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湖の主2
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その直後、ミレイニの不安が現実なものへと変わり、再びエリエに頬を引っ張られた。
「いはいひ~」
「どうしてそんな危ない事をするのかな~? あなたは~!」
「へも~かあひひかあ~」
「どんなにかわいくても、危ないことはダメでしょ~?」
ミレイニの頬をグリグリと引っ張りながら、エリエの目と眉が更に釣り上がる。
「ほら、ごめんなさいは?」
「ほえんなはい! ほえんなはい~!!」
ミレイニが謝ったことで、仕方なくエリエは頬から手を放す。諦めたような小さなため息の後に短く「早く服を着なさい」とだけ告げた。
瞳を潤ませ頬を撫でていたミレイニはまた頬を引っ張られたら堪らないと、慌てて装備欄を開いて服を装備した。
「こ、これでいいし?」
っとエリエに尋ねると、エリエは満足そうに頷く。
そして、もう一度巨大な山椒魚の方を見て困り顔で眉をひそめた。
「でも、私もエミル姉のマイハウスには、事件前からちょくちょく来てたけど、こんな大きいの見たことないんだけど……」
巨大な山椒魚を見上げてわずかに顔を引き攣らせていることから、エリエは爬虫類系は嫌いなのが見て取れる。
その後、巨大な山椒魚の体からは想像もできないような小さくつぶらな黒い瞳がキラキラと輝きながらエリエを捉え、エリエの背筋に悪寒が走った。
「ちょっとミレイニ! その大きなトカゲ、しまいなさいよ!」
エリエは少し裏返った声で言うと、ミレイニはどうしてしまわなければならないのかと言わんばかりに首を傾げていた。
彼女にとっては、このオオサンショウウオのようなルックスにつぶらな瞳の一見妖怪の様な容姿のこの生物に、他のペットと同じ情を持っているのだろう。
気持ち悪いとは思いつつ、ミレイニを傷付けないようにできるだけオブラートに包んで伝えなければ……と捻り出した言葉は「このままじゃ、体が乾いちゃって可哀想でしょ?」だった。
その言葉を聞いたミレイにも納得したのか、ポンっと手の平を叩いて巨大な山椒魚の方を向いた。
「それじゃ、また後でね。ナポレオン」
巨大な山椒魚は無言のまま、ゆっくりと巨大な体を回転させるとのしのしと重い足取りで湖の中へと戻っていく。それを呆然と見つめながら『湖に戻るのかよ……』と思いながら、そっと巨大な山椒魚を記憶の中から消去した。
まあ、こんな妖怪か怪獣の類のまさにモンスターにも歴史上の偉人の名前を付けるとは……。
っということがエミル達の居ない間に起きていたのだ。
事の次第を説明し終えると、エリエはエミルに同意を求める様に。
「もう信じられないでしょ?」
そう詰め寄ると、エミルも困った様子で苦笑いをしながら「それはさすがにね」と仕方なく相槌を打つ。
この時のエミルの心の中には『エリエも対して変わらない』という思いがあったが、それをエリエに告げることはなかった。すると、エリエは「ほら」とミレイニに告げる。
ミレイニは渋い顔をして俯いたが、このままでは自分の立場が悪くなると感じてすぐに反論を始めた。
「だって! 湖に入っちゃえば誰も見てないし。それに、別に男子に見られたってどうって事ないし! エリエは自意識過剰過ぎるし!」
売り言葉に買い言葉で放ったミレイニの『自意識過剰』という言葉に、エリエの頭からブチッと血管の切れる音がした。
「うわああああああああああああああッ!!」
直後。エリエが顔を真っ赤にして、まるで赤鬼の様に荒ぶりながら拳を振り上げる。
その様子に驚いたミレイニがその後にくるであろう出来事を予想し、バスタオルを巻きつけたの姿で脱兎の如く走り去っていく。
「だから、服を着なさいって言ってるでしょ~!!」
エリエはバスタオルがはだけそうになりながら、部屋の中を駆け回るミレイニを追いかけ回す。
すると、騒ぎを聞きつけ。キッチンで料理をしていたイシェルがエプロン姿のまま出てきた。
何故か、その手には包丁が握られている。
「うるさくしたらあかんよ? 2人共、大人しくしてな~」
笑顔でそう言ったイシェルだったが、その笑顔とは裏腹に手に持たれた包丁は不気味に輝いていた。
エリエもミレイニもその場でピタリと止まり、ゆっくりと後退りしてエミル達の方へと戻っていく。それを見て、イシェルはにっこりと微笑みキッチンへと戻っていった。
イシェルの姿が消えた直後、笑顔を浮かべるその体から放たれている殺気に、2人はガクガクブルブルと震え出す。
普段からどこか影があるイシェルは、本当にやりかねないと思ったのだろう。まあ、イシェルは掴み難い性格をしているのは事実だが……。
そうこうしているとマスターとカレン、デイビッドが現れる。
彼等は険しい表情をして廊下を歩いてくると、マスターがその表情を崩さずにエミルに告げる。
「おう。帰っておったか、エミル。悪いがすぐに今後の対策について話がしたい」
その場の雰囲気からして深刻そうな重苦しさに、エミルには断るという選択肢は元からなかったのだろう。
彼女は小さく頷くと、ひどく神妙な面持ちでリビングのテーブルへと歩いていく。エミルの後ろ姿を見ていれば、星にも事の重大さを容易に察することができる。
星は肩に乗っているレイニールの方を向いて表情を曇らせた。だが、レイニールは微笑みを浮かべるだけで。
