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混浴3
しおりを挟む呆れたように大きなため息をもらし、エリエは額を手で覆う。紅蓮も首を傾げていたが、紅蓮が返答する前にエリエがミレイニの質問に答えた。
「あのねー。あんたの武器だって最初から土に刺さってたわけじゃないでしょ? つまり、街で見た巨大な杭も最初からあの形じゃなく。後であの形に生成するのよ」
「ふ~ん。でも、それはどれくらいの木が必要だし?」
「そ、それは……」
すぐに質問が返ってきて、エリエもその質問にはさすがに答えられない。いや、答えられないというよりも答えが分からないと言った方が正しいだろう。
生産スキルにレベル制限は特にないものの。そのスキルの多さは普段戦闘系スキルの基本スキル、固有スキルしか使わないエリエ達。戦闘系のプレイヤーには全てを把握しきれていない。
まあ、VRという特殊なシステムを導入しているMMORPGで、激しく動きながらスキルを多彩な戦闘系のスキルを使用し。キャストタイム、リキャストタイムを管理するのはほぼ不可能だろう。
その為、戦闘スキルは基本的に基本スキル、固有スキル、トレジャーアイテムに備わっている武器スキルの3種類に簡略化されているのだ。それに比べて生活スキルの数が段違いに多い。
料理、裁縫、製錬、鍛冶、採掘、伐採、釣りなど上げればキリがないほど存在していて、中には洗濯という本来はゲーム内で服を洗う必要はないのだが、一部の綺麗好きなプレイヤー達に向けてのスキルまで存在する。
「ああ、あの杭は木工で1つ作るのに、木が50本程度です」
『50本ッ!?』
その場で紅蓮の話を聞いていた全員が声を揃えて一斉に叫ぶ。
だが、それも無理はない。木を50本と一言で言っても、相当な量である。しかも、街を区切るだけの本数を入手し、輸送するには相当な労力と時間を有することは言うまでもないが。何よりそれを、周囲を敵に囲まれている今の状況下でとなると難易度は一気に跳ね上がる。まあ、だからこそ今日の選抜戦の意味があるのだが……。
驚く皆を気にすることもなく紅蓮は淡々と言葉を続ける。
「なので、今回の作戦が成功するかどうかは、伐採中の我々を守っていただくよう協力してくれるギルド『メルキュール』の方々にかかっているのですが、それは今日の戦いぶりを見ていれば問題ありません。しかし――」
そこまで口にした紅蓮は、真剣な面持ちで皆の顔を見渡すと、徐に口を開く。
「――私は今回の戦闘で被害者を出すつもりはありません。しかし、それには皆さんの力が必要なのです」
「もちろん! 私にできる事があればなんでも言ってよ!」
「俺も全力で協力します!」
「俺も侍は仁義を通すもの……任せてくれ!」
突然深々と頭を下げた紅蓮を前に、エリエ達も力強く答える。
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