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「つまり、ニンジャたちがバジルって男のスキルを知り、フォルテって男のスキルに対抗するためにスカウトしたってことね」
情報をまとめる様にノエルがそう話した。
倉野のスキル説明によって今まで不透明だった現状がどんどんと見えてくる。
そしてそれは想定していた中でも最悪と言えるだろう。
このままでは第二王子ジュウザに続き、第四王子ルシアルの命まで奪われてしまうかもしれない。
その先に待っているのはノワール家によるオランディの支配だ。
貴族によって国民は支配され、現在のオランディからは大きく変わってしまうだろう。
それが悪いことだと断定することはできない倉野だったが、少なくともレインが望んでいないことは分かっていた。
オランディという国の行末よりも自分のために命をかけ戦ってくれたレインの気持ちを優先したい。
何が正しいかではなく、何を成したいか。
「こっちから見た正義は、あっちから見た悪かもしれない・・・・・・けど」
倉野が小さな声でそう呟くとレインは首を傾げた。
「何か言ったかい?」
「いえ、なんでもないです。でもこれで何をすべきか見えてきましたね」
そう言ってから倉野は立ち上がる。
レインとノエルは倉野に続き、同時に立ち上がった。
スキル無効化を持つバジルがオランディに向かっているのならば、すぐに追いかけなければならない。
レインは次の行動を言葉にした。
「このままでは第四王子ルシアル様の命が危ない。俺はすぐにここを出ようと思っているんだが、本当にいいのかい?」
そう話すレインに対してすぐに答えるノエル。
「私の答えは変わらないわ。今の状況だと何よりも時間が惜しい・・・・・・けどクラノはいいの?」
「はい。既に三日遅れていますから、いますぐ出発しましょう」
倉野が答えるとノエルは呆れた様にため息をついた。
「はぁ。そうじゃないわよ。この家のお嬢様に別れを告げなくていいのってことよ」
「え、それは」
「見てれば分かるわよ。お嬢様がクラノに惚れてることくらいね」
言葉に詰まる倉野にノエルはそう言い放つ。
一瞬、停止した倉野だったがどちらを優先すべきかは分かっていた。
「いえ、大丈夫です。レイチェルさんには旅を続けるって言ってありますから」
「まったく。なんでも見通すスキルを持ってるくせに女心はわからないみたいね」
言いながらノエルは苦笑する。
ノエルの言葉を受けながらも倉野は鞄から地図を開いた。
「バジルは船でオランディに向かっています。ってことはそれが最短ルートなんですよね」
倉野が地図を眺めながら言うとレインが頷き答える。
「ああ、ここから歩いて一日ほどの場所にオーリオという港町があるはずだよ。そこから船が出ている。おそらくバジルはその船に乗っているんだろうね」
オーリオと聞いた倉野は懐かしさを感じた。
前回、帝都にを出た際も次の行き先はオーリオだったのである。
その道中で行商人ダンに出会い、オーリオでレオポルトやニャルに出会った。
もちろん、もう一度オーリオに行きたい気持ちはある。
オーリオから船で向かうのがオランディへの最短ルートならば向かうべきだ。
だが、それには大きな問題があった。
問題に気づいたノエルが言葉にする。
「最短ルートでオランディに向かっているバジルを最短ルートで追いかけても間に合わないわよね」
情報をまとめる様にノエルがそう話した。
倉野のスキル説明によって今まで不透明だった現状がどんどんと見えてくる。
そしてそれは想定していた中でも最悪と言えるだろう。
このままでは第二王子ジュウザに続き、第四王子ルシアルの命まで奪われてしまうかもしれない。
その先に待っているのはノワール家によるオランディの支配だ。
貴族によって国民は支配され、現在のオランディからは大きく変わってしまうだろう。
それが悪いことだと断定することはできない倉野だったが、少なくともレインが望んでいないことは分かっていた。
オランディという国の行末よりも自分のために命をかけ戦ってくれたレインの気持ちを優先したい。
何が正しいかではなく、何を成したいか。
「こっちから見た正義は、あっちから見た悪かもしれない・・・・・・けど」
倉野が小さな声でそう呟くとレインは首を傾げた。
「何か言ったかい?」
「いえ、なんでもないです。でもこれで何をすべきか見えてきましたね」
そう言ってから倉野は立ち上がる。
レインとノエルは倉野に続き、同時に立ち上がった。
スキル無効化を持つバジルがオランディに向かっているのならば、すぐに追いかけなければならない。
レインは次の行動を言葉にした。
「このままでは第四王子ルシアル様の命が危ない。俺はすぐにここを出ようと思っているんだが、本当にいいのかい?」
そう話すレインに対してすぐに答えるノエル。
「私の答えは変わらないわ。今の状況だと何よりも時間が惜しい・・・・・・けどクラノはいいの?」
「はい。既に三日遅れていますから、いますぐ出発しましょう」
倉野が答えるとノエルは呆れた様にため息をついた。
「はぁ。そうじゃないわよ。この家のお嬢様に別れを告げなくていいのってことよ」
「え、それは」
「見てれば分かるわよ。お嬢様がクラノに惚れてることくらいね」
言葉に詰まる倉野にノエルはそう言い放つ。
一瞬、停止した倉野だったがどちらを優先すべきかは分かっていた。
「いえ、大丈夫です。レイチェルさんには旅を続けるって言ってありますから」
「まったく。なんでも見通すスキルを持ってるくせに女心はわからないみたいね」
言いながらノエルは苦笑する。
ノエルの言葉を受けながらも倉野は鞄から地図を開いた。
「バジルは船でオランディに向かっています。ってことはそれが最短ルートなんですよね」
倉野が地図を眺めながら言うとレインが頷き答える。
「ああ、ここから歩いて一日ほどの場所にオーリオという港町があるはずだよ。そこから船が出ている。おそらくバジルはその船に乗っているんだろうね」
オーリオと聞いた倉野は懐かしさを感じた。
前回、帝都にを出た際も次の行き先はオーリオだったのである。
その道中で行商人ダンに出会い、オーリオでレオポルトやニャルに出会った。
もちろん、もう一度オーリオに行きたい気持ちはある。
オーリオから船で向かうのがオランディへの最短ルートならば向かうべきだ。
だが、それには大きな問題があった。
問題に気づいたノエルが言葉にする。
「最短ルートでオランディに向かっているバジルを最短ルートで追いかけても間に合わないわよね」
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