異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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傭兵の聞き耳

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 そんな倉野にレインは諦める様な微笑みを向けた。

「ふっ、クラノがそう言うかもしれないと思って何も話さなかったんだがな。今回の戦いよりも大変になるかもしれないが俺に命を預けてくれるかい?」
「ちゃんと利子つけて返してくださいね」

 そう言って倉野は微笑み返す。
 すると倉野の背後でゆっくりと扉が開く音がした。

「あら、何を男同士で微笑みあってるのよ。あなた達そういうこと?」

 扉から出てきたノエルが目を細めながらそう言い放つ。
 倉野は慌てながら首を横に振った。

「ち、違いますよ。というかノエルさんこそ、どうしたんですか」
「部屋の前でそんな話されてちゃ嫌でも聞こえてくるわよ」

 呆れた表情を浮かべてノエルはそう話す。
 言われたレインは自分の首筋をさすりながら苦笑した。

「全く、音に敏感な人たちだな」
「私、傭兵なもので」

 ノエルが笑顔でそう言い返す。
 そのままノエルは言葉を続けた。

「で、どういう話なの。レインがジュアムに向かっていたのには理由があって、スネークって奴が関わってる。そして、それは大きな問題に発展しかねない・・・・・・ってことくらいしか分からなかったんだけど」

 そうノエルに問いかけられた倉野とレインは一瞬黙ったが、ノエルは答えを聞かなければ諦めそうにない。
 諦めたレインはため息を吐いてから自分がいた部屋の扉を開いた。

「廊下でする話じゃないな。部屋で話そうか」
「あ、はい」

 倉野はすぐに返事をしてレインの部屋に入る。
 ノエルは少し嬉しそうに微笑んでからレインの部屋に向かった。

「女性を部屋に誘うときはもっとロマンチックに誘いなさいよ」

 そう言いながら部屋に入るノエルに苦笑いを浮かべるレイン。
 二人が入った後、扉をしめたレインは倉野とノエルを椅子に座らせ、自分はベッドに座った。
 深呼吸をしてから話を切り出すレイン。

「さて、じゃあ、順番に話をしようか。クラノはどこまで知っているんだい」
「えっと、僕が確認したのはレインさんがジュアムに向かっていた理由だけです」

 そう言ってから倉野は自分が見たレインの事情について話した。
 レインがイルシュナからオランディではなく南の島ジュアムに向かっていた理由。
 オランディの第二王子ジュウザ・ウィンドミルが殺害され、それがスネークと呼ばれる暗殺者によるものだということ。そしてスネークがジュアムに逃亡したという情報が入り、レインはジュアムに向かっていた。
 それを聞いたノエルは不思議そうな顔をする。

「次の王を決めようって時に第二王子が殺されたって犯人は同じ王族の誰かじゃないの。実行犯を追うよりも主犯を探した方がよくない?」
「もちろんそうだ。少し複雑な話になるが・・・・・・いいか」

 ノエルの質問に対してレインは真剣な表情でそう尋ねた。
 倉野とノエルが頷くとレインは深呼吸してから、ゆっくりと口を開いた。
 
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