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権力という魔物
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レインの言葉や口調から察するに、アヴァール・ノワールが一番の容疑者だったのだろう。
オランディの中で起きている悲しい事件に表情を曇らせるレイン。
そんなレインの心を察しながらも倉野は話を進めた。
「あとは今後の動向を確認しないとですね」
「そうね。アヴァールの目的とスネークって暗殺者の行動を見ておいた方がいいと思うわ。既にオランディから離れているとはいえ一度はノワールの依頼を受けた男だからね」
倉野に同意してからノエルがそう話す。
なるほど、と頷いてから倉野はスキル説明を発動した。
対象はアヴァール・ノワールがジュウザ・ウィンドミルを殺害した目的である。
スキル説明によって表示された文字を読み上げる倉野。
「アヴァールがジュウザを殺害した目的はオランディ王位を第一王子スクレット・ウィンドミルに与えるため。国民投票によってスクレットは王位継承権を得たが、肺の病で倒れてしまい、その権利を失った。そこでアヴァールは他の王子を殺害することでスクレットが再び王位継承権を得られるだろうと考えた」
倉野の言葉を聞いたノエルは数回連続で頷いた。
「概ね予想通りってところね。第二王子ジュウザは第一王子スクレットを王にする為に殺された」
状況をまとめる様にノエルがそう話す。
その隣でレインは奥歯を噛みしめながら現実を受け止めていた。
「ジュウザ様は王位継承権の為に殺された・・・・・・あれほど心の優しいお方が、王になる権利のためにっ」
いつも冷静だったレインが取り乱している姿に倉野も心を痛める。
権力とはそこまでしても欲しいものなのだろうか。
なんのために命を奪わなければならないのだろうか。
頭では理解できても心が納得できない倉野。
「一応、スネークの動向も確認しておきましょう」
そう伝えてから倉野はスキル説明でスネークの動きを確認する。
すると、スネークはオランディでの仕事を終えてジュアムで身を潜めていると分かった。
ノワール家との関係も確認したが依頼人と暗殺者というだけで、今後この事件に登場することはないだろうと倉野たちは判断を下す。
「こういうのは可能性を少しずつ潰しておくことが大切よ。これでスネークのことは考えずに行動できるからね」
ノエルにそう言われた倉野は同意する様に頷き、返答する。
「そうですね。小さな可能性でも後から大きな問題になるかもしれませんから」
「ええ、そうよ。小さな可能性と言えばさっき話してたあれはどうなの?」
倉野の言葉に対してそう問いかけるノエル。
彼女の言葉に対してレインが口を挟んだ。
「小さな可能性とはバジル・インフェルノのことだね」
スキル無効化を持つ、倉野にとって相性の悪い男。
現在、生き残っている王子たちは一ヶ所に集められ厳戒態勢で警護されている。
そしてその警護の要として相手の心を読む、読心というスキルを所持したフォルテ・リオメットが護衛を務めていた。
しかし、スキル無効化を持っているバジルならばその警護を潜り抜けられるのではないかという半ばこじつけの様な憶測である。
倉野にとってそれほどバジルという男の存在は大きかった。
スキルを過信する危険性について身をもって体感している。
杞憂であって欲しいと思いながらもその可能性を否定しきれなかった。
「可能性はかなり低いですが・・・・・・確認します。スキル説明発動。対象はバジル・インフェルノの現在の行動」
そう唱えた倉野は目の前に表示された画面を読み上げる。
オランディの中で起きている悲しい事件に表情を曇らせるレイン。
そんなレインの心を察しながらも倉野は話を進めた。
「あとは今後の動向を確認しないとですね」
「そうね。アヴァールの目的とスネークって暗殺者の行動を見ておいた方がいいと思うわ。既にオランディから離れているとはいえ一度はノワールの依頼を受けた男だからね」
倉野に同意してからノエルがそう話す。
なるほど、と頷いてから倉野はスキル説明を発動した。
対象はアヴァール・ノワールがジュウザ・ウィンドミルを殺害した目的である。
スキル説明によって表示された文字を読み上げる倉野。
「アヴァールがジュウザを殺害した目的はオランディ王位を第一王子スクレット・ウィンドミルに与えるため。国民投票によってスクレットは王位継承権を得たが、肺の病で倒れてしまい、その権利を失った。そこでアヴァールは他の王子を殺害することでスクレットが再び王位継承権を得られるだろうと考えた」
倉野の言葉を聞いたノエルは数回連続で頷いた。
「概ね予想通りってところね。第二王子ジュウザは第一王子スクレットを王にする為に殺された」
状況をまとめる様にノエルがそう話す。
その隣でレインは奥歯を噛みしめながら現実を受け止めていた。
「ジュウザ様は王位継承権の為に殺された・・・・・・あれほど心の優しいお方が、王になる権利のためにっ」
いつも冷静だったレインが取り乱している姿に倉野も心を痛める。
権力とはそこまでしても欲しいものなのだろうか。
なんのために命を奪わなければならないのだろうか。
頭では理解できても心が納得できない倉野。
「一応、スネークの動向も確認しておきましょう」
そう伝えてから倉野はスキル説明でスネークの動きを確認する。
すると、スネークはオランディでの仕事を終えてジュアムで身を潜めていると分かった。
ノワール家との関係も確認したが依頼人と暗殺者というだけで、今後この事件に登場することはないだろうと倉野たちは判断を下す。
「こういうのは可能性を少しずつ潰しておくことが大切よ。これでスネークのことは考えずに行動できるからね」
ノエルにそう言われた倉野は同意する様に頷き、返答する。
「そうですね。小さな可能性でも後から大きな問題になるかもしれませんから」
「ええ、そうよ。小さな可能性と言えばさっき話してたあれはどうなの?」
倉野の言葉に対してそう問いかけるノエル。
彼女の言葉に対してレインが口を挟んだ。
「小さな可能性とはバジル・インフェルノのことだね」
スキル無効化を持つ、倉野にとって相性の悪い男。
現在、生き残っている王子たちは一ヶ所に集められ厳戒態勢で警護されている。
そしてその警護の要として相手の心を読む、読心というスキルを所持したフォルテ・リオメットが護衛を務めていた。
しかし、スキル無効化を持っているバジルならばその警護を潜り抜けられるのではないかという半ばこじつけの様な憶測である。
倉野にとってそれほどバジルという男の存在は大きかった。
スキルを過信する危険性について身をもって体感している。
杞憂であって欲しいと思いながらもその可能性を否定しきれなかった。
「可能性はかなり低いですが・・・・・・確認します。スキル説明発動。対象はバジル・インフェルノの現在の行動」
そう唱えた倉野は目の前に表示された画面を読み上げる。
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