72 / 729
連載
ジュアルの真実
しおりを挟む
「ジュアルがレイチェルさんに呪いをかけたのはリマス・ルチェルトラからの依頼が理由である」
それを聞いたレインはジュアルを睨みつけた。
「やはり貴族からの命令か。見返りは金かい?」
「違うんですレインさん。これには続きがあります」
倉野がそう続けるとレインは表情を緩め、聞き返す。
「続き?」
「ええ、ジュアルがリマスに従うのは妹がリマスの手の中にいるからなんです」
倉野の言葉を聞いたジュアルは奥歯を噛みしめるように表情を歪めた。
その表情から倉野の話が本当であると読み取れる。
レインはゆっくりと剣を下げ、倉野に問いかけた。
「どういうことなんだい?」
「ジュアルにとって命よりも大切な妹、カタラーナ。そこに目をつけたリマスがカタラーナさんを捕らえているんです。元々リマスとヴェンデッタは協力関係にあったようですが、ジュアルはヴェンデッタメンバーではありませんでした。妹を人質にされたジュアルはリマスに従う形でヴェンデッタのメンバーになったようです」
「つまり、ジュアルは利用されていた・・・・・・ということかい?」
そうレインが問いかけると倉野は真剣な眼差しで頷く。
「今の話は本当かい?」
レインは確認を取るようにジュアルに問いかけた。
「・・・・・・何故わかるんだ」
ジュアルはそう答える。その言葉から全てが本当だと察したレイン。
全ての元凶はリマス・ルチェルトラという男の歪んだ所有欲だったのだ。
少し考えてから倉野はジュアルに問いかける。
「ジュアル・・・・・・呪いをリマスの方に向け、妹を救おうと思わなかったのか?」
そんな倉野の問いかけにジュアルは苦笑した。
「はっ・・・・・・相手は貴族だ。リマスが不審死すれば・・・・・・いや、呪いと思われる症状を確認した時点でカタラーナの命はない。何度も考えたさ。リマス周辺の人間全てを殺してしまえばいいんじゃないかってな。だが、どれだけの人間があの男の周りにいるかわからない。ヴェンデッタのメンバーもいる・・・・・・俺にできることはリマスの望みを叶え、カタラーナを守ることだけだ」
ジュアルの言葉を聞いた倉野は再び問いかける。
「もう一つ聞きたい。妹を、カタラーナさんを救い出せば呪いは解いてくれるのか」
「な・・・・・・相手は貴族だぞ。いくらグランダーの後ろ盾があっても貴族を相手にするのは命を捨てるのと変わらない。リマスがヴェンデッタと繋がっている証拠なんてないんだ。勝手な疑いをかけて貴族に牙を向いた大罪人として処理されるぞ」
そう答えるジュアル。
しかし、倉野の中で答えは決まっていた。
「関係ない。ジュアルだって妹のために全てを捨ててヴェンデッタの中にいたはずだ。必ず妹を・・・・・・カタラーナさんを救う。だからレイチェルさんの呪いを解け」
倉野の言葉を聞いたジュアルは一瞬停止してから、慌てて言葉を吐き出す。
「・・・・・・む、無理に決まってるだろう!確かにレックレスや俺たちを制したお前は強い。だが、相手は貴族だ。敵は国に守られた特権階級だぞ」
「だから、そんなの関係ないんですよ。聞きたいのは一つ、呪いを解くのか解かないのか」
そんな倉野の言葉を補足するようにレインが口を開いた。
「止めても無駄だと思うよ。クラノがレイチェル嬢を諦めることはない。そしてジュアル、お前が妹を諦めることもない。レイチェル嬢を救うにはお前の妹を救うしかない」
「そういうことです」
倉野はそう頷いてから、小さな声でイスベルグに話しかける。
「イスベルグさん」
「なんだ?」
「全身凍結したレックレスたちは死んでしまったんですか?」
「敵の生死を気にしてどうする・・・・・・安心しろ。この魔法の本質は時間停止だ。氷の中にいる間、全ての機能は停止しているが魔法を解除すれば元通り機能し始める」
イスベルグは言いながらため息をついた。
相手の命を奪いたくないという倉野の思いもあったが、一番はリマスとヴェンデッタの繋がりを証明するためにレックレスたちの生死を確認したのである。
一安心した倉野は再びジュアルに言葉をかけた。
「約束してほしい。カタラーナさんを救ったら、レイチェルさんにかけた呪いを解くと」
