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己の正義
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フォルテと呼ばれた赤髪の男は剣の鋒をレインに向け、無表情なまま三人を眺めている。
最悪の想像が現実として目の前に現れたのだ。
「お前が、王子たちを・・・・・・どうして裏切ったんだフォルテ!」
「ふっ、何も見えていないのだな、レイン。その目は節穴か」
「黙れ・・・・・・この国の希望を返せ!」
フォルテの言葉に怒りの温度を上げたレインはそう叫びながら剣をフォルテに向ける。
そのまま走り出そうとするレイン。そんな彼の肩をノエルが掴んだ。
「待ちなさいよレイン。今やるべきことは何?」
「あの男を殺すことだ!」
「違うわよ。王子たちを救うことでしょ」
宥めるような口調でノエルがそう話すと、フォルテが感心したように口角を上げる。
「ほう。その女の方が頭が回るようだ。この瞬間に三つの案を頭に描いている。自分が足止めとなりレインを屋敷に向かわせる作戦ともう一人のクラノという男が足止めとなりレインを向かわせる作戦。そして、三人同時に俺と戦う作戦か。その女は気づいている。まだ王子たちが死んでいないことにな」
自分の心の内を明かされたノエルは一瞬驚きの表情を見せたが、なんとか冷静さを保ち言葉を返した。
「これがスキル読心なのね。乙女の頭の中を読むなんて良い趣味してるじゃない」
「そう強がるな。心の中は動揺と恐怖でいっぱいだぞ」
「心が読めるからなんなのよ。このっ・・・・・・」
そう言いながらノエルが右手を構える。
その瞬間にフォルテは構えていた剣の方向をノエルに移した。
「ライトニングボルトという魔法を放とうとしたな。やめておけ、お前の魔法よりも早く俺の魔法がお前を焼き尽くす」
フォルテにそう言われたノエルは奥歯を噛み締める。
「くっ・・・・・・」
「賢明な判断だ。俺にお前を殺す理由はない。俺の正義にそれは含まれていない」
剣を下げながらそう言い放つフォルテにレインが怒りを露わにした。
「何が正義だ。この行動のどこに正義がある!」
「一方方向からしか見えぬお前には分からんよ」
「お前はノワールの手先か!」
「何も見えていないのだな、レイン」
言い合うレインとフォルテ。その様子を見ていた倉野は心の中で状況を把握していた。
フォルテの言葉からまだ王子たちが殺されていないことがわかる。だが、それも時間の問題だ。
屋敷が完全に燃えてしまえば王子たちの命も燃え尽きるだろう。
そして屋敷に向かうためにはフォルテを超えていかなければならない。
だが、レインやノエルではフォルテに勝てないことはわかっていた。
つまり、と倉野は心の中で覚悟を決める。
すると倉野の心の声が聞こえたのか、フォルテの視線が倉野に移った。
「お前なら勝てるというのか、この俺に」
フォルテがそう言い放つと、レインも倉野に視線を送る。
「クラノ・・・・・・」
「レインさん、ノエルさん。この男は僕が止めてみせます。だから、王子たちを救ってください!」
決意を叫ぶ倉野。
するとフォルテは再び口角を上げ、剣を構えた。
「面白い。勝てないかもしれないという気持ちを自分で殺し、決意したのだな。それもまた正義だ。いいだろう、相手をしてやる。その手で正義を掴んでみせろ」
そうフォルテが言い放った瞬間に倉野はスキル神速を発動する。
最悪の想像が現実として目の前に現れたのだ。
「お前が、王子たちを・・・・・・どうして裏切ったんだフォルテ!」
「ふっ、何も見えていないのだな、レイン。その目は節穴か」
「黙れ・・・・・・この国の希望を返せ!」
フォルテの言葉に怒りの温度を上げたレインはそう叫びながら剣をフォルテに向ける。
そのまま走り出そうとするレイン。そんな彼の肩をノエルが掴んだ。
「待ちなさいよレイン。今やるべきことは何?」
「あの男を殺すことだ!」
「違うわよ。王子たちを救うことでしょ」
宥めるような口調でノエルがそう話すと、フォルテが感心したように口角を上げる。
「ほう。その女の方が頭が回るようだ。この瞬間に三つの案を頭に描いている。自分が足止めとなりレインを屋敷に向かわせる作戦ともう一人のクラノという男が足止めとなりレインを向かわせる作戦。そして、三人同時に俺と戦う作戦か。その女は気づいている。まだ王子たちが死んでいないことにな」
自分の心の内を明かされたノエルは一瞬驚きの表情を見せたが、なんとか冷静さを保ち言葉を返した。
「これがスキル読心なのね。乙女の頭の中を読むなんて良い趣味してるじゃない」
「そう強がるな。心の中は動揺と恐怖でいっぱいだぞ」
「心が読めるからなんなのよ。このっ・・・・・・」
そう言いながらノエルが右手を構える。
その瞬間にフォルテは構えていた剣の方向をノエルに移した。
「ライトニングボルトという魔法を放とうとしたな。やめておけ、お前の魔法よりも早く俺の魔法がお前を焼き尽くす」
フォルテにそう言われたノエルは奥歯を噛み締める。
「くっ・・・・・・」
「賢明な判断だ。俺にお前を殺す理由はない。俺の正義にそれは含まれていない」
剣を下げながらそう言い放つフォルテにレインが怒りを露わにした。
「何が正義だ。この行動のどこに正義がある!」
「一方方向からしか見えぬお前には分からんよ」
「お前はノワールの手先か!」
「何も見えていないのだな、レイン」
言い合うレインとフォルテ。その様子を見ていた倉野は心の中で状況を把握していた。
フォルテの言葉からまだ王子たちが殺されていないことがわかる。だが、それも時間の問題だ。
屋敷が完全に燃えてしまえば王子たちの命も燃え尽きるだろう。
そして屋敷に向かうためにはフォルテを超えていかなければならない。
だが、レインやノエルではフォルテに勝てないことはわかっていた。
つまり、と倉野は心の中で覚悟を決める。
すると倉野の心の声が聞こえたのか、フォルテの視線が倉野に移った。
「お前なら勝てるというのか、この俺に」
フォルテがそう言い放つと、レインも倉野に視線を送る。
「クラノ・・・・・・」
「レインさん、ノエルさん。この男は僕が止めてみせます。だから、王子たちを救ってください!」
決意を叫ぶ倉野。
するとフォルテは再び口角を上げ、剣を構えた。
「面白い。勝てないかもしれないという気持ちを自分で殺し、決意したのだな。それもまた正義だ。いいだろう、相手をしてやる。その手で正義を掴んでみせろ」
そうフォルテが言い放った瞬間に倉野はスキル神速を発動する。
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