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ライラの企み3
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互いに激しく睨み合うエミルとライラ。
激しい眼光をぶつけ合いながら、周囲の空気がピリピリとしたものへと変わった。その険悪なムードに耐えきれず、エミルの後ろに隠れていた星が前に出てくる。
「止めて下さい! 私が戦えばいいんですよね?」
星がエミルの顔を見つめ告げると、そんな星の両肩をエミルががっしりと掴む。
「ダメよ! まだ戦い方だって教えてないでしょ? なにかあったらどうするの!?」
「……だってライラさんは私を連れていくって……私、エミルさんと離れたくない。でもそれ以上に、エミルさんと一緒に戦いたいです!」
切実な願いの星の瞳が、エミルの瞳を真っ直ぐに見つめている。
エミルはその熱意に負けたのか、ため息を漏らしながら呟く。
「はぁ……星ちゃん、分かったわ。あなたの好きにしなさい……でも、私は星ちゃんを死なすつもりはないからね」
「はい」
普段通りににっこり微笑むエミルに、星も微笑み返す。
そんな2人の様子を見ていたライラは安心したような微笑みを浮かべると、スッと姿を消した。
本当に何を考えて、どうしようとしているのか……全く分からない人物だ。しかし、本当は最初からこうなることが分かっていたのかもしれないと、その呆気ないほどの去り際に思わずにはいられなかった。
ひとまず落ち着きを取り戻した部屋に、エリエ達の安堵した様なため息が響く。
そんな中、マスターが徐に口を開いた。
「――しかし、問題の根本は解決しておらん。人員が足りないのは事実だ。これをなんとかせんといかんぞ?」
「……人手か。まあ、当てがない訳でもないか……」
顎の下に指を当てながら、なにか思い付いたようにメルディウスがぼそぼそと呟いている。
だが、それも無理はない話だ。今の状況で危険な状況下にわざわざ自分から飛び込もうとする人物が、この初心者の街であるはじまりの街にどれだけいるだろう……。
マスターは嫌な予感がしながらも、メルディウスの方を見ると、彼は親指を立てて自信満々に言い放つ。
「まっ、なんとかするわ! 小虎の回収ついでにバロンも回収してくる! ジジイ、楽しみに待ってな!」
そう言い残し、意気揚々とメルディウスは足早に部屋を出ていった。
マスターは「やはり、奴か……」とため息混じりに額を抑える。
普段と違うマスターの様子に、隣に座っていたカレンが心配そうに尋ねる。
「師匠。バロンとは誰ですか?」
「ん? ああ、四天王の1人だ。だが、性格に難があってな。場合によっては場が混乱するかもしれん」
「はあ、なるほど……」
分かったような分からないような表情で生返事を返して首を傾げるカレン。
その向かいで、エリエがデイビッドをチラッと見て大きくため息を吐く。
「はぁ~。役立たずはデイビッドだけで間に合ってるのよね~」
「どういう意味だ!」
「……足だけは引っ張らないでよね」
蔑むような視線を横目で浴びせながら、追い打ちを掛けるような言葉を口にしたエリエが再び大きなため息をつく。
その後、隣にいたエリエは怒りで顔を真っ赤に染めるデイビッドからそっぽを向くと、エミルと星に声を掛けた。
「作戦を立てるのはマスター達に任せて、私達は星の戦いの特訓に行こうよ!」
「賛成だし!」
話していたエリエの前に、突然ひょっこりと現れたのはミレイニだった。
マスター達の話し合いに参加するわけでも邪魔するわけでもなく、ミレイニは今の今まで窓際に置かれたソファーの上で猫の様に背中を丸めて寝ていた。
まあ、エリエもミレイニが話し合いに混ざっても、とんちんかんなことばかり言って話をこじれさせるだけだと思って放っておいたのだが。それがここに来て裏目に出たらしい。
元気いっぱいに微笑んだミレイニが大きく両手を上げる。
「特訓とか面白そうだし! 早く行くし!」
ミレイニはフリスビーを目の前に出された犬のような瞳で、興奮気味に手を上げている。寝ていたこともあり、彼女は元気が有り余っているのだろう。
返事を待たずに、ミレイニはエリエの手を引いて強引に部屋から連れ出す。
それを見ていたエミルは、大きくため息を漏らした。彼女としては、まだ星を戦いに参加させることを受け入れていないのだろう。
乗り気ではないエミルとは違い。星は今にも動き出したそうにそわそわしている。
前々から『強くなりたい』と切実に思っていた星にとって、今回の出来事は願ったり叶ったりだった。しかも、エミル本人に教えてもらえれば、自分でするよりも段違いに強くなれるに違いない。
「それじゃ、私達も行きましょうか」
そう告げたエミルに、星は力強く頷く。
外に出た2人を待っていたのは向かい合うミレイニとエリエ、そして互いの前にイタチといつ居なくなったのか分からないがレイニールが対峙していた。