それを聞いたレインはジュアルを睨みつけた。
「やはり貴族からの命令か。見返りは金かい?」
「違うんですレインさん。これには続きがあります」
倉野がそう続けるとレインは表情を緩め、聞き返す。
「続き?」
「ええ、ジュアルがリマスに従うのは妹がリマスの手の中にいるからなんです」
倉野の言葉を聞いたジュアルは奥歯を噛みしめるように表情を歪めた。
その表情から倉野の話が本当であると読み取れる。
レインはゆっくりと剣を下げ、倉野に問いかけた。
「どういうことなんだい?」
「ジュアルにとって命よりも大切な妹、カタラーナ。そこに目をつけたリマスがカタラーナさんを捕らえているんです。元々リマスとヴェンデッタは協力関係にあったようですが、ジュアルはヴェンデッタメンバーではありませんでした。妹を人質にされたジュアルはリマスに従う形でヴェンデッタのメンバーになったようです」
「つまり、ジュアルは利用されていた・・・・・・ということかい?」
そうレインが問いかけると倉野は真剣な眼差しで頷く。
「今の話は本当かい?」
レインは確認を取るようにジュアルに問いかけた。
「・・・・・・何故わかるんだ」
ジュアルはそう答える。その言葉から全てが本当だと察したレイン。
全ての元凶はリマス・ルチェルトラという男の歪んだ所有欲だったのだ。
少し考えてから倉野はジュアルに問いかける。
「ジュアル・・・・・・呪いをリマスの方に向け、妹を救おうと思わなかったのか?」
そんな倉野の問いかけにジュアルは苦笑した。
「はっ・・・・・・相手は貴族だ。リマスが不審死すれば・・・・・・いや、呪いと思われる症状を確認した時点でカタラーナの命はない。何度も考えたさ。リマス周辺の人間全てを殺してしまえばいいんじゃないかってな。だが、どれだけの人間があの男の周りにいるかわからない。ヴェンデッタのメンバーもいる・・・・・・俺にできることはリマスの望みを叶え、カタラーナを守ることだけだ」
ジュアルの言葉を聞いた倉野は再び問いかける。
「もう一つ聞きたい。妹を、カタラーナさんを救い出せば呪いは解いてくれるのか」
「な・・・・・・相手は貴族だぞ。いくらグランダーの後ろ盾があっても貴族を相手にするのは命を捨てるのと変わらない。リマスがヴェンデッタと繋がっている証拠なんてないんだ。勝手な疑いをかけて貴族に牙を向いた大罪人として処理されるぞ」
そう答えるジュアル。
しかし、倉野の中で答えは決まっていた。
「関係ない。ジュアルだって妹のために全てを捨ててヴェンデッタの中にいたはずだ。必ず妹を・・・・・・カタラーナさんを救う。だからレイチェルさんの呪いを解け」
倉野の言葉を聞いたジュアルは一瞬停止してから、慌てて言葉を吐き出す。
「・・・・・・む、無理に決まってるだろう!確かにレックレスや俺たちを制したお前は強い。だが、相手は貴族だ。敵は国に守られた特権階級だぞ」
「だから、そんなの関係ないんですよ。聞きたいのは一つ、呪いを解くのか解かないのか」
そんな倉野の言葉を補足するようにレインが口を開いた。
「止めても無駄だと思うよ。クラノがレイチェル嬢を諦めることはない。そしてジュアル、お前が妹を諦めることもない。レイチェル嬢を救うにはお前の妹を救うしかない」
「そういうことです」
倉野はそう頷いてから、小さな声でイスベルグに話しかける。
「イスベルグさん」
「なんだ?」
「全身凍結したレックレスたちは死んでしまったんですか?」
「敵の生死を気にしてどうする・・・・・・安心しろ。この魔法の本質は時間停止だ。氷の中にいる間、全ての機能は停止しているが魔法を解除すれば元通り機能し始める」
イスベルグは言いながらため息をついた。
相手の命を奪いたくないという倉野の思いもあったが、一番はリマスとヴェンデッタの繋がりを証明するためにレックレスたちの生死を確認したのである。
一安心した倉野は再びジュアルに言葉をかけた。
「約束してほしい。カタラーナさんを救ったら、レイチェルさんにかけた呪いを解くと」
1
お気に入りに追加
2,845
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。