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ゴーレム狩り6
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礼を言おうと口を開いた直後、メルディウスの耳に意外な言葉が飛び込んで来た。
「全く、つまらない男になったものだね。君も……」
デュランは見下したような瞳を向けて、メルディウスを罵倒する。
だが、それを素直に受け入れるほど、メルディウスは大人しくない。
「――なん……だと?」
デュランを鋭く睨み返したメルディウスの背後から、黄金のゴーレムが大きな拳を振り上げている。
メルディウスは後ろを振り返ることなく持っていた武器を振りかぶると、次の瞬間には握っていた武器は光を放ち大斧の姿に変わっていた。
「邪魔すんじゃねぇー!! てめぇーは後回しだ。引っ込んでろ!!」
力任せに振り抜いたその大斧がゴーレムの腹部に直撃し、今までにないほどの爆発でその巨体を吹き飛ばす。
メルディウスの体は爆発のその勢いを殺す為、その場で地面に円を描く様に数回転して止まる。
鋭い眼光をデュランに向けながら、メルディウスはベルセルクを肩に担ぐ。
「――来いよ。お前から塵にしてやる……」
完全に理性を失うほど頭に血が上っているのだろう。今までにないほどの殺気を漲らせ、血走った目で突き刺すような視線をデュランに浴びせている。
彼の自慢の赤い鎧に大人の身長ほどの刃を持つ大斧を持っているその姿は、獣――いや、鬼と言った方が正しいかもしれない。
全身から迸らせる凄まじい闘気と殺気は、デュランの体を押し潰すほどに圧力を放っている。
空気が震えるほどの物凄い圧迫感を一身に受け、デュランは体を震わせ額に冷や汗を流しながらも笑みを浮かべていた。
「……すごい。凄まじい闘気だ……これが本当の彼の力か……」
震える体を精神力で押さえ込むと、にやりと笑みを浮かべ。
「君はさすがだね。一つアドバイスしよう」
「……はっ? アドバイスだぁ?」
「ああ、武器は最大の持ち味を発揮してこそ生きてくるものだよ……それじゃ、俺は彼等の援護に行かないといけないから。またね!」
デュランはそう言って勢い良く跳び上がると、デュランに倒され起き上がって臨戦態勢に入ったゴーレムを足場にしてその場をそそくさと退散する。
背中が小さくなっていくデュランの後ろ姿を見つめながら「ちっ、逃げられたか」と渋い顔をして舌打ちする。
結局一体もゴーレムを倒さなかったデュランはメルディウスを挑発するだけで、何をしに来たかったのか分からない。その直後、チラッと攻撃しようと腕を振り上げるゴーレムの姿を確認すると、振り切られた拳を素早く横に跳んでかわす。
その後も連続して襲い掛かってくる金色のゴーレムの攻撃をかわしながら、デュランの言葉の意味を思い返していた。
(……ベルセルクの最大の持ち味? そんなの爆発的な破壊力だ――んな事はあいつに言われるまでもなく分かってんだよ!)
メルディウスは飛んでくるゴーレムの鉄拳にベルセルクの刃を当て爆発を起こす。
だが、やはり敵の強固な体に押し負けてしまい。普段より爆発の反動で動作が大きくなって体制を整いきれなくなってしまう。
「――チッ!」
押し返された勢いを空中で体を回転させることで緩和し、地面に着地したメルディウスは黄金に輝くゴーレムを睨んで舌打ちをする。眉間にシワを寄せて不機嫌そうに大きく息を吐き出す。
考えれば考えるほど、ベルセルクの持ち味を今の状況下では活かせないと確信してイライラが増してくる。黄金のゴーレムの表皮が硬すぎて、爆発の威力も全て自分に返ってきてしまうのだ――。
元々大斧モードはメルディウスの爆発属性を増幅発動させることで、爆発の威力を高めている。だがそれだけではなく、その能力の発動場所は刃なのだ――つまり、刃さえ入ればその部分の損傷を内部から爆発させ傷を大きくすることができる。
その為、一撃の破壊力に特化したベルセルクの大斧モードが有効なのだが、この刃の通らない相手に対しては逆に、ダメージを稼げない上に手数も稼げない大斧モードでは無意味だ。
それどころか疲労が蓄積すれば、攻撃速度の遅い部類に属しているゴーレム種でも、いずれは隙を突かれて直撃を喰らいかねない。そうなれば、HPを大きく削られてそして……。
彼の脳裏に最悪のシナリオが脳裏を過る。だが、すぐに首を振って不安を払拭すると、柄を握る手に力を込めた。
「なにを細かい事を考えてんだ俺は! どんな時でも、ベルセルクを全力で振り切るだけだろうがッ!!」
ゴーレムに勢いに任せ、力の限りベルセルクを振り抜くがそれは腕で防がれ。その直後、凄まじい爆発音と共に爆風で得物が押し返されて体が素早く回転する。
