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契約の紋章
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「はい、その通りです」
そう言いながら倉野は自分の右腕を撫でる。
そこにはイスベルグと契約した際に刻まれた紋章があり、服によって隠れていた。
幾つもの線が重なりドラゴンと氷山を表している紋章はまるで刺青のように見える。
一度その紋章を見ていたレインは倉野の仕草から、さらなる真実に気づいたようだった。
「右腕・・・・・・そう言えばクラノの右腕にドラゴンと氷山を表したような紋章が・・・・・・まさか、いや、そんな」
「どうしたの?」
突如、驚き始めたレインに対して首を傾げるノエル。
するとレインは恐る恐ると言ったように倉野に問いかけた。
「・・・・・・クラノはイスベルグと契約したのかい?」
「え、どうしてそれを?」
イスベルグとの関係を当てられた倉野は素直に驚く。
倉野の言葉を聞いたレインは一気に力が抜けたように椅子に座り込んでしまった。
「ドラゴンとの契約なんて、まさに御伽噺だよクラノ」
そう話すレインの隣でノエルは言葉を失い唖然としている。
何を驚かれているのか、と倉野は首を傾げた。
そんな倉野の表情から察したのだろう。レインは口を開く。
「何を驚いているのか分かっていない顔だね、それは。俺たちはクラノがイスベルグに出会い、力を貸してもらったのだと思っていたのさ。だが、契約をしたということはクラノがドラゴンを従えているという証。つまりドラゴンのマスターということだよ」
「従えているつもりはないのですが、イスベルグさんにとって僕と契約するのが都合いいらしいです」
そう答える倉野。
しかし思っていたよりもイスベルグとの契約の話が与えた衝撃は大きかったようだ。
我を取り戻したノエルが早口で捲し立てるように言葉を放つ。
「ド、ドラゴンなんて軍隊が軍隊になっても勝てないのよ。それと契約したなんてどんな化け物なのよクラノ」
まさかいきなり化け物呼ばわりされるとは思っていなかった、と心の中で呟きながら、倉野は首を横に振る。
「け、契約といっても、自由に力を使ったり命令したりできるわけじゃありませんよ」
「だが、イスベルグの魔法を使った瞬間があったんじゃないかい?」
そう聞き返すレイン。
そのままレインは言葉を続けた。
「ヴェンデッタのアジトで敵と戦っている時、クラノは氷系の魔法を使った。上級・・・・・・いや超級すら超えた強力な魔法さ。それにその時クラノは精霊に呼びかける詠唱を行なっていた。あれは大昔の魔法だよ」
「確かにそうです。あの時スキルが使えなかった僕はイスベルグさんに助けられました。ですが、僕がイスベルグさんの魔法を使うと魔力酔いによって倒れてしまうんです」
「なるほど、いきなり倒れて三日間眠っていたのは魔力酔いだったのかい。自由に使えるわけじゃないってのはそういうことか」
言いながらレインは納得する。
そう言いながら倉野は自分の右腕を撫でる。
そこにはイスベルグと契約した際に刻まれた紋章があり、服によって隠れていた。
幾つもの線が重なりドラゴンと氷山を表している紋章はまるで刺青のように見える。
一度その紋章を見ていたレインは倉野の仕草から、さらなる真実に気づいたようだった。
「右腕・・・・・・そう言えばクラノの右腕にドラゴンと氷山を表したような紋章が・・・・・・まさか、いや、そんな」
「どうしたの?」
突如、驚き始めたレインに対して首を傾げるノエル。
するとレインは恐る恐ると言ったように倉野に問いかけた。
「・・・・・・クラノはイスベルグと契約したのかい?」
「え、どうしてそれを?」
イスベルグとの関係を当てられた倉野は素直に驚く。
倉野の言葉を聞いたレインは一気に力が抜けたように椅子に座り込んでしまった。
「ドラゴンとの契約なんて、まさに御伽噺だよクラノ」
そう話すレインの隣でノエルは言葉を失い唖然としている。
何を驚かれているのか、と倉野は首を傾げた。
そんな倉野の表情から察したのだろう。レインは口を開く。
「何を驚いているのか分かっていない顔だね、それは。俺たちはクラノがイスベルグに出会い、力を貸してもらったのだと思っていたのさ。だが、契約をしたということはクラノがドラゴンを従えているという証。つまりドラゴンのマスターということだよ」
「従えているつもりはないのですが、イスベルグさんにとって僕と契約するのが都合いいらしいです」
そう答える倉野。
しかし思っていたよりもイスベルグとの契約の話が与えた衝撃は大きかったようだ。
我を取り戻したノエルが早口で捲し立てるように言葉を放つ。
「ド、ドラゴンなんて軍隊が軍隊になっても勝てないのよ。それと契約したなんてどんな化け物なのよクラノ」
まさかいきなり化け物呼ばわりされるとは思っていなかった、と心の中で呟きながら、倉野は首を横に振る。
「け、契約といっても、自由に力を使ったり命令したりできるわけじゃありませんよ」
「だが、イスベルグの魔法を使った瞬間があったんじゃないかい?」
そう聞き返すレイン。
そのままレインは言葉を続けた。
「ヴェンデッタのアジトで敵と戦っている時、クラノは氷系の魔法を使った。上級・・・・・・いや超級すら超えた強力な魔法さ。それにその時クラノは精霊に呼びかける詠唱を行なっていた。あれは大昔の魔法だよ」
「確かにそうです。あの時スキルが使えなかった僕はイスベルグさんに助けられました。ですが、僕がイスベルグさんの魔法を使うと魔力酔いによって倒れてしまうんです」
「なるほど、いきなり倒れて三日間眠っていたのは魔力酔いだったのかい。自由に使えるわけじゃないってのはそういうことか」
言いながらレインは納得する。
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