「大丈夫じゃ! 我輩はなにがあっても主の味方じゃ!」
「うん。ありがとう、レイ」
レイニールの言葉に不安だった心が、少しだけ和らいだ気がした。
「いはいひ~」
「どうしてそんな危ない事をするのかな~? あなたは~!」
「へも~かあひひかあ~」
「どんなにかわいくても、危ないことはダメでしょ~?」
ミレイニの頬をグリグリと引っ張りながら、エリエの目と眉が更に釣り上がる。
「ほら、ごめんなさいは?」
「ほえんなはい! ほえんなはい~!!」
ミレイニが謝ったことで、仕方なくエリエは頬から手を放す。諦めたような小さなため息の後に短く「早く服を着なさい」とだけ告げた。
瞳を潤ませ頬を撫でていたミレイニはまた頬を引っ張られたら堪らないと、慌てて装備欄を開いて服を装備した。
「こ、これでいいし?」
っとエリエに尋ねると、エリエは満足そうに頷く。
そして、もう一度巨大な山椒魚の方を見て困り顔で眉をひそめた。
「でも、私もエミル姉のマイハウスには、事件前からちょくちょく来てたけど、こんな大きいの見たことないんだけど……」
巨大な山椒魚を見上げてわずかに顔を引き攣らせていることから、エリエは爬虫類系は嫌いなのが見て取れる。
その後、巨大な山椒魚の体からは想像もできないような小さくつぶらな黒い瞳がキラキラと輝きながらエリエを捉え、エリエの背筋に悪寒が走った。
「ちょっとミレイニ! その大きなトカゲ、しまいなさいよ!」
エリエは少し裏返った声で言うと、ミレイニはどうしてしまわなければならないのかと言わんばかりに首を傾げていた。
彼女にとっては、このオオサンショウウオのようなルックスにつぶらな瞳の一見妖怪の様な容姿のこの生物に、他のペットと同じ情を持っているのだろう。
気持ち悪いとは思いつつ、ミレイニを傷付けないようにできるだけオブラートに包んで伝えなければ……と捻り出した言葉は「このままじゃ、体が乾いちゃって可哀想でしょ?」だった。
その言葉を聞いたミレイにも納得したのか、ポンっと手の平を叩いて巨大な山椒魚の方を向いた。
「それじゃ、また後でね。ナポレオン」
巨大な山椒魚は無言のまま、ゆっくりと巨大な体を回転させるとのしのしと重い足取りで湖の中へと戻っていく。それを呆然と見つめながら『湖に戻るのかよ……』と思いながら、そっと巨大な山椒魚を記憶の中から消去した。
まあ、こんな妖怪か怪獣の類のまさにモンスターにも歴史上の偉人の名前を付けるとは……。
っということがエミル達の居ない間に起きていたのだ。
事の次第を説明し終えると、エリエはエミルに同意を求める様に。
「もう信じられないでしょ?」
そう詰め寄ると、エミルも困った様子で苦笑いをしながら「それはさすがにね」と仕方なく相槌を打つ。
この時のエミルの心の中には『エリエも対して変わらない』という思いがあったが、それをエリエに告げることはなかった。すると、エリエは「ほら」とミレイニに告げる。
ミレイニは渋い顔をして俯いたが、このままでは自分の立場が悪くなると感じてすぐに反論を始めた。
「だって! 湖に入っちゃえば誰も見てないし。それに、別に男子に見られたってどうって事ないし! エリエは自意識過剰過ぎるし!」
売り言葉に買い言葉で放ったミレイニの『自意識過剰』という言葉に、エリエの頭からブチッと血管の切れる音がした。
「うわああああああああああああああッ!!」
直後。エリエが顔を真っ赤にして、まるで赤鬼の様に荒ぶりながら拳を振り上げる。
その様子に驚いたミレイニがその後にくるであろう出来事を予想し、バスタオルを巻きつけたの姿で脱兎の如く走り去っていく。
「だから、服を着なさいって言ってるでしょ~!!」
エリエはバスタオルがはだけそうになりながら、部屋の中を駆け回るミレイニを追いかけ回す。
すると、騒ぎを聞きつけ。キッチンで料理をしていたイシェルがエプロン姿のまま出てきた。
何故か、その手には包丁が握られている。
「うるさくしたらあかんよ? 2人共、大人しくしてな~」
笑顔でそう言ったイシェルだったが、その笑顔とは裏腹に手に持たれた包丁は不気味に輝いていた。
エリエもミレイニもその場でピタリと止まり、ゆっくりと後退りしてエミル達の方へと戻っていく。それを見て、イシェルはにっこりと微笑みキッチンへと戻っていった。
イシェルの姿が消えた直後、笑顔を浮かべるその体から放たれている殺気に、2人はガクガクブルブルと震え出す。
普段からどこか影があるイシェルは、本当にやりかねないと思ったのだろう。まあ、イシェルは掴み難い性格をしているのは事実だが……。
そうこうしているとマスターとカレン、デイビッドが現れる。
彼等は険しい表情をして廊下を歩いてくると、マスターがその表情を崩さずにエミルに告げる。
「おう。帰っておったか、エミル。悪いがすぐに今後の対策について話がしたい」
その場の雰囲気からして深刻そうな重苦しさに、エミルには断るという選択肢は元からなかったのだろう。
彼女は小さく頷くと、ひどく神妙な面持ちでリビングのテーブルへと歩いていく。エミルの後ろ姿を見ていれば、星にも事の重大さを容易に察することができる。
星は肩に乗っているレイニールの方を向いて表情を曇らせた。だが、レイニールは微笑みを浮かべるだけで。
「大丈夫じゃ! 我輩はなにがあっても主の味方じゃ!」
「うん。ありがとう、レイ」
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