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ジュアルの真実

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「ジュアルがレイチェルさんに呪いをかけたのはリマス・ルチェルトラからの依頼が理由である」

 それを聞いたレインはジュアルを睨みつけた。

「やはり貴族からの命令か。見返りは金かい?」
「違うんですレインさん。これには続きがあります」

 倉野がそう続けるとレインは表情を緩め、聞き返す。

「続き?」
「ええ、ジュアルがリマスに従うのは妹がリマスの手の中にいるからなんです」

 倉野の言葉を聞いたジュアルは奥歯を噛みしめるように表情を歪めた。
 その表情から倉野の話が本当であると読み取れる。
 レインはゆっくりと剣を下げ、倉野に問いかけた。

「どういうことなんだい?」
「ジュアルにとって命よりも大切な妹、カタラーナ。そこに目をつけたリマスがカタラーナさんを捕らえているんです。元々リマスとヴェンデッタは協力関係にあったようですが、ジュアルはヴェンデッタメンバーではありませんでした。妹を人質にされたジュアルはリマスに従う形でヴェンデッタのメンバーになったようです」
「つまり、ジュアルは利用されていた・・・・・・ということかい?」

 そうレインが問いかけると倉野は真剣な眼差しで頷く。

「今の話は本当かい?」

 レインは確認を取るようにジュアルに問いかけた。

「・・・・・・何故わかるんだ」

 ジュアルはそう答える。その言葉から全てが本当だと察したレイン。
 全ての元凶はリマス・ルチェルトラという男の歪んだ所有欲だったのだ。
 少し考えてから倉野はジュアルに問いかける。

「ジュアル・・・・・・呪いをリマスの方に向け、妹を救おうと思わなかったのか?」

 そんな倉野の問いかけにジュアルは苦笑した。

「はっ・・・・・・相手は貴族だ。リマスが不審死すれば・・・・・・いや、呪いと思われる症状を確認した時点でカタラーナの命はない。何度も考えたさ。リマス周辺の人間全てを殺してしまえばいいんじゃないかってな。だが、どれだけの人間があの男の周りにいるかわからない。ヴェンデッタのメンバーもいる・・・・・・俺にできることはリマスの望みを叶え、カタラーナを守ることだけだ」

 ジュアルの言葉を聞いた倉野は再び問いかける。

「もう一つ聞きたい。妹を、カタラーナさんを救い出せば呪いは解いてくれるのか」
「な・・・・・・相手は貴族だぞ。いくらグランダーの後ろ盾があっても貴族を相手にするのは命を捨てるのと変わらない。リマスがヴェンデッタと繋がっている証拠なんてないんだ。勝手な疑いをかけて貴族に牙を向いた大罪人として処理されるぞ」

 そう答えるジュアル。
 しかし、倉野の中で答えは決まっていた。

「関係ない。ジュアルだって妹のために全てを捨ててヴェンデッタの中にいたはずだ。必ず妹を・・・・・・カタラーナさんを救う。だからレイチェルさんの呪いを解け」

 倉野の言葉を聞いたジュアルは一瞬停止してから、慌てて言葉を吐き出す。

「・・・・・・む、無理に決まってるだろう!確かにレックレスや俺たちを制したお前は強い。だが、相手は貴族だ。敵は国に守られた特権階級だぞ」
「だから、そんなの関係ないんですよ。聞きたいのは一つ、呪いを解くのか解かないのか」

 そんな倉野の言葉を補足するようにレインが口を開いた。

「止めても無駄だと思うよ。クラノがレイチェル嬢を諦めることはない。そしてジュアル、お前が妹を諦めることもない。レイチェル嬢を救うにはお前の妹を救うしかない」
「そういうことです」

 倉野はそう頷いてから、小さな声でイスベルグに話しかける。

「イスベルグさん」
「なんだ?」
「全身凍結したレックレスたちは死んでしまったんですか?」
「敵の生死を気にしてどうする・・・・・・安心しろ。この魔法の本質は時間停止だ。氷の中にいる間、全ての機能は停止しているが魔法を解除すれば元通り機能し始める」

 イスベルグは言いながらため息をついた。
 相手の命を奪いたくないという倉野の思いもあったが、一番はリマスとヴェンデッタの繋がりを証明するためにレックレスたちの生死を確認したのである。
 一安心した倉野は再びジュアルに言葉をかけた。

「約束してほしい。カタラーナさんを救ったら、レイチェルさんにかけた呪いを解くと」
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