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覆面の下の企み8
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星はエクスカリバーを構え、顔の側を飛んでいるレイニールの方を向く。
「――レイ。私、戦う!」
「なっ……何をバカな事を言っている!! 主、よく見るのじゃ! あれだけの敵を相手にどうやって戦うって言うのじゃ!!」
敵の方を向き直して、少し間を開けて真面目な声音でレイニールに告げる。
目の前には地を覆うほどのモンスターの大群。どう考えても勝ち目はない。
「――分かってるよ。言いたいことは分かってる。でも、ここで逃げちゃダメなの……怖いからって逃げて、見たくないから目を瞑って、聞きたくないから耳を塞いでたら何も変わらない。誰も幸せになれない……皆、誰かを幸せにする為に生まれて来るの。なにかの本にもそう書いてあった――だから、きっと私も。この時に人を守る為に生まれてきたんだと思うから……」
そう言って星は一歩、また一歩と前に踏み出す。しかし、それを遮るようにレイニールが割って入った。
「……何を言っているのじゃ!」
「……私のスキルならしばらくの間。ステータスを下げられるし、もし途中でダメになっても、この中で一番時間を稼げる。この後スキルを使ったら、私は敵の中に飛び込む。そこでギリギリまでやってみるから、レイはエミルさんと合流して街の人達を――」
そこまで言ったところで、突如レイニールが上空に舞い上がり、その体が金色に輝く。そして次の瞬間には、レイニールの体は黄金の巨竜の姿へと変わっていた。
翼をはためかせながら地面に着地したレイニールは、真っ直ぐに敵の大軍を見据える。
星も驚きながらレイニールを見上げると、レイニールはその大きな口から炎を吹き出し辺りのモンスターを焼き尽くす。
「レイ!」
珍しく声を荒らげた星に対して、今度はレイニールが一括するように咆哮を上げた。
小さな悲鳴を上げた星に向かって、レイニールが睨みつけながら喋り出す。
「主! 我輩を侮辱するのもいい加減にしろ! ここで主を置いて逃げる事などできるはずがないだろう。主は我輩を信用してなさ過ぎる! もっと我輩を頼ってくれて良いのだぞ?」
「…………うん!」
レイニールが長い首を伸ばして自分に向ける曇りなき眼に、星もレイニールの意志を感じ取ったのか力強く頷いた。
突然現れた巨竜に仲間を焼き払われ、一気に臨戦態勢に入ったモンスター達が各所で雄叫びを上げている。どうやら、モンスター達には危機感知能力が備わっていないらしい。自分達の数十倍の大きさのある巨竜に全力で戦って勝てるはずがない。
いや、確かに数で圧倒できたのだろう……ただ一つ誤算があるとすれば、レイニールの主が星だったことだ――。
星とレイニールはもう一度互いの目を見合うと、モンスターを見据えた。
「レイ、行くよ!」
「うむ。いつでもいいぞ! 主」
持っていた剣を天に突き上げ、星がスキル名を叫んだ直後、星の掲げたエクスカリバーが神々しいまでの光を放つ。だが、周囲にばら撒く感じではなく。前方のみに光を収束させた感じが強い。
ちょっと前にはそんな芸当できなかったのだが、この前の村正事件が星の成長を促したのだろう。それか、また別の要因があるのかもしれない……。
エクスカリバーから発せられた光がモンスターの大群を包むと、星の全ステータスが一気に跳ね上がり、途方もない数値を叩き出す。その代償として、敵のモンスターのLvやHPが『1』に統一された直後、エクスカリバーを敵の正面に向けて星が「レイ!」と黄金の巨竜の名前を叫ぶ。
星の掛け声に合わせて、レイニールが口いっぱいに溜め込んだ紅蓮の炎を、眼前に広がるモンスターの群れに向かって噴射する。けたたましいほどの轟音と熱風を起こし、その長い首を左右に大きく振り回す。
たちまち辺りは火の海と化し、炎と共にキラキラとした蛍の様な光が夜空へと舞い上がっていく。
その幻想的な雰囲気と裏腹に、炎の中からまた無数の敵が現れる。
(やっぱり1回じゃ足りない……なら、もう1回!)
再び現れた敵に向かって、星はエクスカリバーを掲げる。
「ソードマスターオーバーレイ!!」
もう一度大きな声で、星が固有スキル名を叫んだ直後に再び剣が強く光を放つ。だがその瞬間、星の体が大きくよろけた。
しかし、レイニールは炎を吐いていて星の異変には気が付いていない。
(……やっぱり。前もそうだった……でも、今度は倒れない。倒れられない! みんな見てる。レイも頑張ってくれてる! だから、今度は絶対倒れない!!)
