518 / 630
覆面の下の企み2
しおりを挟む
マスターの瞳の奥にある炎の様に燃えたぎる信念が、彼の言葉を更に強く拒めないものにしていた。
「……ギルマス。分かった。だが、ビッグバンは最終手段だ。俺はあんたを死なせるつもりはねぇーからな!」
そう告げると、アイテムの中からメルディウスは酒瓶を取り出す。
それをマスターの盃に注ぐと、すぐに自分の方の盃にも注いでマスターの前に突き出す。
「水盃なんて縁起でもねぇー!! こいつで飲み直しだ! 嫌でも付き合ってもらうぜ! ギルマス!」
「ああ、付き合おう!」
メルディウスとマスターは互いに笑みを浮かべ、酒を同時に呷って盃を酌み交わした。
夜空に輝く月を肴に2人は落ち着いた雰囲気で、互いに言葉少なく盃を呑み干しては注ぐということを繰り返す。
その間に言葉は殆ど交わさなかったが、彼等には言葉以上に分かり合えているのだろう。互いに笑みを浮かべながら夜空を見上げていた。
* * *
何度もミノタウロスに斬り掛かっては、ベルセルクの爆風で吹き飛ばされる繰り返しを重ねていたメルディウス。
しかし、その度重なる攻撃で得た成果は十分にあった……。
まだ綺麗な金色のままのベルセルクと違い。ミノタウロスの持っていた大斧は刃先が少し欠けている。まあ、あれだけの爆発を刃で受けていれば、武器の耐久力が落ちてくるのも仕方がない。
だが、どうしてメルディウスのベルセルクは大丈夫かと言うと、それは至ってシンプルな理由で、彼のベルセルクはトレジャーアイテムだからだ。
トレジャーアイテムは特定のダンジョンなど、期間限定でしか入手できない為、通常武器よりも耐久値が高め設定されている。その代わりに修理費も大きい……。
そしてミノタウロスが使っている武器は市販の物ではない――その為、制作に使用した素材の質などが影響しているのだろう。
まあ、他の街にも派遣している数十万の部隊に同じ武器を持たせているとなると、入手が容易な素材を使用していると見てまず間違いない。
メルディウスがベルセルクを構え直して渾身の力で振り抜くと、それを受け止めたミノタウロスの大斧が砕け散る。
「これで終わりだな!」
丸腰になったミノタウロスが威嚇のつもりなのか、咆哮を上げたがメルディウスには効果がない。
空中でベルセルクを大きく振り上げ、ミノタウロスの首筋に炸裂し爆発を起こす。
その勢いを利用し刃を反転させると、大人の身長ほどもあるその大きな刃が反対側の首筋に突き刺さる。
「――わりぃーな。俺達のギルマスを……死なせるわけにはいかねぇーんだよ!!」
ミノタウロスの首を切り落として、地面に着地すると冷たい目で光になって空へと上がっていくミノタウロスを一瞥して、ベルセルクを肩に担いで走り出す。
前を立ち塞がる様に向かってくるモンスター達にベルセルクを振り下ろし、爆風で吹き飛ばしつつ、森の中を突っ切ってマスターのいる場所を目指し突き進んでいく。
空中でルシファーと幾度となく剣を打ち合わせる中、地上では立ったまま動かないエミルとイシェルに向かって、次々に襲い掛かってくるモンスター達に巫女服を纏ったイシェルが神楽鈴を鳴らす。
その直後、突風が吹き荒れモンスター達を、原形を留めないほどに細切れに引き裂いていく。
巫女という神々しい存在にも関わらず、イシェルはモンスター達に全くの感情のない冷酷な眼差しを向けて、ただただ作業の様に淡々と神楽鈴を振る。
モンスター達は為す術なく断末魔の叫びを上げ、光となって天に吸い込まれていく様に上がって逝った。
淡々とした戦闘をしている地上と違い。上空では激しい攻防が繰り広げていた。
翼を大きくはためかせながら、2体の巨大な堕天使と竜人が空中で激しく両手に持った剣を打ち合わせる。
っと突如距離を取ったルシファーが翼を大きく広げ、漆黒の羽根をリントヴルム目掛けて放つ。
それをリントヴルムZWEIが口から噴射した炎で焼き払う。しかし、無数にホーミングしてくる羽根を落としきれない。あぶれた羽根は即座にリントヴルムの持つ剣が叩き落とす。
それでも落とせない分は、そのダイヤモンドの体で受け止めた。いくらダイヤモンドと言えど、HPが無限な訳ではない――ダメージカットは目を見張るものがあるが、ただそれだけである。結局はダメージの軽減しかできないのが現実だ。
HPが減少する中、リントヴルムZWEIがルシファーに炎を吐き出す。ルシファーはそれを剣で受けるが、防ぎきれずに漏れ出た炎でHPが減少する。
HPはリントヴルムZWEIのダイヤモンドの体を考慮しても、ほぼ互角――互いに一歩も引かないルシファーとリントヴルムは空中で幾度となく体制を入れ替えながら激しくぶつかり合う。