何やら両者が睨み合って緊迫した雰囲気の中、ピリピリとした空気が辺りに立ち込めている。
っと、最初に動いたのはミレイニだった。
激しい眼光をぶつけ合いながら、周囲の空気がピリピリとしたものへと変わった。その険悪なムードに耐えきれず、エミルの後ろに隠れていた星が前に出てくる。
「止めて下さい! 私が戦えばいいんですよね?」
星がエミルの顔を見つめ告げると、そんな星の両肩をエミルががっしりと掴む。
「ダメよ! まだ戦い方だって教えてないでしょ? なにかあったらどうするの!?」
「……だってライラさんは私を連れていくって……私、エミルさんと離れたくない。でもそれ以上に、エミルさんと一緒に戦いたいです!」
切実な願いの星の瞳が、エミルの瞳を真っ直ぐに見つめている。
エミルはその熱意に負けたのか、ため息を漏らしながら呟く。
「はぁ……星ちゃん、分かったわ。あなたの好きにしなさい……でも、私は星ちゃんを死なすつもりはないからね」
「はい」
普段通りににっこり微笑むエミルに、星も微笑み返す。
そんな2人の様子を見ていたライラは安心したような微笑みを浮かべると、スッと姿を消した。
本当に何を考えて、どうしようとしているのか……全く分からない人物だ。しかし、本当は最初からこうなることが分かっていたのかもしれないと、その呆気ないほどの去り際に思わずにはいられなかった。
ひとまず落ち着きを取り戻した部屋に、エリエ達の安堵した様なため息が響く。
そんな中、マスターが徐に口を開いた。
「――しかし、問題の根本は解決しておらん。人員が足りないのは事実だ。これをなんとかせんといかんぞ?」
「……人手か。まあ、当てがない訳でもないか……」
顎の下に指を当てながら、なにか思い付いたようにメルディウスがぼそぼそと呟いている。
だが、それも無理はない話だ。今の状況で危険な状況下にわざわざ自分から飛び込もうとする人物が、この初心者の街であるはじまりの街にどれだけいるだろう……。
マスターは嫌な予感がしながらも、メルディウスの方を見ると、彼は親指を立てて自信満々に言い放つ。
「まっ、なんとかするわ! 小虎の回収ついでにバロンも回収してくる! ジジイ、楽しみに待ってな!」
そう言い残し、意気揚々とメルディウスは足早に部屋を出ていった。
マスターは「やはり、奴か……」とため息混じりに額を抑える。
普段と違うマスターの様子に、隣に座っていたカレンが心配そうに尋ねる。
「師匠。バロンとは誰ですか?」
「ん? ああ、四天王の1人だ。だが、性格に難があってな。場合によっては場が混乱するかもしれん」
「はあ、なるほど……」
分かったような分からないような表情で生返事を返して首を傾げるカレン。
その向かいで、エリエがデイビッドをチラッと見て大きくため息を吐く。
「はぁ~。役立たずはデイビッドだけで間に合ってるのよね~」
「どういう意味だ!」
「……足だけは引っ張らないでよね」
蔑むような視線を横目で浴びせながら、追い打ちを掛けるような言葉を口にしたエリエが再び大きなため息をつく。
その後、隣にいたエリエは怒りで顔を真っ赤に染めるデイビッドからそっぽを向くと、エミルと星に声を掛けた。
「作戦を立てるのはマスター達に任せて、私達は星の戦いの特訓に行こうよ!」
「賛成だし!」
話していたエリエの前に、突然ひょっこりと現れたのはミレイニだった。
マスター達の話し合いに参加するわけでも邪魔するわけでもなく、ミレイニは今の今まで窓際に置かれたソファーの上で猫の様に背中を丸めて寝ていた。
まあ、エリエもミレイニが話し合いに混ざっても、とんちんかんなことばかり言って話をこじれさせるだけだと思って放っておいたのだが。それがここに来て裏目に出たらしい。
元気いっぱいに微笑んだミレイニが大きく両手を上げる。
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返事を待たずに、ミレイニはエリエの手を引いて強引に部屋から連れ出す。
それを見ていたエミルは、大きくため息を漏らした。彼女としては、まだ星を戦いに参加させることを受け入れていないのだろう。
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「それじゃ、私達も行きましょうか」
そう告げたエミルに、星は力強く頷く。
外に出た2人を待っていたのは向かい合うミレイニとエリエ、そして互いの前にイタチといつ居なくなったのか分からないがレイニールが対峙していた。
何やら両者が睨み合って緊迫した雰囲気の中、ピリピリとした空気が辺りに立ち込めている。
っと、最初に動いたのはミレイニだった。
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