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事件の始まり
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「本当に良かったです」
倉野がそう言った瞬間、二人の間に割り入るように顔が近づく。
「起きられましたか」
いきなり近づいた顔に驚き、仰反る倉野。
「うわっ、し、シラムさん」
「はい。グランダー伯爵家執事シラムでございます。驚かれた老いぼれでございます」
倉野とレイチェルの間に入ったシラムは冷静にそう話した。
そんなシラムに対してレイチェルは恥ずかしそうに話しかける。
「ど、どうしたのですか」
「いえ、お屋敷の廊下で寄り添う夫婦のように抱き合うお二人が見えましたので」
「そ、そのようなことはありませんっ。クラノ様が目覚められたのでお話せいただけです」
「ほう。それにしては距離が近く見えましたな。この老いぼれでしたら、耳が遠いのであれくらいの距離が望ましいですがな。ほっほっほ」
そう言いながらシラムは嬉しそうに笑った。
シラムの登場により落ち着いた倉野たちは部屋に戻る。
各々、ベッドや椅子に座りこれまでの経緯を話した。
「始まりはレイチェル様が体調を崩したことからではなく、もっと前からだったようですな」
そう語るシラム。
倉野は頷き、その前の事件について説明した。
一連の事件が始まったのはリマス・ルチェルトラがレイチェルに恋心を抱いた時である。
何としてでもレイチェルを自分のものにしたいと思ったリマスはレイチェルに求婚した。
だが、レイチェルはその求婚を正式に断る。
そんなレイチェルに逆恨みしたリマスはとある計画を実行した。
リマスが繋がりを持っていた犯罪者集団ヴェンデッタに依頼をしたのである。
依頼内容は、レイチェルに呪いをかけること。
呪いは遥か昔に消えた魔法で、じわじわと病のように相手の命を奪うものだった。
ヴェンデッタにはジュアルという呪術師の生き残りがおり、そのジュアルによって呪われたレイチェルは倒れ、ゆっくりと死に向かう。
リマスの作戦はレイチェルを殺すことではなかった。原因不明の病だと診断されたレイチェルならば手に入れられるかもしれないというものである。
仮に断られた場合、その病の治療を条件に結婚を求めるつもりだった。
「つまり、全ての元凶はリマスの歪んだ恋心・・・・・・いや所有欲だった」
倉野がそう話すとレイチェルは表情を曇らせる。
「何度聞いてもおぞましいです・・・・・・」
「レイチェル嬢の言う通りだ。男として・・・・・・いや、人として許されない」
そうレインが続けた。
さらに倉野は説明を始める。
「何よりも先にレイチェルさんの呪いを解かなければならない、と判断した僕とレインさんはヴェンデッタのアジトに向かいました」
アジトにいたヴェンデッタたちと戦い、無力化した倉野たちは呪術師ジュアルと出会う。
呪いを解くように話しているうちにジュアルの事情が朧げに見えてきた。
スキル説明により調べると戦うべき相手がジュアルではないとわかる。
ジュアルは唯一の肉親、妹のカタラーナをリマスによって人質にとられ、無理やり従わされていたのだった。
それを知った倉野とレインはすぐにリマスのいるルチェルトラ邸を目指す。
帝都に戻った倉野たちはツクネの風魔法でルチェルトラ邸まで飛び、侵入した。
スキル隠密でカタラーナのいる地下牢に侵入した倉野たちは衝撃の事実を知る。
ジュアルを従わせるためにカタラーナを人質にしていたリマスだが、カタラーナにも従わなければリマスを殺すと脅していたのだ。
さらに暗闇で栄養も不足していたカタラーナは視力を失っていたのである。
倉野たちは怒り、リマスを倒すためにカタラーナを外に連れ出そうとした。
その途中でリマスとその護衛たちに攻撃されているグランダー伯爵を見つける。
倉野はレインとカタラーナを外に出し、一人で立ち向かった。
スキル神速により護衛たちを倒した倉野。
「僕がリマスたちと戦っている間、レインさんやノエルさんも動いてくれたんですよね」
