156 / 729
連載
進言
しおりを挟む
リヴィエールはそんなレインに一度頷くと話を続ける。
「なるほど・・・・・・ではそう仮定し、話を続けるとしましょう。真実を知る術が本当にあり、ジュウザ様殺害の首謀者が間違いなくアヴァール・ノワールだと考えればフォルテ・リオメットに屋敷を焼き払えと指示したのもアヴァールだと考えるのが自然・・・・・・おそらく騎士レインの推測もそういった内容でしょう?」
「はい、リヴィエール様と同じ推測に至りました。少なくとも、ジュウザ様殺害については間違いなくアヴァールの指示ですし、王位継承権を狙っているのは明白です」
リヴィエールの問いかけにそう答えるレイン。
レインの言葉を聞いたエヴァンシル王は自らの額に手を当て、考え込み少しの間沈黙してからため息をついた。
「はぁ・・・・・・何故、王位などに固執するのか。王は王・・・・・・神ではない。その存在はあくまで国民の代表だ。果たして他者を蹴落とし王位を奪ったところで国民を導くことができるのか、国民が自分についてくるのか。国民が一人もいなくなれば王は王ではなくなる・・・・・・そのようなこともわからぬとは浅慮の極みとしか言いようがないな、アヴァール」
「その通りでございます」
王の言葉に同意したリヴィエールは再びレインに言葉をかける。
「これで終わりというわけではないですよね、騎士レイン。ここまではただの報告・・・・・・確かに緊急性の高い話ですが、わざわざこのような時間に王に謁見する理由としては些か弱いかと。何かここから発展した話があるのではないですか?」
そう問いかけられたレインはリヴィエールの推察に驚きながらも、即座に頷いた。
「はい、仰るとおりです。出過ぎた話を致しますがよろしいでしょうか」
膝をついたまま問いかけるレインにエヴァンシル王が頷く。
「かまわん。話してみよ」
許可を得た意を決してレインは本題を切り出した。
「この王位継承権争いによって既に二人の王子が命を落としています。そしてこのままではこの繰り返されるでしょう。それもこれも王位継承権をえられるのではないかという可能性があるためです。ならば、その可能性を失くしてしまえばいい・・・・・・全てを終わらせるために早急に次の王を決定していただければ・・・・・・」
そこまでレインが言葉にした瞬間にリヴィエールが遮るように口を開く。
「騎士レイン。貴方の言葉はこう続くのではないですか・・・・・・次の王を決定すれば王位継承権争いは終わる。そしてその場合、一番疑わしいノワール家に王位を継承させるわけにはいかない。消去法ではあるがルージュ家の血を継いでいるリコルド様、ラーク様から王を選べ・・・・・・と」
「は、はい」
自分が口にしようとした言葉を言い当てられたレインは動揺しながら頷いた。
すると、リヴィエールはかつてないほどの声量で言葉を放つ。
「控えろ!」
突き刺すような言葉に空気が震え、時間が止まったのではないかと錯覚するほど一気に沈黙した。その姿は彼が国軍大将であると思い出させる。
呼吸を忘れてしまうほどの沈黙。再び時間を動かしたのは止めた本人であった。
「大声を出してしまい申し訳ありません。騎士レイン・・・・・・今貴方が次の王について進言すればどうなると思いますか。私たちは貴方がルージュ家と繋がっているのではないかと疑わざるを得ません。もちろん貴方がオランディを想い、行動しているのはわかっています。しかし、このような状況ではそう考えなければならなくなるのです」
リヴィエールはそう言いながら再び穏やかな表情を浮かべる。
「なるほど・・・・・・ではそう仮定し、話を続けるとしましょう。真実を知る術が本当にあり、ジュウザ様殺害の首謀者が間違いなくアヴァール・ノワールだと考えればフォルテ・リオメットに屋敷を焼き払えと指示したのもアヴァールだと考えるのが自然・・・・・・おそらく騎士レインの推測もそういった内容でしょう?」
「はい、リヴィエール様と同じ推測に至りました。少なくとも、ジュウザ様殺害については間違いなくアヴァールの指示ですし、王位継承権を狙っているのは明白です」
リヴィエールの問いかけにそう答えるレイン。
レインの言葉を聞いたエヴァンシル王は自らの額に手を当て、考え込み少しの間沈黙してからため息をついた。
「はぁ・・・・・・何故、王位などに固執するのか。王は王・・・・・・神ではない。その存在はあくまで国民の代表だ。果たして他者を蹴落とし王位を奪ったところで国民を導くことができるのか、国民が自分についてくるのか。国民が一人もいなくなれば王は王ではなくなる・・・・・・そのようなこともわからぬとは浅慮の極みとしか言いようがないな、アヴァール」
「その通りでございます」
王の言葉に同意したリヴィエールは再びレインに言葉をかける。
「これで終わりというわけではないですよね、騎士レイン。ここまではただの報告・・・・・・確かに緊急性の高い話ですが、わざわざこのような時間に王に謁見する理由としては些か弱いかと。何かここから発展した話があるのではないですか?」
そう問いかけられたレインはリヴィエールの推察に驚きながらも、即座に頷いた。
「はい、仰るとおりです。出過ぎた話を致しますがよろしいでしょうか」
膝をついたまま問いかけるレインにエヴァンシル王が頷く。
「かまわん。話してみよ」
許可を得た意を決してレインは本題を切り出した。
「この王位継承権争いによって既に二人の王子が命を落としています。そしてこのままではこの繰り返されるでしょう。それもこれも王位継承権をえられるのではないかという可能性があるためです。ならば、その可能性を失くしてしまえばいい・・・・・・全てを終わらせるために早急に次の王を決定していただければ・・・・・・」
そこまでレインが言葉にした瞬間にリヴィエールが遮るように口を開く。
「騎士レイン。貴方の言葉はこう続くのではないですか・・・・・・次の王を決定すれば王位継承権争いは終わる。そしてその場合、一番疑わしいノワール家に王位を継承させるわけにはいかない。消去法ではあるがルージュ家の血を継いでいるリコルド様、ラーク様から王を選べ・・・・・・と」
「は、はい」
自分が口にしようとした言葉を言い当てられたレインは動揺しながら頷いた。
すると、リヴィエールはかつてないほどの声量で言葉を放つ。
「控えろ!」
突き刺すような言葉に空気が震え、時間が止まったのではないかと錯覚するほど一気に沈黙した。その姿は彼が国軍大将であると思い出させる。
呼吸を忘れてしまうほどの沈黙。再び時間を動かしたのは止めた本人であった。
「大声を出してしまい申し訳ありません。騎士レイン・・・・・・今貴方が次の王について進言すればどうなると思いますか。私たちは貴方がルージュ家と繋がっているのではないかと疑わざるを得ません。もちろん貴方がオランディを想い、行動しているのはわかっています。しかし、このような状況ではそう考えなければならなくなるのです」
リヴィエールはそう言いながら再び穏やかな表情を浮かべる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,845
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。