決意に満ちた瞳で、大量の炎で燃えては再び姿を現すモンスターの群れを見据える。
倒れそうになる体をなんとか踏ん張って止めると、レイニールの声が耳に飛び込んできた。
「主! また来るぞ! 早く次だ!」
「……うん! ソードマスターオーバーレイ!」
襲ってくる疲労を誤魔化すように強く剣の柄を握り締めると、直ぐ様、固有スキルを使用した。やはりスキルを使用した直後に視界が揺らぎ、次に全身に何者かがのしかかってくる様な重圧を感じる。よろめきながらも、しっかりと地面を踏み付けると、頭を左右に振って鋭い視線を再び前に向けた。
「――レイ。私、戦う!」
「なっ……何をバカな事を言っている!! 主、よく見るのじゃ! あれだけの敵を相手にどうやって戦うって言うのじゃ!!」
敵の方を向き直して、少し間を開けて真面目な声音でレイニールに告げる。
目の前には地を覆うほどのモンスターの大群。どう考えても勝ち目はない。
「――分かってるよ。言いたいことは分かってる。でも、ここで逃げちゃダメなの……怖いからって逃げて、見たくないから目を瞑って、聞きたくないから耳を塞いでたら何も変わらない。誰も幸せになれない……皆、誰かを幸せにする為に生まれて来るの。なにかの本にもそう書いてあった――だから、きっと私も。この時に人を守る為に生まれてきたんだと思うから……」
そう言って星は一歩、また一歩と前に踏み出す。しかし、それを遮るようにレイニールが割って入った。
「……何を言っているのじゃ!」
「……私のスキルならしばらくの間。ステータスを下げられるし、もし途中でダメになっても、この中で一番時間を稼げる。この後スキルを使ったら、私は敵の中に飛び込む。そこでギリギリまでやってみるから、レイはエミルさんと合流して街の人達を――」
そこまで言ったところで、突如レイニールが上空に舞い上がり、その体が金色に輝く。そして次の瞬間には、レイニールの体は黄金の巨竜の姿へと変わっていた。
翼をはためかせながら地面に着地したレイニールは、真っ直ぐに敵の大軍を見据える。
星も驚きながらレイニールを見上げると、レイニールはその大きな口から炎を吹き出し辺りのモンスターを焼き尽くす。
「レイ!」
珍しく声を荒らげた星に対して、今度はレイニールが一括するように咆哮を上げた。
小さな悲鳴を上げた星に向かって、レイニールが睨みつけながら喋り出す。
「主! 我輩を侮辱するのもいい加減にしろ! ここで主を置いて逃げる事などできるはずがないだろう。主は我輩を信用してなさ過ぎる! もっと我輩を頼ってくれて良いのだぞ?」
「…………うん!」
レイニールが長い首を伸ばして自分に向ける曇りなき眼に、星もレイニールの意志を感じ取ったのか力強く頷いた。
突然現れた巨竜に仲間を焼き払われ、一気に臨戦態勢に入ったモンスター達が各所で雄叫びを上げている。どうやら、モンスター達には危機感知能力が備わっていないらしい。自分達の数十倍の大きさのある巨竜に全力で戦って勝てるはずがない。
いや、確かに数で圧倒できたのだろう……ただ一つ誤算があるとすれば、レイニールの主が星だったことだ――。
星とレイニールはもう一度互いの目を見合うと、モンスターを見据えた。
「レイ、行くよ!」
「うむ。いつでもいいぞ! 主」
持っていた剣を天に突き上げ、星がスキル名を叫んだ直後、星の掲げたエクスカリバーが神々しいまでの光を放つ。だが、周囲にばら撒く感じではなく。前方のみに光を収束させた感じが強い。
ちょっと前にはそんな芸当できなかったのだが、この前の村正事件が星の成長を促したのだろう。それか、また別の要因があるのかもしれない……。
エクスカリバーから発せられた光がモンスターの大群を包むと、星の全ステータスが一気に跳ね上がり、途方もない数値を叩き出す。その代償として、敵のモンスターのLvやHPが『1』に統一された直後、エクスカリバーを敵の正面に向けて星が「レイ!」と黄金の巨竜の名前を叫ぶ。
星の掛け声に合わせて、レイニールが口いっぱいに溜め込んだ紅蓮の炎を、眼前に広がるモンスターの群れに向かって噴射する。けたたましいほどの轟音と熱風を起こし、その長い首を左右に大きく振り回す。
たちまち辺りは火の海と化し、炎と共にキラキラとした蛍の様な光が夜空へと舞い上がっていく。
その幻想的な雰囲気と裏腹に、炎の中からまた無数の敵が現れる。
(やっぱり1回じゃ足りない……なら、もう1回!)
再び現れた敵に向かって、星はエクスカリバーを掲げる。
「ソードマスターオーバーレイ!!」
もう一度大きな声で、星が固有スキル名を叫んだ直後に再び剣が強く光を放つ。だがその瞬間、星の体が大きくよろけた。
しかし、レイニールは炎を吐いていて星の異変には気が付いていない。
(……やっぱり。前もそうだった……でも、今度は倒れない。倒れられない! みんな見てる。レイも頑張ってくれてる! だから、今度は絶対倒れない!!)
決意に満ちた瞳で、大量の炎で燃えては再び姿を現すモンスターの群れを見据える。
倒れそうになる体をなんとか踏ん張って止めると、レイニールの声が耳に飛び込んできた。
「主! また来るぞ! 早く次だ!」
「……うん! ソードマスターオーバーレイ!」
襲ってくる疲労を誤魔化すように強く剣の柄を握り締めると、直ぐ様、固有スキルを使用した。やはりスキルを使用した直後に視界が揺らぎ、次に全身に何者かがのしかかってくる様な重圧を感じる。よろめきながらも、しっかりと地面を踏み付けると、頭を左右に振って鋭い視線を再び前に向けた。
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