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ニンジャ レンヤ・トドロキ

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「バジルは現在・・・・・・オランディ行きの船に乗っています」

 衝撃で震える声で倉野はそう言った。
 倉野の言葉を聞いたレインは一気に表情を変える。
 驚愕と焦燥が入り混じる中、レインはなんとか言葉を振り絞った。

「な・・・・・・まさか、本当にバジルがオランディに・・・・・・・」
「はい。目的はフォルテ・リオメットのスキルを無効化させる為です」

 表示された文字の続きを読み上げる倉野。
 さらにレインは焦燥の色を強めた。彼の額から冷や汗が流れている。

「最悪の想定通り・・・・・・というわけか」

 額の汗を拭いながらレインはそう話した。
 現在、生き残ったオランディの王子たちはオランディ最強の剣士フォルテの読心というスキルによって守られている。
 悪意や殺意を読み取り、王子たちに近づかない様にしているのだ。
 だが、バジルはスキル無効化というスキルを所持している。
 フォルテのスキルが無効化されてしまえば、王子たちの命が危ない。
 レインの言葉通り、最悪の想定通りだった。

「どうして、バジルはオランディの内情やフォルテの存在を知っているのよ。フォルテに対抗するために向かってるってことは知ってるってことよね」

 話を聞いていたノエルが疑問を口にする。
 一度頷いてから倉野は表示されている文字の続きを読み上げた。

「アヴァール・ノワールに仕えているレンヤ・トドロキという男がバジルを迎えに来た様です。そして、これからの生活を保証する代わりにオランディに同行し、スキル無効化を使用するという契約を結んだ様ですね」

 ヴェンデッタという居場所を失ったバジルにとって渡りに船だったのだろう。
 これからどうするのか。何を頼ればいいのか。バジルにとって未来は失われていたはずだ。
 そんな状況のバジルがノワール家に従うのは当然だろう。
 しかし、まだ疑問は残っていた。

「じゃあ、逆になんだけど。オランディ側はどうしてバジルを知っていたの?」

 ノエルが疑問を言葉にする。
 バジルという一個人をなぜ知っていたのか。その疑問も当然だ。
 だが、レインは間を開けずにすぐさま答える。

「オランディには異国から流れてきた民族が多い。オランディの豊かさと平和を求め、移り住んでくるのさ。その中にニンジャと呼ばれる民族がいる。彼らは諜報活動を得意とし、その情報力でオランディを陰から支えているのさ。レンヤ・トドロキもニンジャの一人だよ」

 レインの話を聞いた倉野は驚きながらも頷いた。
 こっちの世界にも忍者がいるのか、と心の中で呟く。
 ノワール家に仕えるレンヤ・トドロキ。おそらくはトドロキ・レンヤだろうが、その日本風の名前にも驚いた。
 しかし、こちらの世界には倉野がいた世界に似ている部分も見られる。日本の様な国があり、忍者という存在がいてもおかしくはないだろうと倉野は納得する。
 
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