体を振り回され体制が大きく崩れて『しまった』と思いつつ、瞬時に刃を逆に切り替えて、その勢いのまま黄金のゴーレムの腹部に刃を捉える。
「全く、つまらない男になったものだね。君も……」
デュランは見下したような瞳を向けて、メルディウスを罵倒する。
だが、それを素直に受け入れるほど、メルディウスは大人しくない。
「――なん……だと?」
デュランを鋭く睨み返したメルディウスの背後から、黄金のゴーレムが大きな拳を振り上げている。
メルディウスは後ろを振り返ることなく持っていた武器を振りかぶると、次の瞬間には握っていた武器は光を放ち大斧の姿に変わっていた。
「邪魔すんじゃねぇー!! てめぇーは後回しだ。引っ込んでろ!!」
力任せに振り抜いたその大斧がゴーレムの腹部に直撃し、今までにないほどの爆発でその巨体を吹き飛ばす。
メルディウスの体は爆発のその勢いを殺す為、その場で地面に円を描く様に数回転して止まる。
鋭い眼光をデュランに向けながら、メルディウスはベルセルクを肩に担ぐ。
「――来いよ。お前から塵にしてやる……」
完全に理性を失うほど頭に血が上っているのだろう。今までにないほどの殺気を漲らせ、血走った目で突き刺すような視線をデュランに浴びせている。
彼の自慢の赤い鎧に大人の身長ほどの刃を持つ大斧を持っているその姿は、獣――いや、鬼と言った方が正しいかもしれない。
全身から迸らせる凄まじい闘気と殺気は、デュランの体を押し潰すほどに圧力を放っている。
空気が震えるほどの物凄い圧迫感を一身に受け、デュランは体を震わせ額に冷や汗を流しながらも笑みを浮かべていた。
「……すごい。凄まじい闘気だ……これが本当の彼の力か……」
震える体を精神力で押さえ込むと、にやりと笑みを浮かべ。
「君はさすがだね。一つアドバイスしよう」
「……はっ? アドバイスだぁ?」
「ああ、武器は最大の持ち味を発揮してこそ生きてくるものだよ……それじゃ、俺は彼等の援護に行かないといけないから。またね!」
デュランはそう言って勢い良く跳び上がると、デュランに倒され起き上がって臨戦態勢に入ったゴーレムを足場にしてその場をそそくさと退散する。
背中が小さくなっていくデュランの後ろ姿を見つめながら「ちっ、逃げられたか」と渋い顔をして舌打ちする。
結局一体もゴーレムを倒さなかったデュランはメルディウスを挑発するだけで、何をしに来たかったのか分からない。その直後、チラッと攻撃しようと腕を振り上げるゴーレムの姿を確認すると、振り切られた拳を素早く横に跳んでかわす。
その後も連続して襲い掛かってくる金色のゴーレムの攻撃をかわしながら、デュランの言葉の意味を思い返していた。
(……ベルセルクの最大の持ち味? そんなの爆発的な破壊力だ――んな事はあいつに言われるまでもなく分かってんだよ!)
メルディウスは飛んでくるゴーレムの鉄拳にベルセルクの刃を当て爆発を起こす。
だが、やはり敵の強固な体に押し負けてしまい。普段より爆発の反動で動作が大きくなって体制を整いきれなくなってしまう。
「――チッ!」
押し返された勢いを空中で体を回転させることで緩和し、地面に着地したメルディウスは黄金に輝くゴーレムを睨んで舌打ちをする。眉間にシワを寄せて不機嫌そうに大きく息を吐き出す。
考えれば考えるほど、ベルセルクの持ち味を今の状況下では活かせないと確信してイライラが増してくる。黄金のゴーレムの表皮が硬すぎて、爆発の威力も全て自分に返ってきてしまうのだ――。
元々大斧モードはメルディウスの爆発属性を増幅発動させることで、爆発の威力を高めている。だがそれだけではなく、その能力の発動場所は刃なのだ――つまり、刃さえ入ればその部分の損傷を内部から爆発させ傷を大きくすることができる。
その為、一撃の破壊力に特化したベルセルクの大斧モードが有効なのだが、この刃の通らない相手に対しては逆に、ダメージを稼げない上に手数も稼げない大斧モードでは無意味だ。
それどころか疲労が蓄積すれば、攻撃速度の遅い部類に属しているゴーレム種でも、いずれは隙を突かれて直撃を喰らいかねない。そうなれば、HPを大きく削られてそして……。
彼の脳裏に最悪のシナリオが脳裏を過る。だが、すぐに首を振って不安を払拭すると、柄を握る手に力を込めた。
「なにを細かい事を考えてんだ俺は! どんな時でも、ベルセルクを全力で振り切るだけだろうがッ!!」
ゴーレムに勢いに任せ、力の限りベルセルクを振り抜くがそれは腕で防がれ。その直後、凄まじい爆発音と共に爆風で得物が押し返されて体が素早く回転する。
体を振り回され体制が大きく崩れて『しまった』と思いつつ、瞬時に刃を逆に切り替えて、その勢いのまま黄金のゴーレムの腹部に刃を捉える。
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