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護衛ギルド選抜戦9
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コマンドを操作して漆黒の鎧と同じく黒い刃の大剣を取り出した直後、ダイロスに向かって襲い掛かる。
自分に振り下ろされた大剣を己の大剣で防ぎ、鍔迫り合いをしながらダイロスは驚いた様子で声を発した。
「なっ……お前。その剣は!!」
「ああ、そうだ。あんたと同じ剣さ! その武器を持っているのが自分だけだと思っていたのか!!」
鍔迫り合いを続けていたが、ゲインのその言葉の直後。ダイロスが大剣を強引に振り抜き一気に距離を取った。
しかし、ゲインの方はそれを許してはくれないらしく、再び斬り込んで間合いを詰めてくる。
「――別に逃げる必要ないだろう? ああ、時間を稼ぎたいのか……あんたの固有スキル『豪腕』は一撃だけだが、通常の100倍という桁外れの攻撃力強化スキル。しかも固有スキルのレア度はDで、リキャストタイムは5分だけ。外れの中の大当たりを、あんたは引いたわけだ。通常そんな攻撃力で敵を倒せば武器の耐久力はなくなり、さっきのように消滅する……が、今のこの大剣は違う。不滅の刃『炎剣デュランダル』そもそも耐久力が存在しないこの大剣ならば、あんたの一撃。『竜殺しの一撃』を存分に振るえるっというわけだろう?」
「ふん。同じ武器の使い手ならば、もはや隠す必要もないか……」
ドラゴンの兜の隙間から微かに笑みをもらしたダイロスの体が、一瞬だけ赤く光ると凄まじい力で鍔競り合いを続けていたゲインを吹き飛ばす。その直後、ダイロスの持っていた大剣が燃え上がるように炎を吹き出した。
バランスを崩したゲインは空中で体を回転させ、何事もなかったかのように地面に着地する。
「まだ初手の状態でタフネスを惜しげもなく相手に手の内を晒す。その大胆さはいい……だが! 時間を稼ぎたい思惑が見え見えだ! 5分もいらない。3分で終わらせてやろう……俺の固有スキル『旭日昇天』でな!!」
すると次の瞬間。ゲインの体から出た凄まじいほどの赤いオーラが天へと昇っていた。
突如現れたゲインの体の変化に、ダイロスも警戒したように燃え盛る大剣の先を彼に向ける。
「これが俺の固有スキル『旭日昇天』その名の通り。朝日が勢い良く天に昇るように、己の能力を一気に最大まで大幅に強化するが、頂点に達した後は徐々に能力が低下し、最後は最低値を記録する。この体から滲み出るオーラは血と同じ赤――己の魂を燃やすように辺りに闘気を振り撒き、やがて灰となる。この大剣も俺の強すぎる俺の力を全力で出し切る為のものだ。後はお前が……」
そこまで口にしたゲインが突如ダイロス目掛けて突進してくる。構えて即座に振り抜いた炎を纏う大剣をダイロスも己の愛剣で受け止めた。
互いの大剣の発する炎が円柱のように空へと吹き上がる。その光景は、まるでお互いの気迫が炎となりぶつかり合っているようだ――。
「お前が俺の猛攻に耐えられるか! 俺が燃え尽きるのが先か! それがこの勝負を左右する!!」
叫んだゲインが更に力を込めると、重鎧を着ていたダイロスの体が意図も容易く吹き飛ばされ、ステージ上に大きな溝を作っていく。勢いが次第に弱まり止まると、ダイロスは何事もなかったかのようにその場でゆっくりと立ち上がる。
彼のHPゲージも然程大きく減っていない。それが気に食わなかったのか、ゲインが直ぐ様地面を蹴ってダイロスへと襲い掛かり、その攻撃をダイロスはギリギリで体を横にしてかわすと、攻撃を見切られたゲインは目にも留まらぬ早業で炎を噴く大剣で身を守っているダイロスを斬り付けていく。
彼が革鎧という薄く軽い防具を選んでいるのは、防御よりも攻撃に重きを置く戦闘スタイルだからこそ、ダイロスよりも必然的に攻撃の手数が多くなっているのだ。
基本は一撃で敵を撃破する戦闘スタイルのダイロスは、攻撃を放つと5分というリキャストタイム分のアドバンテージを相手に与えてしまう。基本スキルは『タフネス』を選択している以上。『スイフト』を選択している者に手数とスピードでは敵わない。その為、重鎧を装備して守りを強固にしなければ、確実に勝負を決めるのは難しい。
それに不滅の刃を持つ『炎剣デュランダル』は通常の戦闘で敵の防御を抜いて粉砕することができるが、今回の様に同じトレジャーアイテム装備持ちとの戦闘では、そういうわけにもいかないのも事実。
現に装備が全体的に重いダイロスより、スイフトを発動させながら若干でも軽い防具を身に付けているゲインの方が手数で有利になっているのは間違いないだろう。
フリーダムでは脳から発せられる電気信号をハードがキャッチしてそのまま、ヴァーチャル世界の体であるアバターへと繋げている。つまり、脳の反応速度が速い者がこの世界では最も強いプレイヤーとなる。
ゲインの振るう大剣をギリギリのタイミングで見切りながら、微かな動作だけでやり過ごしていくダイロス。
兜で表情は見えないものの、その動作から彼が然程焦っていないように思えた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラー!!」
「――くッ!!」
大剣の柄で受けると勢いで押し返されるほどの剣戟を止めどなく打ち出される剣戟を同じ大剣で受けつつ、防戦一方の状態が続く。だが、体力を消耗しない最低限の戦闘に切り替え、反撃の時を狙っているような瞳が、兜の隙間から鋭い眼光を飛ばしている。
