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異母兄弟

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 厳しくも優しい言葉を聞いたレインは素直な心で頭を下げた。

「申し訳ありません。感情だけが先走ってしまいました」

 そんなレインにエヴァンシル王が声をかける。

「私が意見を許したのだ、深く謝る必要はない。しかし、そのような感情も全てはノワール家への恨みによるものではないか?」
「いえ、そのようなことは」

 エヴァンシル王の疑問に対し否定しようとしたレインだったが、リヴィエールが口を挟んだ。

「どうでしょうか。騎士レインの名は私のところまで届いておりますよ。第二王子ジュウザ様に仕える身ながら、本当の兄弟のようであったと。そんなジュウザ様を殺害したのがノワール家だというのならば、貴方が特別な恨みを抱いていても不思議ではありません。そしてもう一つ・・・・・・貴方がノワール家を恨む理由があるのではないですか?」

 リヴィエールにそう言われたレインは即座に言い返す。

「な、何を仰っているのですか。確かに私はジュウザ様に仕えていましたので、恨みの対象と言えます・・・・・・ですが、それ以外には・・・・・・」

 誰が見ても慌てているレイン。額に汗を浮かべ、体全体が緊張しているように見えた。
 その様子を見ていたエヴァンシル王が首を傾げる。

「何を言っているんだ、リヴィエール。騎士レインに何かあるというのか?」

 王の疑問を聞いたリヴィエールは小さく頷き、口を開いた。

「そうですね、先ほどの彼の反応で確信いたしました。最初からおかしいと思ったのですよ。何故、これほど冷静さを欠いているのかと。そもそも、騎士レインはジュウザ様殺害の首謀者をノワール家ではないか、と目星をつけスネークを追っています。しかし、騎士レインが国外に出向いているという話を私は聞いていませんでした。大将である私が聞いていないということは、個人的に感情で行動しているのです。それについて罰しようとは思っておりませんが、本来ならば軍規違反で罰を受けてもおかしくない行動・・・・・・」
「ほう・・・・・・そうだったのか。だが、個人的な感情とは何かと聞いているのだ。相変わらず話の長いやつめ」

 そう言いながらエヴァンシル王はため息をつく。
 するとリヴィエールは気恥ずかしそうに苦笑し、話を進めた。

「これは高度に心理的な話し方なのですが、王がそう言われるのであれば結論から申しましょう。ここにいる騎士レインはノワール家当主アヴァールの異母兄弟です」

 突きつけられた言葉にレインは硬直し、言葉を失う。
 推測ではなく確信しているという話し方をするリヴィエール。
 急展開についていけず、エヴァンシル王は歪んだ表情で首を傾げた。

「何を言っているんだ、リヴィエールよ。何の話をしている。今話していたのは次の王を決めるということではないか。それが何故、そのような話になる。というか、騎士レインがノワール家当主と異母兄弟だと?」
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