103 / 729
連載
状況確認
しおりを挟む
二人の快諾を得たレインは自分は一人じゃないと気づき、自然と目頭が熱くなる。
そして目頭よりも胸が熱を持っていた。
レインは自分の胸に手を当ててから強く頷く。
「ああ、オランディが救われたのならばいくらでも払おう。しかし、ノエル・・・・・・グランダー伯爵からの勧誘はいいのか」
「傭兵にとって貴族に雇われるなんて魅力的な話だけど、私にはフリーが向いているわ」
そう言いながら拳を握るノエル。
「そうか、なら良いんだ。じゃあ、状況を確認してもいいか」
納得した表情でレインは言葉を続けた。
「現在、分かっている事と分からない事をまとめると・・・・・・」
そのまま説明を始める。
現在分かっているのはオランディの歴史と国内で起こった事件。
オランディには最上級貴族、と呼ばれる家が五つある。それがルージュ家、アスル家、ヴェルデ家、ノワール家、ブラン家だ。
そのうちの一つが王家となりオランディを収めている。
王家以外の四つの貴族は四大貴族と呼ばれ、各家の中から女性が一人選ばれ王妃となるのがオランディのルールだった。
それにより王は四人の妻を得る。
そして、四人の王妃はそれぞれ子を産み、その中から一人が次の王に選ばれるのだ。
王に選ばれた者の母がどの家出身かによって次の王家が決まる。
選び方は最上級以外の貴族による投票だ。
そして現在の王はヴェルデ家の血を受け継いでいるのだとレインは説明する。
「エヴァンシル・ウィンドミル様・・・・・・現在の王の名前さ。穏やかな性格で自然を愛する王。王は国民を愛し、国民もまた王を愛している。オランディの平和さを象徴する様な王だよ」
その言葉からはエヴァンシル王への尊敬が溢れていた。
そしてそのままレインは話を続ける。
「しかし、どれだけの尊敬を集めていても病には勝てない。年齢的にも仕方ないのだが、王は起き上がれないほど弱ってしまったのさ。そうなると当然、次の王を決めなければならない。しかしそこで王候補の第二王子ジュウザ様が暗殺されてしまった。その手口から暗殺者をスネークと断定・・・・・・・俺はスネークを追ってジュアムに向かっていた」
レインの話を聞いていたノエルはその先を言葉にした。
「でもジュアム行きの飛行船が墜落して色んなことがあって、現在に至るのね」
「かなり話を飛ばしたな」
そう言いながら苦笑するレイン。
しかしノエルは呆れた様な表情で言い返す。
「話が長いのよ。さっき同じ話をしたでしょう。確認なんだから、さくっと話しなさいよ」
「あ、ああ、その通りだな」
ノエルの勢いに押されながらもレインは説明を続けた。
「確認を続ける。状況的にスネークの雇主、第二王子暗殺の主犯はノワールではないかと考えられる。だが、最上級貴族は特権に守られており、取り調べることができない。裁けるのは王のみだ。そのためには確固たる証拠が必要になる」
レインがそう話すと次は倉野が口を挟む。
「それが今分かっている事ですね」
「ああ、そうだ。だが、本当に話すべきはその先・・・・・・分かっていない事さ」
そして目頭よりも胸が熱を持っていた。
レインは自分の胸に手を当ててから強く頷く。
「ああ、オランディが救われたのならばいくらでも払おう。しかし、ノエル・・・・・・グランダー伯爵からの勧誘はいいのか」
「傭兵にとって貴族に雇われるなんて魅力的な話だけど、私にはフリーが向いているわ」
そう言いながら拳を握るノエル。
「そうか、なら良いんだ。じゃあ、状況を確認してもいいか」
納得した表情でレインは言葉を続けた。
「現在、分かっている事と分からない事をまとめると・・・・・・」
そのまま説明を始める。
現在分かっているのはオランディの歴史と国内で起こった事件。
オランディには最上級貴族、と呼ばれる家が五つある。それがルージュ家、アスル家、ヴェルデ家、ノワール家、ブラン家だ。
そのうちの一つが王家となりオランディを収めている。
王家以外の四つの貴族は四大貴族と呼ばれ、各家の中から女性が一人選ばれ王妃となるのがオランディのルールだった。
それにより王は四人の妻を得る。
そして、四人の王妃はそれぞれ子を産み、その中から一人が次の王に選ばれるのだ。
王に選ばれた者の母がどの家出身かによって次の王家が決まる。
選び方は最上級以外の貴族による投票だ。
そして現在の王はヴェルデ家の血を受け継いでいるのだとレインは説明する。
「エヴァンシル・ウィンドミル様・・・・・・現在の王の名前さ。穏やかな性格で自然を愛する王。王は国民を愛し、国民もまた王を愛している。オランディの平和さを象徴する様な王だよ」
その言葉からはエヴァンシル王への尊敬が溢れていた。
そしてそのままレインは話を続ける。
「しかし、どれだけの尊敬を集めていても病には勝てない。年齢的にも仕方ないのだが、王は起き上がれないほど弱ってしまったのさ。そうなると当然、次の王を決めなければならない。しかしそこで王候補の第二王子ジュウザ様が暗殺されてしまった。その手口から暗殺者をスネークと断定・・・・・・・俺はスネークを追ってジュアムに向かっていた」
レインの話を聞いていたノエルはその先を言葉にした。
「でもジュアム行きの飛行船が墜落して色んなことがあって、現在に至るのね」
「かなり話を飛ばしたな」
そう言いながら苦笑するレイン。
しかしノエルは呆れた様な表情で言い返す。
「話が長いのよ。さっき同じ話をしたでしょう。確認なんだから、さくっと話しなさいよ」
「あ、ああ、その通りだな」
ノエルの勢いに押されながらもレインは説明を続けた。
「確認を続ける。状況的にスネークの雇主、第二王子暗殺の主犯はノワールではないかと考えられる。だが、最上級貴族は特権に守られており、取り調べることができない。裁けるのは王のみだ。そのためには確固たる証拠が必要になる」
レインがそう話すと次は倉野が口を挟む。
「それが今分かっている事ですね」
「ああ、そうだ。だが、本当に話すべきはその先・・・・・・分かっていない事さ」
1
お気に入りに追加
2,845
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。