話しながら歩いていくと、レインにとって聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ですから、今すぐ伝えなければ手遅れになってしまうかも知れないんです」
「だぁかぁらぁ、さっさと王を連れてこいって言ってんの。知らないわよ、手遅れになったらあんたの責任だからね」
王城の入り口にいたのは兵士に止められながらも、訴えかける倉野とノエルだった。
そんな二人を見つけたレインはまるで我が家に帰り着いたように安堵する。
「クラノ・・・・・・ノエル・・・・・・クラノ! ノエル!」
思わず二人の名前を呼ぶレイン。
それに気づいて倉野とノエルは、すぐにそちらに視線を送った。
王城の中から出てきたレインに気づき、二人は慌てて手を振る。
「レインさん!」
「レイン」
手を振る二人を眺めながらリヴィエールは優しく微笑んだ。
「随分と信頼されているのですね。そして貴方も彼らを信頼している。なるほど、良き仲間に出会えたようですね。とにかく再会を喜ぶべきではないですか?」
そう言われたレインは小さく頷き、倉野たちの元に駆け寄る。
「信じてたよ、クラノ。必ず生きていると」
「ははは、文字通り満身創痍ですけどね」
「ノエルも済まなかったね。面倒な役を押し付けた」
レインは言いながらノエルの顔を覗き込んだ。
するとノエルは少し照れたように唇を尖らせながら答える。
「本当よ、この貸しは大きいからね。それよりももっと大きな貸しができそうだけど」
「それはどういうことだい。王やリヴィエール様に伝えなければならないことがあると聞いているが」
レインはそう二人に尋ねた。
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