自分に振り下ろされた大剣を己の大剣で防ぎ、鍔迫り合いをしながらダイロスは驚いた様子で声を発した。
「なっ……お前。その剣は!!」
「ああ、そうだ。あんたと同じ剣さ! その武器を持っているのが自分だけだと思っていたのか!!」
鍔迫り合いを続けていたが、ゲインのその言葉の直後。ダイロスが大剣を強引に振り抜き一気に距離を取った。
しかし、ゲインの方はそれを許してはくれないらしく、再び斬り込んで間合いを詰めてくる。
「――別に逃げる必要ないだろう? ああ、時間を稼ぎたいのか……あんたの固有スキル『豪腕』は一撃だけだが、通常の100倍という桁外れの攻撃力強化スキル。しかも固有スキルのレア度はDで、リキャストタイムは5分だけ。外れの中の大当たりを、あんたは引いたわけだ。通常そんな攻撃力で敵を倒せば武器の耐久力はなくなり、さっきのように消滅する……が、今のこの大剣は違う。不滅の刃『炎剣デュランダル』そもそも耐久力が存在しないこの大剣ならば、あんたの一撃。『竜殺しの一撃』を存分に振るえるっというわけだろう?」
「ふん。同じ武器の使い手ならば、もはや隠す必要もないか……」
ドラゴンの兜の隙間から微かに笑みをもらしたダイロスの体が、一瞬だけ赤く光ると凄まじい力で鍔競り合いを続けていたゲインを吹き飛ばす。その直後、ダイロスの持っていた大剣が燃え上がるように炎を吹き出した。
バランスを崩したゲインは空中で体を回転させ、何事もなかったかのように地面に着地する。
「まだ初手の状態でタフネスを惜しげもなく相手に手の内を晒す。その大胆さはいい……だが! 時間を稼ぎたい思惑が見え見えだ! 5分もいらない。3分で終わらせてやろう……俺の固有スキル『旭日昇天』でな!!」
すると次の瞬間。ゲインの体から出た凄まじいほどの赤いオーラが天へと昇っていた。
突如現れたゲインの体の変化に、ダイロスも警戒したように燃え盛る大剣の先を彼に向ける。
「これが俺の固有スキル『旭日昇天』その名の通り。朝日が勢い良く天に昇るように、己の能力を一気に最大まで大幅に強化するが、頂点に達した後は徐々に能力が低下し、最後は最低値を記録する。この体から滲み出るオーラは血と同じ赤――己の魂を燃やすように辺りに闘気を振り撒き、やがて灰となる。この大剣も俺の強すぎる俺の力を全力で出し切る為のものだ。後はお前が……」
そこまで口にしたゲインが突如ダイロス目掛けて突進してくる。構えて即座に振り抜いた炎を纏う大剣をダイロスも己の愛剣で受け止めた。
互いの大剣の発する炎が円柱のように空へと吹き上がる。その光景は、まるでお互いの気迫が炎となりぶつかり合っているようだ――。
「お前が俺の猛攻に耐えられるか! 俺が燃え尽きるのが先か! それがこの勝負を左右する!!」
叫んだゲインが更に力を込めると、重鎧を着ていたダイロスの体が意図も容易く吹き飛ばされ、ステージ上に大きな溝を作っていく。勢いが次第に弱まり止まると、ダイロスは何事もなかったかのようにその場でゆっくりと立ち上がる。
彼のHPゲージも然程大きく減っていない。それが気に食わなかったのか、ゲインが直ぐ様地面を蹴ってダイロスへと襲い掛かり、その攻撃をダイロスはギリギリで体を横にしてかわすと、攻撃を見切られたゲインは目にも留まらぬ早業で炎を噴く大剣で身を守っているダイロスを斬り付けていく。
彼が革鎧という薄く軽い防具を選んでいるのは、防御よりも攻撃に重きを置く戦闘スタイルだからこそ、ダイロスよりも必然的に攻撃の手数が多くなっているのだ。
基本は一撃で敵を撃破する戦闘スタイルのダイロスは、攻撃を放つと5分というリキャストタイム分のアドバンテージを相手に与えてしまう。基本スキルは『タフネス』を選択している以上。『スイフト』を選択している者に手数とスピードでは敵わない。その為、重鎧を装備して守りを強固にしなければ、確実に勝負を決めるのは難しい。
それに不滅の刃を持つ『炎剣デュランダル』は通常の戦闘で敵の防御を抜いて粉砕することができるが、今回の様に同じトレジャーアイテム装備持ちとの戦闘では、そういうわけにもいかないのも事実。
現に装備が全体的に重いダイロスより、スイフトを発動させながら若干でも軽い防具を身に付けているゲインの方が手数で有利になっているのは間違いないだろう。
フリーダムでは脳から発せられる電気信号をハードがキャッチしてそのまま、ヴァーチャル世界の体であるアバターへと繋げている。つまり、脳の反応速度が速い者がこの世界では最も強いプレイヤーとなる。
ゲインの振るう大剣をギリギリのタイミングで見切りながら、微かな動作だけでやり過ごしていくダイロス。
兜で表情は見えないものの、その動作から彼が然程焦っていないように思えた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラー!!」
「――くッ!!」
大剣の柄で受けると勢いで押し返されるほどの剣戟を止めどなく打ち出される剣戟を同じ大剣で受けつつ、防戦一方の状態が続く。だが、体力を消耗しない最低限の戦闘に切り替え、反撃の時を狙っているような瞳が、兜の隙間から鋭い眼光を飛ばしている。
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