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連載
騎士レイン・ネヴァーの事情
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先ほどのレインの話。
オランディ国内では王が体調を崩し、後継者争いで大変だという状況下にあってレイチェル救出に協力してくれたレイン。
それは彼が言った通り、飛行船や無人島での恩返しなのだろうがそれ以前の話である。
何故、彼は飛行船に乗っていたのだろうか。
倉野は鞄から久しぶりに地図を取り出した。鞄にはずっとツクネが入っているため、地図にはツクネの毛が付着している。
地図上で倉野はレインの故郷、オランディを確認した。
「えっと、オランディ・・・・・・あった、ここか。地図上では北西・・・・・・どちらかというと西の国と言えるのかな。そして飛行船が向かっていたのはジュアム、南の島だ。飛行船に乗ったのがイルシュナ・・・・・・どう考えても逆方向だ」
国々を指でなぞりながらそう呟く倉野。
倉野が確認しているのはレインの行動だった。
オランディ国内で後継者争いが起こっている状況にも関わらずレインは自国テャ逆向きの飛行船に乗っていたである。
それも南の島、観光地であるジュアムに向かう飛行船だ。
レインの性格を考えると何か理由があるに違いない。そう思った倉野は少し悩んでから謝罪の様に手を合わせた。
「すみませんレインさん。少しだけ事情を覗かせてもらいます」
元々、この世界の事情に巻き込まれないように、と考えていた倉野だったが、自分の目的のために命をかけてくれたレインが何かを抱えているのなら、力になりたいと思っての行動である。
倉野はスキル説明を発動した。
「スキル説明発動。対象はレインさんがジュアムに向かっていた理由」
そう唱えると、ベッドに座っている倉野の前に画面が表示される。
目の前の文字を読み上げる倉野。
「えっと、レイン・ネヴァーがジュアムに向かっていた理由。・・・・・・オランディの第二王子であるジュウザ・ウィンドミルが殺害されるという事件が起きた。レインはジュウザの護衛を努めていたが、その護衛を潜り抜けた暗殺者がジュウザの部屋で殺害を行ったのである。その殺害方法が毒殺であったことと厳重な警備を潜り抜ける能力を持っていることから、その暗殺者を断定した。暗殺者は忍び込み毒殺する手法からスネークと呼ばれている。スネークがジュアムに逃亡したという情報を聞きつけてレインはジュアムに向かっていた・・・・・・・なるほど」
倉野は自分の顎に触れながら状況を理解した。
レインは自分が警護していたオランディ第二王子ジュウザ・ウィンドミルが暗殺者に殺害され、暗殺者スネークを追ってジュアムに向かっていたのである。
「でもこれって・・・・・・そういうことだよなぁ」
そう呟きながら倉野は表情を曇らせた。
王が体調を崩し、後継者を決めなければならない状況での第二王子暗殺。
権力争いというレインの言葉。
つまり、第二王子を殺害した暗殺者は権力を狙う身内に依頼されている可能性が極めて高い。
「また、身内同士の争いか」
心の奥から流れ出てくる悲しみを抑えながら倉野はそう呟いた。
グランダー家でも権力争いが起き、伯爵やレイチェルが命を狙われるという事件を経験している。他の場所でも倉野は権力を求めて争いあったり、自分の欲望のために他人を傷つける者たちを見てきた。
何のために権力を求めるのか。
自由に旅をしたい倉野にはわからない。
だが、一つだけわかった事がある。
レインは命がけで立ち向かわなければならない事情を抱えているということだ。
一度深呼吸をしてから倉野はベッドから立ち上がる。
オランディ国内では王が体調を崩し、後継者争いで大変だという状況下にあってレイチェル救出に協力してくれたレイン。
それは彼が言った通り、飛行船や無人島での恩返しなのだろうがそれ以前の話である。
何故、彼は飛行船に乗っていたのだろうか。
倉野は鞄から久しぶりに地図を取り出した。鞄にはずっとツクネが入っているため、地図にはツクネの毛が付着している。
地図上で倉野はレインの故郷、オランディを確認した。
「えっと、オランディ・・・・・・あった、ここか。地図上では北西・・・・・・どちらかというと西の国と言えるのかな。そして飛行船が向かっていたのはジュアム、南の島だ。飛行船に乗ったのがイルシュナ・・・・・・どう考えても逆方向だ」
国々を指でなぞりながらそう呟く倉野。
倉野が確認しているのはレインの行動だった。
オランディ国内で後継者争いが起こっている状況にも関わらずレインは自国テャ逆向きの飛行船に乗っていたである。
それも南の島、観光地であるジュアムに向かう飛行船だ。
レインの性格を考えると何か理由があるに違いない。そう思った倉野は少し悩んでから謝罪の様に手を合わせた。
「すみませんレインさん。少しだけ事情を覗かせてもらいます」
元々、この世界の事情に巻き込まれないように、と考えていた倉野だったが、自分の目的のために命をかけてくれたレインが何かを抱えているのなら、力になりたいと思っての行動である。
倉野はスキル説明を発動した。
「スキル説明発動。対象はレインさんがジュアムに向かっていた理由」
そう唱えると、ベッドに座っている倉野の前に画面が表示される。
目の前の文字を読み上げる倉野。
「えっと、レイン・ネヴァーがジュアムに向かっていた理由。・・・・・・オランディの第二王子であるジュウザ・ウィンドミルが殺害されるという事件が起きた。レインはジュウザの護衛を努めていたが、その護衛を潜り抜けた暗殺者がジュウザの部屋で殺害を行ったのである。その殺害方法が毒殺であったことと厳重な警備を潜り抜ける能力を持っていることから、その暗殺者を断定した。暗殺者は忍び込み毒殺する手法からスネークと呼ばれている。スネークがジュアムに逃亡したという情報を聞きつけてレインはジュアムに向かっていた・・・・・・・なるほど」
倉野は自分の顎に触れながら状況を理解した。
レインは自分が警護していたオランディ第二王子ジュウザ・ウィンドミルが暗殺者に殺害され、暗殺者スネークを追ってジュアムに向かっていたのである。
「でもこれって・・・・・・そういうことだよなぁ」
そう呟きながら倉野は表情を曇らせた。
王が体調を崩し、後継者を決めなければならない状況での第二王子暗殺。
権力争いというレインの言葉。
つまり、第二王子を殺害した暗殺者は権力を狙う身内に依頼されている可能性が極めて高い。
「また、身内同士の争いか」
心の奥から流れ出てくる悲しみを抑えながら倉野はそう呟いた。
グランダー家でも権力争いが起き、伯爵やレイチェルが命を狙われるという事件を経験している。他の場所でも倉野は権力を求めて争いあったり、自分の欲望のために他人を傷つける者たちを見てきた。
何のために権力を求めるのか。
自由に旅をしたい倉野にはわからない。
だが、一つだけわかった事がある。
レインは命がけで立ち向かわなければならない事情を抱えているということだ。
一度深呼吸をしてから倉野はベッドから立ち上がる。
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