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ゴーレム狩り7
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っと、今まで全く入らなかった刃が爆風の勢いがあったおかげかゴーレムの体に突き刺さり、メルディウスはニヤリと口元に笑みを浮かべ。
「――吹き飛ばせ! ベルセルク!!」
その彼の掛け声の後、爆発が起きてゴーレムの体を真っ二つに弾け飛ばす。
同時に黄金のゴーレムのHPが『0』になり、その体が光に変わって空へと吸い込まれていった。
その後も自分の爆発で威力を増したベルセルクの刃で、次々にゴーレムを撃破していく。
遠くでそれを見ていたデュランは口元にニヤリと微かな笑みを浮かべ、盾を持った重鎧の剣士が銀色のゴーレムを足止めしながら、その後ろから様々な武器を持った3人が時折攻撃をしていた。
しかしその後ろには、2人が座り込んでヒールストーンで回復している。
基本的にゴールド以外は1パーティーで対応していた。だが、ゴーレム種の防御力の硬さと攻撃力の高さはフィールドのモンスターの中でも高位に属していて手練の多いダークブレットのメンバーでも、手を持て余すほどの相手だった。
周りで戦っている者達も始めの勢いは徐々に薄れ負傷者も多く、明らかに回復が追い付いていない。そこにデュランが走って来て、持っていた薙刀を振るう。
銀色のゴーレムの残りHPの全てを減らして、ゴーレムは光に変わる。
「敵は次々に湧いてくる。あまり躍起になる必要はないよ」
「は、はい! ありがとうございます! 兄貴!」
「――ッ!? あに……」
槍を手にした中肉中背な少年に『兄貴』と呼ばれたデュランは一瞬眉をひそめ、次に戦況が悪い者達のPTへと向かった。だが、彼は不愉快と言うわではなく、ただ言われ慣れていなくて照れたと言う方が正しいかもしれない。
普段の彼はこんな面倒な事をする様な性格ではないのだが……今の彼は明らかに、このダークブレットという組織に何らかの思い入れを持っているのは間違いない。いや、そこは元ダークブレットのリーダーに――――なのかも知れない。
その後も、デュランが次々に戦闘に介入しては、ゴーレムを撃破していくということを繰り返していたのだが、いくらなんでも次々に湧いてくるゴーレムと疲弊していく仲間達を全て一人で面倒見るのは不可能だ。
いたちごっこのように続いていくこの状況にさすがに痺れを切らしたのか、彼は徐にイザナギの剣を自分の前に突き出す。
「……こんな所ではまだ使いたくなかったんだけどね……仕方ない。いでよ! 我が血族達! 五芒星の神徒」
デュランの足元に白い光る五芒星が現れ、彼を囲む様に5体の人影が突如五芒星の5角の端の部分から順番に現れた。
そのうちの4人が白、青、黒、黄色の鎧兜を着用していて、兜の下には面頬を付けていて口からは白い息を吐いている。
もう1人は地面に付くほどに長い黒髪に、赤い装飾品を散りばめた白い着物に身を包んだ女性だが、この者も顔には般若の面を着けている。
だが、容姿よりももっと不可解彼等の頭上に現れている表示だ――そこには白い鎧兜が『綿津見』青い鎧兜が『大山津見』黒い鎧兜が『須佐之男』黄色い鎧兜が『月詠』そして白い着物に般若の面を着けた女性が『天照大御神』と表示されていた。
プレイヤーはプライバシー保護を理由に、パーティーかフレンド登録をしない以外。名前を知ることもレベルを知ることすらできない。そのことから推測するに、おそらくはモンスターかNPC扱いなのだろう。
デュランが周りに居る彼等を見渡していると、その中の青い鎧兜。大山津見がデュランの方を向いた。
次の瞬間、彼が口を開く。
「ん? なんだ? こいつ、前の持ち主と違うぞ?」
「まあ、前の使い手は俺達を道具の様に使っていた。今回の持ち主はそうでない事を願いたいな大山津見」
大山津見の声に答えるように、黒い鎧兜の武者が言った。
てっきりその甲冑を身に纏って顔を隠している容姿から、年配の男達が設定されていると思っていたのだが実際には随分と若い男の声で驚く。
それもだが、彼等はまるで意志を持って会話をしているように見えた――いや、間違いなく会話している。
これはNPCでもモンスターでもありえない。いや、あってはならないことだろう。
ゲームを楽しむのはプレイするプレイヤーであり、NPCやモンスターは本来、木や岩などのオブジェクトと同じ既存のシステムなのだ。
もしも、既存のシステムでAIがなければ動けないがNPCが勝手に動き出したら、不満を募らせたNPC達がいつ暴動を起こしてもおかしくない。しかし、目の前に現れたこの武者達は間違いなく会話をしていたように見えた。だが、すぐにその疑問は確信に変わる。
「まあ、所有者が変わることは二度目なのだから。慌てるほどでもないでしょう……もし、取るに足らない使い手なら、私が片付けますよ……」