「……ギルマス。分かった。だが、ビッグバンは最終手段だ。俺はあんたを死なせるつもりはねぇーからな!」
そう告げると、アイテムの中からメルディウスは酒瓶を取り出す。
それをマスターの盃に注ぐと、すぐに自分の方の盃にも注いでマスターの前に突き出す。
「水盃なんて縁起でもねぇー!! こいつで飲み直しだ! 嫌でも付き合ってもらうぜ! ギルマス!」
「ああ、付き合おう!」
メルディウスとマスターは互いに笑みを浮かべ、酒を同時に呷って盃を酌み交わした。
夜空に輝く月を肴に2人は落ち着いた雰囲気で、互いに言葉少なく盃を呑み干しては注ぐということを繰り返す。
その間に言葉は殆ど交わさなかったが、彼等には言葉以上に分かり合えているのだろう。互いに笑みを浮かべながら夜空を見上げていた。
* * *
何度もミノタウロスに斬り掛かっては、ベルセルクの爆風で吹き飛ばされる繰り返しを重ねていたメルディウス。
しかし、その度重なる攻撃で得た成果は十分にあった……。
まだ綺麗な金色のままのベルセルクと違い。ミノタウロスの持っていた大斧は刃先が少し欠けている。まあ、あれだけの爆発を刃で受けていれば、武器の耐久力が落ちてくるのも仕方がない。
だが、どうしてメルディウスのベルセルクは大丈夫かと言うと、それは至ってシンプルな理由で、彼のベルセルクはトレジャーアイテムだからだ。
トレジャーアイテムは特定のダンジョンなど、期間限定でしか入手できない為、通常武器よりも耐久値が高め設定されている。その代わりに修理費も大きい……。
そしてミノタウロスが使っている武器は市販の物ではない――その為、制作に使用した素材の質などが影響しているのだろう。
まあ、他の街にも派遣している数十万の部隊に同じ武器を持たせているとなると、入手が容易な素材を使用していると見てまず間違いない。
メルディウスがベルセルクを構え直して渾身の力で振り抜くと、それを受け止めたミノタウロスの大斧が砕け散る。
「これで終わりだな!」
丸腰になったミノタウロスが威嚇のつもりなのか、咆哮を上げたがメルディウスには効果がない。
空中でベルセルクを大きく振り上げ、ミノタウロスの首筋に炸裂し爆発を起こす。
その勢いを利用し刃を反転させると、大人の身長ほどもあるその大きな刃が反対側の首筋に突き刺さる。
「――わりぃーな。俺達のギルマスを……死なせるわけにはいかねぇーんだよ!!」
ミノタウロスの首を切り落として、地面に着地すると冷たい目で光になって空へと上がっていくミノタウロスを一瞥して、ベルセルクを肩に担いで走り出す。
前を立ち塞がる様に向かってくるモンスター達にベルセルクを振り下ろし、爆風で吹き飛ばしつつ、森の中を突っ切ってマスターのいる場所を目指し突き進んでいく。
空中でルシファーと幾度となく剣を打ち合わせる中、地上では立ったまま動かないエミルとイシェルに向かって、次々に襲い掛かってくるモンスター達に巫女服を纏ったイシェルが神楽鈴を鳴らす。
その直後、突風が吹き荒れモンスター達を、原形を留めないほどに細切れに引き裂いていく。
巫女という神々しい存在にも関わらず、イシェルはモンスター達に全くの感情のない冷酷な眼差しを向けて、ただただ作業の様に淡々と神楽鈴を振る。
モンスター達は為す術なく断末魔の叫びを上げ、光となって天に吸い込まれていく様に上がって逝った。
淡々とした戦闘をしている地上と違い。上空では激しい攻防が繰り広げていた。
翼を大きくはためかせながら、2体の巨大な堕天使と竜人が空中で激しく両手に持った剣を打ち合わせる。
っと突如距離を取ったルシファーが翼を大きく広げ、漆黒の羽根をリントヴルム目掛けて放つ。
それをリントヴルムZWEIが口から噴射した炎で焼き払う。しかし、無数にホーミングしてくる羽根を落としきれない。あぶれた羽根は即座にリントヴルムの持つ剣が叩き落とす。
それでも落とせない分は、そのダイヤモンドの体で受け止めた。いくらダイヤモンドと言えど、HPが無限な訳ではない――ダメージカットは目を見張るものがあるが、ただそれだけである。結局はダメージの軽減しかできないのが現実だ。
HPが減少する中、リントヴルムZWEIがルシファーに炎を吐き出す。ルシファーはそれを剣で受けるが、防ぎきれずに漏れ出た炎でHPが減少する。
HPはリントヴルムZWEIのダイヤモンドの体を考慮しても、ほぼ互角――互いに一歩も引かないルシファーとリントヴルムは空中で幾度となく体制を入れ替えながら激しくぶつかり合う。
0
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる