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 なるほど、と倉野は頷いた。

 大昔、この世界に存在した悪しき魔法、呪い。
 しかし、その呪いは呪術師と呼ばれる一族しか扱えない。
 呪いの力に目をつけた権力者たちは呪術師たちを利用していたが、次第にその力の強大さに怯えるようになった。
 そしてその恐れから呪術師たちを忌み嫌い世界から除外しようと各国が手を組み殲滅行動を起こす。
 だが、呪術師たちは殲滅行動から逃れ生き残り、その血と呪いを受け継いでいった。
 そして呪いは外部から解除できないようになっており、無理やり解除しようとすると即座に対象が死んでしまう。

 頭の中を整理した倉野は小声のままイスベルグに話しかける。

「つまり、呪いを解くには呪いをかけた呪術師に解除させるしかないということですか?」
「ああ、そうなるな。呪術師をとらえ、呪いの魔法式を解除させればこの娘の苦しみは消える。本来、呪術師を探し当てることなど不可能だが、お前の能力なら術者がわかるのではないか?」
「そうですね・・・・・・ってスキル説明のこと話したことありましたっけ?」
「お前の中から見えていたからな」

 そう言ったイスベルグの声は少し得意げであった。
 倉野は頷いてからイスベルグの助言に従い、スキル説明を発動する。
 対象はレイチェル・グランダーに呪いをかけた者。
 スキル説明が出した答えを倉野が読み上げる。

「ジュアル・リーク。ヴェンデッタと呼ばれる組織に所属している。呪術師」

 倉野の言葉を聞いたレインはすぐに聞き返した。

「例のスキルを使ったのかい?そのジュアルという男が呪術師というわけか」
「はい、そのようです。そして呪いを解くには、呪術師に解かせる以外に方法はないらしいです」

 そう倉野が答える。
 すると、その横でグランダー伯爵が驚愕の表情で言葉を失っていた。
 そんな伯爵にレインが問いかける。

「どうされましたか?」

 問いかけられたグランダー伯爵は我を取り戻すように息を呑み、ゆっくりと口を開いた。

「・・・・・・その組織の名前は聞いたことがある。闇ギルド、ヴェンデッタ。罪を犯し国に追われている者や追放された者が徒党を組み闇ギルド、ヴェンデッタと名乗っているという」
「つまり犯罪者集団ということですか?」

 問いかける倉野。グランダー伯爵は問いかけに頷いてからレイチェルに視線を落とす。

「どうしてヴェンデッタがレイチェルを・・・・・・」

 そんな伯爵の姿を見ていたレインは倉野に問いかけた。

「確かに原因がわからなければご令嬢は狙われ続けるかもしれない。ヴェンデッタの目的はわかるかい?」

 倉野は黙って頷き、スキル説明を発動させる。
 対象は、ヴェンデッタがレイチェルを狙う目的だ。
 スキル説明を発動した倉野の目の前に画面が表示され、悪しき魔法の理由が映し出される。
 何故、レイチェルは呪いをかけられたのか。
 過去に殲滅された呪いという魔法を使ってまで何をなし得たかったのか。
 倉野はその文章を読み上げた。
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