白い鎧兜の綿津見が甲冑とは真逆の黒さを感じる発言と、チラリと懐に隠した短刀が光るのが見えた。しかも、間違いなくデュランに見えるようにしているのが彼の中の闇を感じさせる。
「――吹き飛ばせ! ベルセルク!!」
その彼の掛け声の後、爆発が起きてゴーレムの体を真っ二つに弾け飛ばす。
同時に黄金のゴーレムのHPが『0』になり、その体が光に変わって空へと吸い込まれていった。
その後も自分の爆発で威力を増したベルセルクの刃で、次々にゴーレムを撃破していく。
遠くでそれを見ていたデュランは口元にニヤリと微かな笑みを浮かべ、盾を持った重鎧の剣士が銀色のゴーレムを足止めしながら、その後ろから様々な武器を持った3人が時折攻撃をしていた。
しかしその後ろには、2人が座り込んでヒールストーンで回復している。
基本的にゴールド以外は1パーティーで対応していた。だが、ゴーレム種の防御力の硬さと攻撃力の高さはフィールドのモンスターの中でも高位に属していて手練の多いダークブレットのメンバーでも、手を持て余すほどの相手だった。
周りで戦っている者達も始めの勢いは徐々に薄れ負傷者も多く、明らかに回復が追い付いていない。そこにデュランが走って来て、持っていた薙刀を振るう。
銀色のゴーレムの残りHPの全てを減らして、ゴーレムは光に変わる。
「敵は次々に湧いてくる。あまり躍起になる必要はないよ」
「は、はい! ありがとうございます! 兄貴!」
「――ッ!? あに……」
槍を手にした中肉中背な少年に『兄貴』と呼ばれたデュランは一瞬眉をひそめ、次に戦況が悪い者達のPTへと向かった。だが、彼は不愉快と言うわではなく、ただ言われ慣れていなくて照れたと言う方が正しいかもしれない。
普段の彼はこんな面倒な事をする様な性格ではないのだが……今の彼は明らかに、このダークブレットという組織に何らかの思い入れを持っているのは間違いない。いや、そこは元ダークブレットのリーダーに――――なのかも知れない。
その後も、デュランが次々に戦闘に介入しては、ゴーレムを撃破していくということを繰り返していたのだが、いくらなんでも次々に湧いてくるゴーレムと疲弊していく仲間達を全て一人で面倒見るのは不可能だ。
いたちごっこのように続いていくこの状況にさすがに痺れを切らしたのか、彼は徐にイザナギの剣を自分の前に突き出す。
「……こんな所ではまだ使いたくなかったんだけどね……仕方ない。いでよ! 我が血族達! 五芒星の神徒」
デュランの足元に白い光る五芒星が現れ、彼を囲む様に5体の人影が突如五芒星の5角の端の部分から順番に現れた。
そのうちの4人が白、青、黒、黄色の鎧兜を着用していて、兜の下には面頬を付けていて口からは白い息を吐いている。
もう1人は地面に付くほどに長い黒髪に、赤い装飾品を散りばめた白い着物に身を包んだ女性だが、この者も顔には般若の面を着けている。
だが、容姿よりももっと不可解彼等の頭上に現れている表示だ――そこには白い鎧兜が『綿津見』青い鎧兜が『大山津見』黒い鎧兜が『須佐之男』黄色い鎧兜が『月詠』そして白い着物に般若の面を着けた女性が『天照大御神』と表示されていた。
プレイヤーはプライバシー保護を理由に、パーティーかフレンド登録をしない以外。名前を知ることもレベルを知ることすらできない。そのことから推測するに、おそらくはモンスターかNPC扱いなのだろう。
デュランが周りに居る彼等を見渡していると、その中の青い鎧兜。大山津見がデュランの方を向いた。
次の瞬間、彼が口を開く。
「ん? なんだ? こいつ、前の持ち主と違うぞ?」
「まあ、前の使い手は俺達を道具の様に使っていた。今回の持ち主はそうでない事を願いたいな大山津見」
大山津見の声に答えるように、黒い鎧兜の武者が言った。
てっきりその甲冑を身に纏って顔を隠している容姿から、年配の男達が設定されていると思っていたのだが実際には随分と若い男の声で驚く。
それもだが、彼等はまるで意志を持って会話をしているように見えた――いや、間違いなく会話している。
これはNPCでもモンスターでもありえない。いや、あってはならないことだろう。
ゲームを楽しむのはプレイするプレイヤーであり、NPCやモンスターは本来、木や岩などのオブジェクトと同じ既存のシステムなのだ。
もしも、既存のシステムでAIがなければ動けないがNPCが勝手に動き出したら、不満を募らせたNPC達がいつ暴動を起こしてもおかしくない。しかし、目の前に現れたこの武者達は間違いなく会話をしていたように見えた。だが、すぐにその疑問は確信に変わる。
「まあ、所有者が変わることは二度目なのだから。慌てるほどでもないでしょう……もし、取るに足らない使い手なら、私が片付けますよ……」
白い鎧兜の綿津見が甲冑とは真逆の黒さを感じる発言と、チラリと懐に隠した短刀が光るのが見えた。しかも、間違いなくデュランに見えるようにしているのが彼の中の闇を感じさせる。
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