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裏側の戦い
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倉野の言葉を聞いたレインは頷き、倉野たちがルチェルトラ邸に侵入している間に何があったのかを話す。
「最初に動いたのはグランダー伯爵だったそうだよ」
呪術師に依頼を出しているのがリマスだと知ったグランダー伯爵は倉野たちを見送った後、すぐにルチェルトラ邸に向かおうとしたらしい。
伯爵が準備を整えている最中に帰ってきたシラムとノエル。
帰ってきた二人は伯爵の行動を全力で止めたが、意思は変わらず伯爵は屋敷を出た。
護衛を請け負った以上、伯爵を一人で行かせるわけにはいかないとノエルは跡を追う。
シラムはレイチェルの側を離れるわけにはいかないと屋敷に残ったが、すぐに帝都の衛兵に連絡し、グランダー伯爵を護るように依頼した。
さらには話を聞きつけたハウンドも伯爵の後を追う。
その後、ルチェルトラ邸の近くまで辿り着いた伯爵の前にヴェンデッタメンバー数人が立ちはだかる。
護衛としてついてきたノエルがヴェンデッタメンバーを相手にしている内に、伯爵はルチェルトラ邸に入っていった。
その後すぐに倉野がリマスたちと対峙するグランダー伯爵を発見したのである。
「これが、俺たちが知らなかった話だよ」
そう言いながらレインは腕を組んだ。
なるほど、と頷く倉野。
それによりルチェルトラ邸の外にいたヴェンデッタメンバーたちが屋敷の中に入ってくることはなかったのである。
「ノエルさんに感謝ですね。そういえば、ノエルさんは?」
倉野がそう問いかけるとレインは微笑みながら答えた。
「ノエルなら、まだ帝都に滞在しているよ。グランダー伯爵が彼女を正式な護衛として雇いたいとも仰っている」
「そっか、ノエルさんはフリーの傭兵ですもんね」
「ああ。だが、まだ悩んでいるようだったよ。ありがたい話だけどフリーでいるのが性に合っているんじゃないかってさ」
そう話すレインは少し寂しそうに見える。
一呼吸置いてから倉野はその後、何があったのかを問いかけた。
するとレインは自分がカタラーナを連れて外に出てからのことを話し始める。
「俺がカタラーナを連れて外に出ると、外ではノエル、ハウンドがヴェンデッタメンバーと戦っていてね。その周りには帝都の衛兵たちが居た。俺はカタラーナを守ってくれるように衛兵に託してから、ヴェンデッタメンバーたちに剣を向けたのさ」
そして、その後レインはノエルやハウンドたちを分かれて戦い、周囲のヴェンデッタメンバーが倒れた後にルチェルトラ邸に戻った。
それよりも早くノエルはルチェルトラ邸に乗り込んでいたのである。
リマスとの戦いを終えた後、グランダー邸に向かった倉野たち。
その前に現れた三百を超えるヴェンデッタの残党。
すぐさまスキル神速を発動した倉野が残党たちを倒し、疲労と魔力酔いによりその場で気を失った。
その後すぐにハウンドや衛兵、意識を取り戻したレイチェルに指示されたシラムが合流し、後処理が始まったのだという。
「そうだ、その後そうなったんですか」
話を聞いていた倉野が問いかけるとレインは順を追って説明する。
「すぐにルチェルトラ家は帝都の衛兵に包囲され、リマスたちは捕らえられたよ。道端で倒れているヴェンデッタたちも一人残さず投獄されている」
さらには、ヴェンデッタがアジトにしている廃村に帝国軍が派遣され、ヴェンデッタはすぐに壊滅したのだと話した。
ほとんどのメンバーが倒されており、リーダーであるレックレスすら氷漬けにされている為、抵抗できなかったという。
「だが、ある人物だけは逃げ出したらしい」
レインがそう付け足すと倉野は首を傾げた。
「ある人物って・・・・・・まさか」
「ああ、バジル。バジル・インフェルノだけは身柄を確保できなかったそうだよ」
そう答えるレイン。
バジルはスキル無効を所持している男だ。
スキルに依存して戦う倉野にとって天敵ともいえるバジル。
そんな男が捕まっていないという話だった。
少し不安そうな表情を浮かべる倉野の肩をレインが叩く。
「一人逃してしまったが、組織としては壊滅している。気にすることはないさ。そんなことより、ジュアルたちがその後どうなったのか、気にならないかい?」
「あ、はい。どうなったんですか?」
「ジュアルはグランダー伯爵の温情により、罪には問われないことになったのさ」
そう話すレイン。
その話を聞いた倉野は驚きの表情を浮かべた。
「最初に動いたのはグランダー伯爵だったそうだよ」
呪術師に依頼を出しているのがリマスだと知ったグランダー伯爵は倉野たちを見送った後、すぐにルチェルトラ邸に向かおうとしたらしい。
伯爵が準備を整えている最中に帰ってきたシラムとノエル。
帰ってきた二人は伯爵の行動を全力で止めたが、意思は変わらず伯爵は屋敷を出た。
護衛を請け負った以上、伯爵を一人で行かせるわけにはいかないとノエルは跡を追う。
シラムはレイチェルの側を離れるわけにはいかないと屋敷に残ったが、すぐに帝都の衛兵に連絡し、グランダー伯爵を護るように依頼した。
さらには話を聞きつけたハウンドも伯爵の後を追う。
その後、ルチェルトラ邸の近くまで辿り着いた伯爵の前にヴェンデッタメンバー数人が立ちはだかる。
護衛としてついてきたノエルがヴェンデッタメンバーを相手にしている内に、伯爵はルチェルトラ邸に入っていった。
その後すぐに倉野がリマスたちと対峙するグランダー伯爵を発見したのである。
「これが、俺たちが知らなかった話だよ」
そう言いながらレインは腕を組んだ。
なるほど、と頷く倉野。
それによりルチェルトラ邸の外にいたヴェンデッタメンバーたちが屋敷の中に入ってくることはなかったのである。
「ノエルさんに感謝ですね。そういえば、ノエルさんは?」
倉野がそう問いかけるとレインは微笑みながら答えた。
「ノエルなら、まだ帝都に滞在しているよ。グランダー伯爵が彼女を正式な護衛として雇いたいとも仰っている」
「そっか、ノエルさんはフリーの傭兵ですもんね」
「ああ。だが、まだ悩んでいるようだったよ。ありがたい話だけどフリーでいるのが性に合っているんじゃないかってさ」
そう話すレインは少し寂しそうに見える。
一呼吸置いてから倉野はその後、何があったのかを問いかけた。
するとレインは自分がカタラーナを連れて外に出てからのことを話し始める。
「俺がカタラーナを連れて外に出ると、外ではノエル、ハウンドがヴェンデッタメンバーと戦っていてね。その周りには帝都の衛兵たちが居た。俺はカタラーナを守ってくれるように衛兵に託してから、ヴェンデッタメンバーたちに剣を向けたのさ」
そして、その後レインはノエルやハウンドたちを分かれて戦い、周囲のヴェンデッタメンバーが倒れた後にルチェルトラ邸に戻った。
それよりも早くノエルはルチェルトラ邸に乗り込んでいたのである。
リマスとの戦いを終えた後、グランダー邸に向かった倉野たち。
その前に現れた三百を超えるヴェンデッタの残党。
すぐさまスキル神速を発動した倉野が残党たちを倒し、疲労と魔力酔いによりその場で気を失った。
その後すぐにハウンドや衛兵、意識を取り戻したレイチェルに指示されたシラムが合流し、後処理が始まったのだという。
「そうだ、その後そうなったんですか」
話を聞いていた倉野が問いかけるとレインは順を追って説明する。
「すぐにルチェルトラ家は帝都の衛兵に包囲され、リマスたちは捕らえられたよ。道端で倒れているヴェンデッタたちも一人残さず投獄されている」
さらには、ヴェンデッタがアジトにしている廃村に帝国軍が派遣され、ヴェンデッタはすぐに壊滅したのだと話した。
ほとんどのメンバーが倒されており、リーダーであるレックレスすら氷漬けにされている為、抵抗できなかったという。
「だが、ある人物だけは逃げ出したらしい」
レインがそう付け足すと倉野は首を傾げた。
「ある人物って・・・・・・まさか」
「ああ、バジル。バジル・インフェルノだけは身柄を確保できなかったそうだよ」
そう答えるレイン。
バジルはスキル無効を所持している男だ。
スキルに依存して戦う倉野にとって天敵ともいえるバジル。
そんな男が捕まっていないという話だった。
少し不安そうな表情を浮かべる倉野の肩をレインが叩く。
「一人逃してしまったが、組織としては壊滅している。気にすることはないさ。そんなことより、ジュアルたちがその後どうなったのか、気にならないかい?」
「あ、はい。どうなったんですか?」
「ジュアルはグランダー伯爵の温情により、罪には問われないことになったのさ」
そう話すレイン。
その話を聞いた倉野は驚きの表情を浮かべた。
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