倉野は説明の途中でそう付け足した。
倉野がそう言った瞬間、二人の間に割り入るように顔が近づく。
「起きられましたか」
いきなり近づいた顔に驚き、仰反る倉野。
「うわっ、し、シラムさん」
「はい。グランダー伯爵家執事シラムでございます。驚かれた老いぼれでございます」
倉野とレイチェルの間に入ったシラムは冷静にそう話した。
そんなシラムに対してレイチェルは恥ずかしそうに話しかける。
「ど、どうしたのですか」
「いえ、お屋敷の廊下で寄り添う夫婦のように抱き合うお二人が見えましたので」
「そ、そのようなことはありませんっ。クラノ様が目覚められたのでお話せいただけです」
「ほう。それにしては距離が近く見えましたな。この老いぼれでしたら、耳が遠いのであれくらいの距離が望ましいですがな。ほっほっほ」
そう言いながらシラムは嬉しそうに笑った。
シラムの登場により落ち着いた倉野たちは部屋に戻る。
各々、ベッドや椅子に座りこれまでの経緯を話した。
「始まりはレイチェル様が体調を崩したことからではなく、もっと前からだったようですな」
そう語るシラム。
倉野は頷き、その前の事件について説明した。
一連の事件が始まったのはリマス・ルチェルトラがレイチェルに恋心を抱いた時である。
何としてでもレイチェルを自分のものにしたいと思ったリマスはレイチェルに求婚した。
だが、レイチェルはその求婚を正式に断る。
そんなレイチェルに逆恨みしたリマスはとある計画を実行した。
リマスが繋がりを持っていた犯罪者集団ヴェンデッタに依頼をしたのである。
依頼内容は、レイチェルに呪いをかけること。
呪いは遥か昔に消えた魔法で、じわじわと病のように相手の命を奪うものだった。
ヴェンデッタにはジュアルという呪術師の生き残りがおり、そのジュアルによって呪われたレイチェルは倒れ、ゆっくりと死に向かう。
リマスの作戦はレイチェルを殺すことではなかった。原因不明の病だと診断されたレイチェルならば手に入れられるかもしれないというものである。
仮に断られた場合、その病の治療を条件に結婚を求めるつもりだった。
「つまり、全ての元凶はリマスの歪んだ恋心・・・・・・いや所有欲だった」
倉野がそう話すとレイチェルは表情を曇らせる。
「何度聞いてもおぞましいです・・・・・・」
「レイチェル嬢の言う通りだ。男として・・・・・・いや、人として許されない」
そうレインが続けた。
さらに倉野は説明を始める。
「何よりも先にレイチェルさんの呪いを解かなければならない、と判断した僕とレインさんはヴェンデッタのアジトに向かいました」
アジトにいたヴェンデッタたちと戦い、無力化した倉野たちは呪術師ジュアルと出会う。
呪いを解くように話しているうちにジュアルの事情が朧げに見えてきた。
スキル説明により調べると戦うべき相手がジュアルではないとわかる。
ジュアルは唯一の肉親、妹のカタラーナをリマスによって人質にとられ、無理やり従わされていたのだった。
それを知った倉野とレインはすぐにリマスのいるルチェルトラ邸を目指す。
帝都に戻った倉野たちはツクネの風魔法でルチェルトラ邸まで飛び、侵入した。
スキル隠密でカタラーナのいる地下牢に侵入した倉野たちは衝撃の事実を知る。
ジュアルを従わせるためにカタラーナを人質にしていたリマスだが、カタラーナにも従わなければリマスを殺すと脅していたのだ。
さらに暗闇で栄養も不足していたカタラーナは視力を失っていたのである。
倉野たちは怒り、リマスを倒すためにカタラーナを外に連れ出そうとした。
その途中でリマスとその護衛たちに攻撃されているグランダー伯爵を見つける。
倉野はレインとカタラーナを外に出し、一人で立ち向かった。
スキル神速により護衛たちを倒した倉野。
「僕がリマスたちと戦っている間、レインさんやノエルさんも動いてくれたんですよね」
倉野は説明の途中でそう付け足した。
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