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四大貴族と王家
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「オランディの王には四人の妻がいるのさ。王になった時点でオランディの四大貴族と呼ばれる家から女性を一人ずつ娶る。やがて王と四人の女性の間に子どもが生まれ、王が退く時、子どもたちの中から次の王を決めるんだ。次の王となった者の母親の家がオランディの実権を握ることになる」
そこまでレインが話すとノエルが口を挟む。
「ちょっと待って、それじゃあ、結局同じ家がずっと実権を握ることにならないかしら。だって前の王も四大貴族のどこかの生まれってことでしょう?」
ノエルの言葉を聞いた倉野は頷いた。
確かにそうだ、心の中で呟く。
今の王が仮にAという家の血を受け継いでいるとしよう。そうするとオランディはAという家に染まっているはずだ。
その状態で四つの家から次の王を選ぶならばAが選ばれるのではないか。
そうなれば実質Aが王家になる。
しかしレインは首を横に振った。
「いや、それをオランディは禁じているんだ。近しい血同士での婚姻は認められないからな」
「どういうこと?」
レインの言葉を聞いてノエルがそう問いかける。
同じく倉野も首を傾げた。
それじゃあ妻は三人じゃないのか、という疑問を抱いていると察したレインは二人の目の前に四本指を立てる。
「四大貴族と王家さ」
そう言いながら指を五本に増やすレイン。
その指を見た倉野がなるほどと口を開いた。
「つまり、四大貴族は五大貴族ってことですか」
倉野の言葉に対してもノエルは首を傾げる。
「だから、どういうことなの」
「つまり、王位を争う家は五つあるんですよ。そして王になった者は他の四つの家から妻を娶る」
そう倉野が答えるとレインは頷いた。
「その通りさ、クラノ。さらに複雑になるが・・・・・・オランディの最上級貴族は五つの家から成る。そしてそのうちの一つを王家とし、その王が王である限り、オランディの実権は王家が握るんだ。そして次の王は他の四つの家から決める。そのために四つの家から妻を娶るんだよ」
「なるほどねぇ。一度王家になったら続いてなることはできないのね」
ようやく理解したノエルがそう言いながら小さく頷いた。
ノエルの表情を見ながらレインはさらに話を続ける。
「そうすることで権力の独占を防いでいるのさ。さらに他の家を蔑ろにしない様にもしている。王が退けば、他の家が権力を持つことになるからね」
「簡単に言えば五つの家で王家を順番に回しているってことね?」
そう問いかけるノエルに対してレインは首を横に振った。
「順番ではないな。次の王は五つの家以外の貴族によって投票で決められる。投票基準は現在の王が在任している間に最も国に貢献した家」
その話を聞いた倉野はあることに気づく。
「あの、それって結局、二つの家からしか選ばれなくないですか?」
倉野の言いたいはこうだ。
国に貢献したという基準があったとしても、どこを選ぶかは自由。
つまり一度Aという家を選び王家になれば、それと近しいBという家が王家になり、その次にはA、またその次はBと繰り返してしまうのではないかということ。
それを倉野が説明するとレインは驚きながら頷く。
「ああ、その通りだよ。しばらくオランディでは二つの家が交互に王家として君臨していた。だが、その体制を壊そうとする者が現れてしまったのさ」
そこまでレインが話すとノエルが口を挟む。
「ちょっと待って、それじゃあ、結局同じ家がずっと実権を握ることにならないかしら。だって前の王も四大貴族のどこかの生まれってことでしょう?」
ノエルの言葉を聞いた倉野は頷いた。
確かにそうだ、心の中で呟く。
今の王が仮にAという家の血を受け継いでいるとしよう。そうするとオランディはAという家に染まっているはずだ。
その状態で四つの家から次の王を選ぶならばAが選ばれるのではないか。
そうなれば実質Aが王家になる。
しかしレインは首を横に振った。
「いや、それをオランディは禁じているんだ。近しい血同士での婚姻は認められないからな」
「どういうこと?」
レインの言葉を聞いてノエルがそう問いかける。
同じく倉野も首を傾げた。
それじゃあ妻は三人じゃないのか、という疑問を抱いていると察したレインは二人の目の前に四本指を立てる。
「四大貴族と王家さ」
そう言いながら指を五本に増やすレイン。
その指を見た倉野がなるほどと口を開いた。
「つまり、四大貴族は五大貴族ってことですか」
倉野の言葉に対してもノエルは首を傾げる。
「だから、どういうことなの」
「つまり、王位を争う家は五つあるんですよ。そして王になった者は他の四つの家から妻を娶る」
そう倉野が答えるとレインは頷いた。
「その通りさ、クラノ。さらに複雑になるが・・・・・・オランディの最上級貴族は五つの家から成る。そしてそのうちの一つを王家とし、その王が王である限り、オランディの実権は王家が握るんだ。そして次の王は他の四つの家から決める。そのために四つの家から妻を娶るんだよ」
「なるほどねぇ。一度王家になったら続いてなることはできないのね」
ようやく理解したノエルがそう言いながら小さく頷いた。
ノエルの表情を見ながらレインはさらに話を続ける。
「そうすることで権力の独占を防いでいるのさ。さらに他の家を蔑ろにしない様にもしている。王が退けば、他の家が権力を持つことになるからね」
「簡単に言えば五つの家で王家を順番に回しているってことね?」
そう問いかけるノエルに対してレインは首を横に振った。
「順番ではないな。次の王は五つの家以外の貴族によって投票で決められる。投票基準は現在の王が在任している間に最も国に貢献した家」
その話を聞いた倉野はあることに気づく。
「あの、それって結局、二つの家からしか選ばれなくないですか?」
倉野の言いたいはこうだ。
国に貢献したという基準があったとしても、どこを選ぶかは自由。
つまり一度Aという家を選び王家になれば、それと近しいBという家が王家になり、その次にはA、またその次はBと繰り返してしまうのではないかということ。
それを倉野が説明するとレインは驚きながら頷く。
「ああ、その通りだよ。しばらくオランディでは二つの家が交互に王家として君臨していた。だが、その体制を壊そうとする者が現れてしまったのさ」
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