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レインは説明を続けた。
最上級貴族と呼ばれる家は五つ。
好戦的な性格の者が多いルージュ家。ルージュ家はオランディでの武器取引や傭兵事業を取り仕切っている。
冷静で落ち着いた性格の者が多いアスル家。オランディ国内では食品の流通を取り仕切っており、他国との貿易も行っている家だ。
穏やかな性格の者が多いヴェルデ家。自然に関する事業を取り仕切っている。森林の管理から木材の調達まで行い、自然と共に生きるオランディを支えてきた。
最上級貴族は選ばれた者だという思想の強いノワール家。国内に大きな領土を持ち、独自の課税を行うことで贅沢な暮らしを守っている。特別な事業は行っていない。
優しい性格の者が多いブラン家。オランディ国内の医療を取り仕切っている。
そして、現在の王家は穏やかなヴェルデ家だとレインは言った。
「その中だと支持を得やすいのはブラン家かしら」
そうノエルが口を挟むとレインは頷く。
「ああ、そうだよ。ここしばらくはヴェルデ家とブラン家が交互に王家として君臨していた。だが、それに不満を抱いたのがノワール家だ。一番大きな領地を所有しているのだから、自分たちが王家になるべきだと主張したのさ」
「それって、現在のシステムを全否定してない?」
レインの話を聞いたノエルはそう尋ねた。
貴族たちの投票によって決めるという現在のシステムではなく、力のある者が王になるべきだという主張をするノワール家。
それはオランディの歴史すら否定しかねない。
レインは深刻な表情で口を開いた。
「ああ、その通りだよ。だが、どれだけの歴史があろうと国は人さ。人が変わることを望めば歴史なんて関係ない。何が起こったかわかるかい?」
そこまで聞いた倉野は点と点がつながった様に仮説が浮かぶ。
「まさか・・・・・・国民投票に?」
「ああ、その通りだ。貴族によって決めるのではなく国民の声を聞くべきだとノワール家は主張した」
レインがそう頷くとノエルが首を傾げた。
「貴族投票から国民投票に変わっただけよね。何か問題があるの?」
ノエルが投げかけた疑問には倉野が答える。
「国民投票をすると圧倒的にノワール家が有利なんです。国内最大の領地と領民を抱えていますから」
「あ、そうか。でもそれって投票の意味がないわよね」
「そうです。おそらく、ノワール家は元々そのつもりで国民投票に持ち込んだんですよね?」
倉野はレインの顔を覗き込む様に問いかけた。
ゆっくりと頷くレイン。
そんなレインを急かす様にノエルは声をかける。
「で、どうなったのよ」
「ああ、その結果は想像通りノワール家の勝ちだった。だが、ここで大きな誤算があったのさ」
「誤算?」
再び問いかけるノエル。
そのままレインは言葉を続けた。
「ノワール家の血を受け継いでいる王子が病によって倒れた。それによってノワール家の王子は王位継承権を失ってしまったんだ」
王になる者が病を抱えていては、すぐに次の王を決めなければならなくなってしまうかもしれない。
様々なことを考慮した貴族たちの決断だったという。
ではそれが何故、第二王子暗殺に繋がり、レインがスネークを追ってジュアムに向かうことに繋がるのか。
レインは再び口を開いた。
最上級貴族と呼ばれる家は五つ。
好戦的な性格の者が多いルージュ家。ルージュ家はオランディでの武器取引や傭兵事業を取り仕切っている。
冷静で落ち着いた性格の者が多いアスル家。オランディ国内では食品の流通を取り仕切っており、他国との貿易も行っている家だ。
穏やかな性格の者が多いヴェルデ家。自然に関する事業を取り仕切っている。森林の管理から木材の調達まで行い、自然と共に生きるオランディを支えてきた。
最上級貴族は選ばれた者だという思想の強いノワール家。国内に大きな領土を持ち、独自の課税を行うことで贅沢な暮らしを守っている。特別な事業は行っていない。
優しい性格の者が多いブラン家。オランディ国内の医療を取り仕切っている。
そして、現在の王家は穏やかなヴェルデ家だとレインは言った。
「その中だと支持を得やすいのはブラン家かしら」
そうノエルが口を挟むとレインは頷く。
「ああ、そうだよ。ここしばらくはヴェルデ家とブラン家が交互に王家として君臨していた。だが、それに不満を抱いたのがノワール家だ。一番大きな領地を所有しているのだから、自分たちが王家になるべきだと主張したのさ」
「それって、現在のシステムを全否定してない?」
レインの話を聞いたノエルはそう尋ねた。
貴族たちの投票によって決めるという現在のシステムではなく、力のある者が王になるべきだという主張をするノワール家。
それはオランディの歴史すら否定しかねない。
レインは深刻な表情で口を開いた。
「ああ、その通りだよ。だが、どれだけの歴史があろうと国は人さ。人が変わることを望めば歴史なんて関係ない。何が起こったかわかるかい?」
そこまで聞いた倉野は点と点がつながった様に仮説が浮かぶ。
「まさか・・・・・・国民投票に?」
「ああ、その通りだ。貴族によって決めるのではなく国民の声を聞くべきだとノワール家は主張した」
レインがそう頷くとノエルが首を傾げた。
「貴族投票から国民投票に変わっただけよね。何か問題があるの?」
ノエルが投げかけた疑問には倉野が答える。
「国民投票をすると圧倒的にノワール家が有利なんです。国内最大の領地と領民を抱えていますから」
「あ、そうか。でもそれって投票の意味がないわよね」
「そうです。おそらく、ノワール家は元々そのつもりで国民投票に持ち込んだんですよね?」
倉野はレインの顔を覗き込む様に問いかけた。
ゆっくりと頷くレイン。
そんなレインを急かす様にノエルは声をかける。
「で、どうなったのよ」
「ああ、その結果は想像通りノワール家の勝ちだった。だが、ここで大きな誤算があったのさ」
「誤算?」
再び問いかけるノエル。
そのままレインは言葉を続けた。
「ノワール家の血を受け継いでいる王子が病によって倒れた。それによってノワール家の王子は王位継承権を失ってしまったんだ」
王になる者が病を抱えていては、すぐに次の王を決めなければならなくなってしまうかもしれない。
様々なことを考慮した貴族たちの決断だったという。
ではそれが何故、第二王子暗殺に繋がり、レインがスネークを追ってジュアムに向かうことに繋がるのか。
レインは再び口を開いた。
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